実写版『耳をすませば』ネタバレの感想 待ち望んだ10年後の姿が見られて感激(再掲) | アンパンマン先生の映画講座

アンパンマン先生の映画講座

映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 2024年5月10日に「金曜ロードショー」で『耳をすませば』実写版が放映されるので、2022年10月の公開当時に掲載した「ネタバレの感想」を再掲載する。

 評価 5/5 ☆☆☆☆☆

 スタジオ・ジブリの名作アニメ『耳をすませば』(1995年)を見て、10年後の2人はどうなるのか、ずっと気になっていた。本作はその10年後を描いていると聞き、アニメ版を見直し、楽しみにして「フォーラム山形」で鑑賞した。

 アニメ版は1995年公開だが、実写版の過去は原作のコミック(未読)が書かれた1989年で、10年後の現在が1999年になっている。天沢聖司がイタリアで修行するのは、原作では画家、アニメ版ではバイオリン作りの職人、実写版ではチェロ奏者とちょっと違う。映画的にチェロの方が適しているのだろう。アニメ版では聖司がバイオリンで『カントリー・ロード』を演奏したが、実写版では『翼をください』に変わった。本作は未来への希望がテーマなので、曲も変えたのか?イタリアで聖司が『翼をください』を演奏すると、周りの人が一緒に演奏したり歌ったりしたが、イタリアでも有名なの?

 その他、中学生の雫が書いた物語の最初の読者が、西老人から聖司に変更されたが、雫と聖司の関係を強調するためだろう。

 アニメ版を知らない観客(ほとんどいないと思うが)のためか、アニメ版の話を過去編として所々に挿入されるのが分かりやすく、また現在と対比されて、とてもいい表現方法だと思った。しかもアニメの再現度が非常に良い。まず雫がイメージ通りである。電車に来た猫のムーンの動きがアニメ版そのままで、ここまでやるのかと感心した。バロンの人形の再現度も申し分ない。夕子の髪形や「そばかすが増えたらどうするの」の台詞まで同じで笑ってしまった。神社で雫と杉村が話し合い、走り去ろうとする雫の腕を杉山が取る場面まで同じで、感心した。

 アニメ版のエンディングで杉村と夕子が描かれているが、10年後に結婚にたどり着いたのは嬉しい事だ。10年絶っても、杉村は女心がわからないのも面白い。

 今はスマホやパソコンでのカメラで相手を見ながら会話できるし、いつでもメールでやり取りできる。この当時の連絡手段は手紙か国際電話だけなので、遠距離恋愛は難しいだろう。聖司は10年間一度も日本に帰っていないらしく、「相談したい相手はいない。どうすればいいかわからない」と嘆く雫の心もわかる。高度成長期の当時は有給休暇を取るのも難しかった。雫役の清野菜名は、『キングダム2』の羌瘣(きょうかい)のイメージが強く、パワハラ編集長に雫が怒鳴られる場面では「蚩尤(しゆう)の暗殺剣でやっちまえ」と思った(笑い)。

 イタリアで、聖司がチェロで『翼をください』を演奏し、雫が歌うと、いつの間にか中学生の聖司と雫も一緒に演奏し歌っているではないか。この場面は涙が出てきた。中学生の雫は赤い服、大人の雫は赤いコートで、服の趣味が変わっていないのも感心した。

 イタリア女性サラの一方的な告白(アニメ版では雫は英語が得意だったので、サラの英語を雫はきっと理解したのだろう)で、雫が傷心し帰国したのは可哀そう。聖司が強く引き止めればいいのに。

 聖司は帰国し、早朝、家の前に自転車でいる聖司を雫が見つける。アニメ版であった「奇跡」が2回もあっていいの?と思うが、アニメ版と同じ場面が再現されて嬉しい。雫も10年前の場面を思い出して、体重が10年前と変わっていないと言うのには笑った。朝日の街並みを見ながら、聖司は雫にプロポーズし、雫は受け入れる。これはアニメ版以来、ずっと見たかった場面なので感激した。評価は「5」である。

 ところで、当初は2020年公開予定だったが、コロナ禍で海外ロケができず、今年に公開が延期になったと聞く。てっきりイタリアでロケしたと思ったら、現地でリモート撮影した映像に俳優を合成したとパンフレットに書いてあったので驚いた。