アニメ版『耳をすませば』 ネタバレの詳しいあらすじ(再掲) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 2024年5月10日の「金曜ロードショー」で『耳をすませば」実写版が放映されるので、比較のために、2022年8月に掲載した『耳をすませば』アニメ版の「ネタバレの詳しいあらすじ」を再掲載する。

監督:近藤喜文 1995年

主な登場人物:よみ(声優)役柄

月島 雫:つきしま しずく(本名陽子)主人公で、向原中学校3年生。読書好き。

天沢 聖司:あまさわ せいじ(高橋一生)向原中学校3年生で、西司朗の孫。バイオリン演奏が得意。

月島 靖也:つきしま せいや(立花隆)雫の父。市立図書館勤務。本業は郷土史家。

月島 朝子:つきしま あさこ(室井滋)雫の母。社会人学生として、大学院に通っている。

月島 汐:つきしま しほ(山下容莉枝)雫の姉。大学一年生。

西 司朗:にし しろう(小林桂樹)地球屋の主人。聖司の祖父。戦前ドイツ留学中にバロンをもらう。

フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵(露口茂)猫の人形。通称はバロン。

北:きた(鈴木敏夫)西の友人。雫らと「カントリー・ロード」を演奏した際、リュートを弾いていた。

南:みなみ(井上直久)西の友人。雫らと「カントリー・ロード」を演奏した際、タンバリン、コルネット、リコーダーを演奏。

高坂:こうさか(高山みなみ)向原中学校の保健室の先生。

原田 夕子:はらだ ゆうこ(佳山麻衣子)雫の親友。向原中学校3年生。

杉村:すぎむら(中島義実)雫の男友達。向原中学校3年生で野球部所属。

原田夕子の父(中村晴彦)夕子の父。

絹代:きぬよ(飯塚雅弓)雫の友達。向原中学校3年生。愛称「きぬちゃん」。

ナオ(千葉舞)雫の友達。向原中学校3年生。眼鏡をかけている。

 

(タイトル『耳をすませば』。主題歌『カントリー・ロード』。オープニングクレジット)

 夜、月島雫はコンビニから牛乳を買って、団地の家に帰る。雫は読書が好きな中学3年で、父の勤める図書館から自分が借りた本の読書カードに、いずれも「天沢聖司」という名前があることに気付き、どんな人か気になる。

 夏休みの朝、母は出かける。雫は学校にやって来ると、野球部やテニス部は部活動をしていた。保健室の高坂先生に頼んで図書室を開けてもらう。雫は受験生だが、休み中に20冊本を読むと決めたと話す。まだ誰も借りていない、市立図書館にもない貴重な本『フェアリーテイル』を借りると、その本を寄付したのは「天沢」という名前の人物だった。雫は「天沢」について尋ねてみるが、高坂先生は知らないと答える。昇降口に11時と約束していたが、なかなか来ないので怒った原田夕子が図書館にやって来る。

 雫と夕子は校庭のベンチに座り、雫は依頼されていた「カントリー・ロード」を和訳した歌詞を夕子に渡す。歌ってみた夕子は悪くないと言うが、雫はありきたり過ぎると納得がいかない。さらに遊び半分で作った「コンクリート・ロード」という替え歌風の歌詞も見せ、笑い合う。

 夕子は、他のクラスの男子からラブレターをもらったが、どうしたらいいのかと雫に相談する。なぜ返事に詰まっているのか雫が聞くと、夕子は雫の男友達でもある野球部の杉村が好きだと告げる。杉村が雫にバッグを取ってくれと頼み、夕子が恥ずかしがる。その後、雫と夕子はラブレターの話をしながら帰る。

 本を忘れたことに気づいた雫がベンチに引き返すと、ある男子生徒がベンチで雫の本を読んでいた。彼はなぜか月島雫の名前を知っており、さらに「コンクリート・ロードはやめたほうがいいと思うよ」と、言って去る。図書カードで名前を知り、本に挟んだ「コンクリート・ロード」の歌詞を読んでいた。

 怒った雫は「嫌な奴!」と連呼しながら家に帰ると、コンクリート・ロードの歌詞を丸めて捨てる。雫は本を読む。

 次の日、雫の姉・汐が荷物を持って帰って来る。母は夏季集中講座、父は出勤でいなかった。姉と雫が晩ご飯を作る。

 次の朝、雫は姉が掃除する音で目を覚ます。雫は姉が洗濯と掃除や買い物をする代わりに、図書館に行くついでに父へ弁当を届ける。雫は電車の中で太った猫を見つけ、話しかける。雫が電車を降りると、猫も同じ駅で降りる。雫が猫を追いかけるが、見失う。

 すると、再び猫を発見して様々な道を追いかける。そのうちに、猫はロータリーの前にある小さな古道具屋「地球屋」に入る。雫は店内で猫の人形を見つけ気に入る。店主の老人・西司朗はその人形は「バロン(フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵)」と言う名前だと教える。司朗は古いからくり時計を見せてもらい、王と妖精の物語に感心する。時計が12時を指し、雫は慌てて図書館へ行く。

 雫が図書館の前に着くと、あの男子生徒が自転車に猫を乗せて、店に忘れた弁当を届けに来る。その男子生徒は、雫の弁当が大きいとからかう。

 雫は図書館で本を数冊借りると、図書カードにまた「天沢聖司」の名前があり、気になった。あの男子生徒の顔を思い出し、つい「違う、お前じゃない」と大声を上げてしまう。売店で昼食を食べ、雫は家に帰る。

 新学期の始業式の日は雨だった。雫は夕子と登校すると、夕子はラブレターを断ると話す。

 雫は昼休みに夕子と一緒に職員室に行き、年配の先生に本を寄付した「天沢」について聞くと、何年か前に学校のPTA会長をしていたこと、彼の末っ子が学校の同じ学年にいることを知り、思わず職員室を飛び出す。あの男子生徒とすれ違うが、無視されて怒る。

 雫と夕子と女子生徒数人は、保健室で高坂先生と弁当を食べる。そのことを夕子たちにからかわれる。雫は新しく和訳した「カントリー・ロード」を女生徒たちに見せると、高評価を受け喜ばれる。夕子は、後輩に見せるだけでなく、謝恩会で歌おうと言う。

 放課後、雨が晴れる。夕子たち女生徒はコーラス部の後輩たちに歌詞を見せに行くと雫も誘うが、雫は図書館に行くからと断る。しかし、途中で気が変わって「地球屋」に向かうと、店は閉まっていた。男爵の人形もなくなっており、雫は売られてしまったのだと思ってがっかりして帰る。

 その夜、雫に夕子から電話がかかってくる。雫は団地の前で夕子に会う。夕子は杉村が、ラブレターを夕子に渡した男子から返事を聞いてくれと頼まれたと言われ、ショックを受けたと、泣きはらした顔で話す。雫は夕子を慰める。夕子は、泣き腫らした顔では学校に行けないから、明日は休むと告げる。

 翌日、放課後、雫は学校を休んだ夕子の家に向かう。その途中、杉村が雫を呼び止める。神社で杉村は、夕子を怒らせたのか雫に尋ねる。

 夕子の気持ちを分からない杉村のあまりの鈍さに雫は腹を立てて、夕子が杉村を好きだと言ってしまう。すると杉村は、自分はずっと雫が好きだったと告白する。動揺した雫は、急にそんなことを言われても困ると言って逃げようとする。杉村は雫を引き留め、はっきり返事が聞きたいと問いかける。雫は、杉村をずっと「友達」としか見たことがなく、この先も変わらないと告げる。自宅に帰り、自分の鈍感さに自己嫌悪に陥り、机に伏せる。

 母が家に帰ってきた後、雫は電車で「地球屋」に向かう。相変わらず店は閉まっていた。店の前で途方に暮れてあの時の太った猫に話しかけていると、あの男子生徒がやって来る。彼は猫をムーンと呼んでいるが、飼っているわけではなく、よその家では別の名前で呼ばれていると教える。

 この店の持ち主は自分の祖父で、店は開いている方が少ないと教え、男子生徒は雫を裏口からバイオリンの工房を通り、店の中に案内する。古いからくり時計は、修理が終わり持ち主に帰っていた。男子生徒は「バロン」を出し、猫の目の中を見るように言い、雫が覗くと不思議な輝き方をする。「天使の部屋」と言って、偶然に出来たと教える。「バロン」の人形が祖父の宝物であることを教える。

 日が沈むまで「バロン」を眺めていた雫が地下に降りると、彼は工房でバイオリンを作っており、雫は感心する。ここではバイオリン作りの教室もしていると言う。雫が演奏を頼むと、彼は代わりに歌うように言われる。彼が弾き始めたのは「カントリー・ロード」の曲で、雫は恥ずかしがりながら、自分が和訳した歌詞で歌う。

 そこへ西老人とその仲間が帰ってきた。彼らも、チェロ、リュート、タンバリンなどで演奏し、小さな合奏が始まる。西老人は男子生徒を「聖司」と呼び、彼の名字が西だと思い込んでいた雫は、彼があの「天沢聖司」だと知る。雫は名前を教えてくれなかった事を怒る。

 聖司は雫を家まで送る途中、中学を卒業したらバイオリン職人になるために、イタリアのクレモーナのバイオリン製作学校へ留学したいという夢を語るが、親は反対していると教える。雫は進路について何も考えていなかった。家の近くで、聖司は雫に詩の才能があると言って別れる。

夜、雫は姉に「進路はいつ決めた?」と尋ねると、姉は「それを探すために大学に行っている」と答える。

 翌日は雨。雫は遅刻しそうで走っていると、途中の道で杉村と一緒になる。杉村は先に行く。夕子が、昨夜、雫が聖司と歩いていた事が噂になっていると教える。杉村は夕子に、あの件は自分の方から断わっておくと謝る。

 昼休み、聖司が雫の教室に来て呼び出す。同級生たちがはやし立てる。雫は聖司を屋上に連れて行って話を聞く。聖司は一番先に雫に教えたかったと言い、「祖父の知り合いの工房で2カ月間見習いをやる」という条件でイタリア留学の許しを親に得たと雫に話す。パスポートが取れ次第に行くと言う。確固たる夢に向かって進んでいく聖司に対し、目標のない自分を比べて雫は劣等感を覚える。

 夕子や同級生たちが、様子を見に来る。

 聖司は、ずっと前から図書カードで雫のことを知っており、図書館で何度もすれ違っていたと話す。聖司はイタリアへ行ったら、雫が書いた歌を歌って頑張ると言う。

 同級生たちが覗いていた事がばれ、雫が怒る。雫は涙ぐんでいた。

 夕食後、雫は駅のそばのコンビニで待ち合わせして夕子と会い、彼女の家に行く。雫は、聖司が2か月で帰った後は、中学卒業後に10年くらいイタリアで修行をすると、夕子に話す。夕子は運命の赤い糸だと話す。聖司は進路が決まっているのに、自分は決まっていないと落ち込む雫に、夕子は訳詞の才能があると言う。自分に才能があるか試しに行く聖司に対し、雫も前からやりたかった「物語」を書くと決心する。

 夕子の家からの帰りにムーンを見かける。出てきた家では「ムタ」と呼ばれていた。

 家に帰った雫は『耳をすませば』の原稿を書き始める。

 雫は「地球屋」に行って西老人に、人形のバロンを主人公にした物語を書くので許可を得たいと申し出る。西老人は物語ができあがったら最初に読ませて欲しいという条件で許可する。上手く書けるか分からないとためらう雫に、西老人は最初から完璧を目指していけないと教える。西老人は雲母片岩を見せ、割れ目の中に緑柱石と言うエメラルドの原石が含まれていると教える。聖司も雫も、磨かれていない石のようだと話す。バイオリンを作ったり物語を書いたりする事は、自分の中に原石を見つけて時間をかけて磨く事だと話す。雫は、物語を書いたら西老人に最初に見せると約束する。

 帰り道、雫は老人の言葉を思い出し、バロンと自分が「ラピスラズリ(Lapis lazuli瑠璃)の鉱脈」を見つける旅に出かける話を空想する。

 その後、雫が図書館で物語を書くための参考に、鉱物図鑑やバイオリン作りの本を読んで調べる。祖父に聞いて雫に会いに来た聖司が「明日行く」と告げる。

 夜、調べ物が終わって家に帰る雫に聖司は「たった2ヶ月だ」と言って雫の手を握る。雫は自分も頑張ると話す。雫が「行ってらっしゃい」と、自転車で帰る聖司を見送る。

 雫は物語を書き進める。バロンにはルイーゼと言う恋人がいた。雫は授業中も執筆を続け、先生に指名されたのも気づかなかった。

 昼休み、弁当を食べながら雫は夕子に、今日も4時まで書いていたと話し、食欲がないと言う。

 家ではなかなか執筆が進まず、雫はいらいらする。

 母は学校に呼ばれる。家に帰った母に姉は、家を出る、部屋も決めたと話す。母は金が掛かると心配すると、アルバイトで貯めたし、塾の先生の仕事もあると話す。母は励ます。

 母は姉に、学校に呼び出され、雫の成績が100番も下がったと教える。姉が説教すると、雫は高校に行かないと言う。雫は受験よりもっと大事な事があると、姉と口論になる。

 父親が帰って来て、2人の口論を止め、雫に成績が下がった理由を聞く。雫は勉強より大切だと言う。母親は、今すぐやらなければならない事かと咎める。雫はあと3週間のうちに自分を試さなければならないと話す。父は雫が図書館で一生懸命何かしている姿を見て感心していると話し、雫の好きなようにさせては、と母親に言う。父親は「人と違う生き方はそれなりにしんどいぞ。何が起きても誰のせいにもできないからね」と諭す。母は夕食を一緒に食べるように言う。

 

 姉は雫に、父が本当は勉強して欲しいと思っていると告げ、今度の日曜に家を出るので、一人で部屋を使えると励ます。

 雫に物語の執筆は進む。書きながら雫は寝てしまい、修行をしている聖司を想う。

 西老人はルイーサが店にやって来る夢を見る。すると雫が店にやって来て、物語を書き終えたので、最初に読ませて欲しいという約束通り西老人に渡して読んでもらう。題名は『耳をすませば バロンのくれた物語』と言う大作だった。雫は、出来栄えを早く知りたいので、すぐに読んで欲しいと西老人に頼む。西老人は店を閉める。雫は読み終わるまで下の部屋で待つ。

 雫はベランダから風景を見ながら、不安そうに待つ。読み終わった西老人は「とても良かった」と言うが、雫は、納得のいかない、まとまりのまったくない作品と告白する。西老人は「荒々しくって、率直で、未完成で、切り出したばかりの原石だと話す。時間をかけてしっかり身がいて下さいと讃える。雫は泣き崩れる。雫は、もっと勉強しなければならないと気づいたと話す。

 雫に夕食をご馳走し、西老人は、バロンにまつわる物語を話す。ドイツに留学した時に猫目に惹かれて、店の人にぜひ譲ってほしいと頼んだ。しかし、修理に出していた猫の恋人を引き離すわけにはいかないと断られた。それは偶然にも、雫が書いた物語と似ていた。一緒にいた女性が、恋人の人形が戻ってきたら、彼女が引き取って、一緒にすると申し出た。西はバロンだけ持ってドイツを離れ、女性に必ず迎えに来て、バロンも恋人の人形と一緒にすると約束した。それからすぐ戦争が始まり、約束を果たせなかった。戦後、ドイツに探しに行くが、その女性も、バロンの人形の行方も分からなかった。西老人は、ルビーの原石が入った雲母片岩を雫にあげる。

 

 雫は西老人の車で家の近くまで送ってもらう。夜遅く家に帰った雫は、母に今日からとりあえず受験生に戻ると話す。父が部屋に入ると、雫は疲れて寝ていた。

 翌早朝、目覚めた雫が部屋の窓を開けて何気なく下を見ると、1日早く帰国した聖司が手を振っていた。聖司は心の中で雫を呼んだら、本当に顔を出したと感激する。聖司は雫に見せたいものがあると言って、雫を自転車の後ろに乗せてでかける。

 2人は街を見渡せる高台に行く。日が昇り、街が朝焼けに照らされる。聖司はこれを雫に見せたかったと話す。聖司は西老人から雫の話を聞いて、自分の事ばっかり考えていて何も応援しなかった事を謝る。雫は聖司がいたから頑張れた事、自分の事が少しわかった事、もっと勉強するために高校へ行くと決めた事を話す。

 聖司は、自分が一人前のバイオリン職人になったら結婚してくれないかと言う。雫は小さく頷いて「嬉しい、そうなれたらいいと思っていた」と答える。聖司は「大好きだ!」と言って雫を抱きしめる。

 (エンドクレジット。主題歌、雫の歌詞の『カントリー・ロード』)

(写真は「IMDb」「スタジオ・ジブリ公式ホームページ」より)