『碁盤斬り』ネタバレの感想 格之進の実直な生き方と人情に感動した | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 5/5 ☆☆☆☆☆

 5月18日(土)11時の「公開記念全国生中継舞台挨拶」付きの上映を「ムービー・オン山形」で見た。舞台挨拶の詳しい内容については、後日掲載する予定。

 主人公の柳田格之進は実直な性格で、碁も嘘偽りなく打つという。それに対して最初の源兵衛は、汚い手を使ってでも勝とうとしていたらしい。と言っても私は囲碁については全くの素人で、どんな打ち方が嘘偽りがなく、どんな打ち方が汚いのかさっぱりわからないが。格之進は「相手といさかいになった嫌な思い出がある」と、源兵衛の態度を見て、勝ったらいさかいになると思って勝ちを譲ったのだろう。でも1両は大金のはずで、何とももったいない。実直だから貧乏なのか?

 その源兵衛は、格之進の実直な生き方に触れ、今まで儲け至上主義だった商売を、誠実な商売に替えた。すると逆に商売繁盛したという。これは現代の商売にも当てはまると思う。

 格之進とお絹が源兵衛の屋敷で月見の会をしていると、梶木左門が来て、柴田兵庫が大事な掛け軸を盗み、その罪を格之進に擦り付けたと分かったと知らせる。さらに、格之進の妻が入水自殺したのも、兵庫のせいだと分かる。そこで格之進は妻の敵討ちのために兵庫を探す。

 それと同時に、萬屋で50両が紛失し、その嫌疑が格之進に掛かる。50両を払わなければ、奉行所に捕まるので、敵討ちに出られず、格之進は切腹も考える。そこでお絹が自分の体と引き換えに、吉原のお庚に頼んで50両を用立ててもらう。期限は大晦日で、それを過ぎればお絹を遊女として店に出すという。お絹は何とも思い切った事をすると思うが、父の無実を信じているからだろう。

 中秋の名月とは旧暦の8月15日の事なので、格之進は4か月半も兵庫を探し回っていた。痩せこけ、髭が生え、目が殺気走っているのが何とも怖い。賭け碁会場での、格之進と兵庫との決戦が凄い。まず、命を掛けた碁の試合が迫力ある。素人には分からないが、「石の下」と言う技で、格之進が逆転勝利したらしい。ところが兵庫は卑怯な男で、杖の仕込み刀で格之進に斬りつける。刀を持たない格之進は刀を避けるだけ。長兵衛親分が格之進に刀を投げ与えると、何と格之進は一撃で兵庫の腕を切り落とす。以前、城外で兵庫が格之進を襲った事件のように、元々格之進は腕が立つらしい。格之進は、敵討ちを遂げたと、お絹に大晦日の内に報告するために吉原に急ぐ。

 それと同時に、萬屋で紛失した50両が見つかる。源兵衛が額の裏に置いたのをすっかり忘れていたとは、何とも無責任である。番頭の徳次郎が格之進を疑い、独断で弥吉を格之進に聞きに行かせたのも悪い。徳次郎はおそらく金の帳尻が合わないと源兵衛に酷く叱られた経験から、金の行方を探さねばと焦ったのだろう。という事は、元々は源兵衛が悪いのかも?

格之進が渡した50両は、お絹が体を売って借金した金だと悟った弥吉は、50両を持って吉原に急ぐ。ところが格之進も、弥吉も到着する直前に、中引きの時間になった大門が閉じられる。

 やはり金が出て来たが、大晦日の期限に間に合わず、激怒した格之進は約束通りに源兵衛と弥吉の首を斬ろうとする。しかし切られたのは、傍の碁盤だった。これが題名の意味だと知った。

 さて、元旦に格之進がお庚に50両を返し「約束の期限に遅れて申し訳ない」と謝ると、お庚は「期限とは何の事?」ととぼける。お庚も格之進の実直な性格を知っており、またお絹に優しく接していただけあって、最初からお絹を遊女に出す気はなかったようだ。この場面では涙が出て来た。

 最後、格之進は掛け軸を売ったお金を、自分の直訴によって藩を追われた武士たちに渡そうと旅に出る。格之進の優しさが最後まで、にじみ出た話になっており感動した。聞いた事はないが、元々は落語の噺なのだそうだ。人情味にあふれ、格之進の生き方に感動したので、評価は「5」である。