『猿の惑星キングダム』ネタバレの感想 知的な人間が存在し希望が持てる話 | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 4/5 ☆☆☆☆★

 前の3部作の『猿の惑星 聖戦記』(2017年)では、新薬のウイルスは人間を出血死させて人口を減らし、さらに突然変異して人間が言葉を話せなくなり、知能も衰える。逆に猿は知能が高くなった。その300年後の世界は、人類は言葉も文明も失い、猿が文明を持つ、人間と猿の立場が逆転した世界だった。ゴリラのシルヴァ達が人間狩りをする場面は、旧5部作の第1作『猿の惑星』(1968年)を彷彿させて怖かった。なお、貯蔵庫で「ママ」としゃべる人形が登場したのも、第1作を思い出して懐かしかった。

 ノア達の一族は鷲を使った狩りをしており、自然と調和した生活を営んでいるようだ。そして、鷲の卵を自分で獲って来て孵化させるのが、成人の通過儀礼と言う独特な文化を生み出したようである。

 さて、ノアを追ってくる人間の女を、ラカは「人間の女はそう呼ぶようになっている」と、ノヴァと名付ける。旧5部作の第1作に登場した人間の女性はノヴァで、『聖戦記』に登場した人間の女性もノヴァだった。確かに人間の女はノヴァと名付けるようであるが、ラカはなぜ知っていたのだろう?ただし、ティム・バートン版『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(2001年)に登場したノヴァは猿であり、人間の女性の名前はディナなので、全作に当てはまるわけではないようである。

 そのノヴァは実は言葉が話せ、メイと名乗る。川辺で野生の人間と出会った時、ノアは彼女が人間達と暮らすと思っていたが、どうやら彼女は人間の群れを憐れんで見ていただけの様である。彼女の目的は、プロキシマス・シーザーが無理やり開けようとしている貯蔵庫の中のハードディスクを回収する事で、銃や戦車などの武器は猿に渡らないように水没させて使えなくしようとする。

 そのためには高い崖を登らなければならないので、メイは、高層ビル登りが得意なノア達に協力してもらうために、ノアを付けていたのだろう。プロキシマスは、貯蔵庫の中に人間が造った武器があり、メイは開けられると思い、メイを探していたと思われる。メイは貯蔵庫内の様子に詳しく、爆弾を作る知識があり、トレヴェイサンを絞め殺した時の動きは軍事訓練を受けていたようである。つまり軍人かも。

 メイは貯蔵庫から回収したハードディスクを、軍事施設らしき建物の中にいる人間に渡す。するとパラボラアンテナが動き、他地域(外国?)との通信が回復する。通信衛星も機能していたのか?人間は全て言葉が話せなくなったと思っていたので、知的な人間が多数生き残っていたのが嬉しい。おそらくメイはウイルスに耐性があって野外で活動でき、建物内の人々は、ウイルスから隔離されて生きているのだろう。前3部作は人類が次第に滅亡していく絶望的な話だったが、今回は希望が持てる話なのが良い。

 ノヴァも、ノアも空を見上げる場面で映画が終わる。ノヴァは通信が回復したと知って、人工衛星が飛ぶ宇宙へ思いを馳せているのだろうか?ノアとスーナが天体望遠鏡を覗いた時に、目に明るい光が映っていたので、月を見たのだろう。(偶然狭い視野に入るとは思えないので、自動追尾か?)ノアは月を見て、宇宙に興味を持って空を見上げたのだろうか?

 ラカは、猿と人間は共存できると言っていた。プロキシマスは「人間を信用するな」と言い、建物内で暮らす、通信手段を手に入れた人間も猿と協力するとは思えない。はたして、今後は猿と人間が協力する世界が誕生するのか?対立する世界が造られるのだろうか?続編があると思わせる終わり方だったので、ぜひ作ってほしいものだ。また3部作になるのだろうか?希望を持たせる終わり方なので、今後の展開に期待したい。評価は「4」である。また、エンドクレジット終了後、動物の様な声が聞こえる。これが川に流されて行方不明になったラカの声で、次作にラカが登場するのだったら嬉しい。

 原題は『KINGDOM OF THE PLANET OF THE APES』で、「猿の惑星の王国」の意味。前3部作と違って、今回の邦題は適訳である。