実写版『耳をすませば』ネタバレの詳しいあらすじ(改訂) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 2024年5月10日の「金曜ロードショー」で『耳をすませば』実写版が放映されるので、2022年10月に掲載した「ネタバレの詳しいあらすじ」を見直して改訂した物を掲載する。

監督:平川雄一朗  2022年

主な登場人物(俳優)役柄

【現在1998年】

月島雫(清野菜名)星見出版の児童書編集部の編集者。作家になる夢を追い続けている。

月島靖也(小林隆)雫の父。杉宮中央図書館の司書。

月島朝子(森口瑤子)雫の母。

天沢聖司(松坂桃李)雫の恋人。チェリストになる夢を叶えるために、10年前にイタリアに渡る。

西司朗(近藤正臣)聖司の祖父。アンティークショップ地球屋の店主。

原田夕子(内田理央)雫の親友。雫とルームシェアしている。

杉村竜也(山田裕貴)夕子の恋人。雫の親友。

堀内(音尾琢真)雫が勤務する児童書編集部の編集長。

津田みどり(松本まりか)雫が勤務する児童書編集部の先輩編集者。

高木洋輔(中田圭祐)雫が勤務する児童書編集部の後輩編集者。

園村真琴(田中圭)児童文学作家。

【過去1988年】

月島雫(安原琉那)読書好きの中学生。

天沢聖司(中川翼)雫が憧れる同じ中学校の男子生徒。

原田夕子(住友沙来)雫の同級生で親友。

杉村竜也(荒木飛羽)雫の幼馴染。野球部。

 

【過去・1988年】

  高台にある「風街公園」で中学生の天沢聖司が「10年間向こうで勉強して、プロのチェリストになる」と中学生の月島雫に打ち明ける。雫も「私ももっと勉強して、物語を書く」とお互いの夢を語る。

 実家に帰った雫は両親に、同居していた原田夕子が結婚するので引越すので、有給休暇を取って新しい家を探すと話す。母は雫に「あなたはどうなの?」と尋ね、雫は「まだまだ」と答える。

 雫が応募した小説の新人賞の結果の封筒を開けると、落選だった。原稿を段ボール箱に仕舞うと、今まで書いた沢山の原稿がある。「ファアリーテール」の図書カードに書かれた、天沢聖司の名前を眺める。

【過去】

 中学生の雫は図書カードを見て「天沢聖司ってどんな人だろう。全部私より先に本を借りている。きっと素敵な人だよね」と想像する。雫が帽子を被り、川沿いの道を歩くと、空を飛行船が飛んでいた。夏休み中の学校へ行き、保健室の高坂先生に頼んで図書室を開けてもらい、本を借りる。まだ一人しか借りていない『フェアリーテール』も天沢聖司が先に借りていた。雫が高坂先生に「天沢聖司って知っています?」と尋ねると、高坂先生は「一言でいうと、変人かも」と答える。

 そこに親友の原田夕子が「15分も日向に待たせて、そばかすが増えちゃう」と文句を言いながら図書室に来る。雫と夕子はグラウンドの傍のベンチに座る。夕子は「1組の山﨑君からラブレターを貰った。どうしよう。雫は好きな人はいる?」と相談する。雫は「好きな人じゃないけど、気になっている人が…」と口ごもり、「夕子は好きな人がいるbの?」と聞く。夕子は野球部を眺める。

 そこに野球のボールが転がって来て、杉村が「雫、ボールを取ってくれ」と頼む。杉村を見た夕子は逃げ出す。雫はボールを渡すと、夕子を追いかける。夕子は、杉村が好きだと雫に教え、雫は「お似合いだと思う」と賛成する。

 雫はベンチに本を忘れて来た事に気付いて戻ると、ベンチで聖司がその本を読んでいた。聖司は「中3で妖精でもないだろう。この本は、妖精が人間に恋して諦める話だ」と教える。雫は「何で言うの?嫌な奴、嫌な奴、嫌な奴」と怒る。

【現在】

大人の雫は母に、父へ弁当を届けるように頼まれる。

【過去】

中学生の雫は母に、父へ弁当を届けるように頼まれる。電車に乗ると猫が入って来て、雫の隣の席に座る。

 猫が駅で降り、雫が追うと「地球屋」と言う店に入る。雫も中に入るとアンティークショップで、猫の人形を見て、先のネコかと思う。雫は人形に魅かれ、水面に水滴が落ちる音を聞く。店の主人の老人の西司朗が、その人形は「バロン」と言うと教える

 中学生の雫は図書館でまだ天沢聖司が借りていない『バビロンの城』と言う本を見つけ、「天沢聖司に勝った」と呟き、閲覧室のテーブルでその本を読む。その向かい側に天沢聖司が座り『魔法の森』と言う本を読む。雫は聖司に「妖精は駄目で、魔法は良いんだ?」とからかう。

【現在】

 大人の雫は、閲覧室の当時座っていた机を眺める。書架にいた司書の父に弁当を届ける。食堂で父は弁当、雫はうどんを食べる。父は「今も物語を描いているのか?雫の会社の本が、図書館に沢山入っている。家に帰って来い」と言う。

 雫は「地球屋」に行き、バロンの人形に「バロン、久しぶり」と挨拶する。西老人は紅茶を入れ、コンクールに応募している雫に「自分の夢を育てている事は素敵だ」と話す。雫は「もう10年も経っちゃいました」と言うと、西老人は「まだ10年ですよ」と励ます。雫は「聖司君に負けていられない。昔の私はバロンを見ると、音が聞こえた」と言うと、西は「雫さんの心の音ですか?」と聞く。

 夕子と雫の家に帰ると、荷物を整理していた夕子が雫としていた交換日記を見つける。そこに夕子の婚約者の杉村が来て、結婚式の話をする。雫は「2人が結婚するとは凄いね」と感心する。

【過去】

 杉村が夕子を呼び出し、渡り廊下で「山崎が、ラブレターの返事が欲しいって」と聞く。夕子は「何で杉村がそんなこと言うのよ?」と走り去る。

 神社で杉村が雫に「夕子に何か悪いこと言ったかな?」と聞く。雫は「本当に鈍いわね。夕子はあんたの事が好きなのよ」と教える。杉村は「困るよ。俺はお前の事を好きなんだ」と告白する。雫は「駄目だよ、私は。ごめん」と言って去ろうとすると、杉沼は雫の手をつかむ。雫は「でも、好きってそういうんじゃ。だって、杉村とはずっと友達だったから。これからも」と断る。

【現在】

 杉村は雫に「雫は天沢と結婚しないの?」と尋ね、雫はむせる。杉村は「10年、純愛を貫いているんだから」と言い、さらに「今頃イタリア美人と…」と言うと、夕子は「そんな人じゃない」と怒る。

 イタリアの聖司は仲間のシューマン、バッハ、サラと4重奏の練習をして、いろいろ注文を付け、休憩にする。

 会社で堀内編集長が、雫が担当の園村先生の原稿に駄目出しして「もっと現実味が欲しい。情熱が足りない。大事なのは愛だ」と言う。また編集長は「有給取っている場合か」と怒る。後輩の高木は「有給って消化してダメなんですか」とぼやく。

  喫茶店で雫が園村に「編集部の意見で、直しを入れて欲しい」と頼む。園村は「月島さんはどう思いますか?」と尋ねるが、雫は模範解答しか言えない。

 会社に戻った雫は、園村が検討すると報告する。先輩の津田は「編集者は自分の感性を信じて、必死で作家と向き合わなければ」と助言する。高木は「自分の気持ちだけではどうにもならない時がある」と雫を庇う。

 聖司はMDに録音した曲を聞きながら、楽譜に書き込む。

 家で雫が夕子に「何かと情熱だ、愛だと、自分の気持ちをねじ曲げて仕事するのが嫌だ」とぼやく。夕子は「雫はずっと夢を見ていて偉い。天沢君の事も」と誉める。雫は「さすがに10年は長い」と嘆く。

 雫は部屋の聖司の写真を見て「頑張らなきゃ」と呟く。

 聖司も部屋の雫の写真を見て「頑張りますか」と呟き、チェロの練習をする。

【過去】

 雫が猫を追って地球屋を訪れると、チェロの音が聞こえるので2階に行く。聖司がチェロを弾いており、雫は水滴が落ちる音が聞こえる。聖司は「ここはお祖父ちゃんの家で、お祖父ちゃんもチェロ演奏者だった」と教える。雫は「ムーン(猫)に連れてこられて」と話す。聖司は「童話を読むと、チェロの音がする」と話し、雫も「童話を読むと、水が落ちる音がする」と話す。

聖司は「チェロ演奏者になるのが夢だが、親が反対している」と言う。夢を聞かれた雫は「最近本を読んでも、音が聞こえなくなった」と話す。聖司は「自分で物語を描いてみれば」と助言する。

 雫が書けずに悩み、バロンの目を見ると、輝いていた。聖司が「エンゲルス・ツイマ―(天使の部屋)」と言って、人形師が誤ってつけた傷だ。バロンはお祖父ちゃんが若いときにドイツで貰った。恋人の人形が製作途中で、戦争が始まってそれっきりになった。バロンは恋人をずっと待っている」と話す。話を聞いた雫は泣く。

 雫は家で「バロンの物語」を書く。

【現在】

 雫は箱から聖司の手紙を出して読む「雫が手紙で一緒に頑張ろうって言ってくれたおかげで、頑張れる」と書いてあった。

 雫は園村の家で書き直した原稿を受け取り、目を通す。園村が「書き直す前と後で、どちらが面白いと思いましたか?」と尋ねるが、雫は答えられない。園村は「担当を降りて下さい。自分の心に正直な人と仕事がしたい」と宣言し、原稿を捨てる。

 聖司はホールで練習していると、チェロの弦が切れる。

 会社で編集長が「何をやった。編集者の資格がない。帰れ」と怒鳴り、担当を高木に変える。高木は「園村先生は気難しいから」と慰めるが、津田は「二兎を追う者、一兎も得ず。片手間に編集の仕事できない」と言う。

 夕子と杉村は結婚式の席を考えていると、雫が帰ってくる。杉村が雫に「仕事はどう?」と話しかけると、夕子は杉村に「雫が落ち込んでたでしょ。鈍感」と怒る。

【過去】

 雫と夕子が廊下を歩いていると、向こうから聖司がやって来るので、慌てて雫が職員室に入って隠れる。屋上で夕子は「恋じゃない。自分の気持ちに正直になりな。私も杉村君に好きだと告白する」と伝える。

 教室にいる雫を、聖司が呼び出す。同級生は「月島に男がいた」とはやし立てる。雫は聖司を屋上へ連れて行く。聖司が「最近、自分を避けている。バロンにも会いに来ない。物語を書き終わったら読ませて。俺が最初の読者になってやる」と話す。雫が「それはどうかな」と笑うと、聖司は「やっと笑った。月島は笑っていないと」と喜ぶ。沢山の同級生が屋上の入口で聞いていた。

 

 雫は小説を書く。窓の外を見ると、飛んでいた飛行船がバロンの顔になる。物語を書き終える。

 雫が地球屋に行くと、聖司がチェロで『翼をください』と弾いていた。雫が書き終えた原稿を聖司に渡すと「俺が最初の読者か」と感激する。雫は「ダメならダメと言って」と言う。聖司は「第一歩の記念に『翼をください』を歌って」と頼む。

【現在】

 雫が地球屋に来て、バロンに「また来ちゃいました」と話しかける。2階に行くと、西老人がチェロを弾いていた。雫は、西老人が子供の聖司にチェロを教えている幻影が見える。

 雫の話を聞いた西老人は「それは大変でしたね。社会に出ると、色々なしがらみがある」と慰める。そして「あなたの心の中に水がある。成長するに従って形が変わり、色も付いて来る。大人になるとしがらみに潰されて水が氷になって固まり、音が聞こえなくなる」と教える。雫が「固まった氷を解かすにはどうすれば良いですか?」と尋ねると、西老人は手を広げて耳にかざし「耳をすませば、氷が解けて心の声が帰って来る。かもしれません」と言う。雫も耳に手を広げてかざしてみる。

 雫は図書館に行き、耳に手をかざす。

【過去】

 図書館で聖司が雫に、雫が書いた物語の原稿を返す。雫は「ダメだったでしょ。幼稚でボロボロの文章で」と言うと、聖司は「素晴らしかった。未完成だけど、才能があるので続けなさい。俺も雫に刺激されて、父にチェリストになりたいと話した。やりたいなら徹底的にやれって、来年からイタリアに行く事になった。お祖父さんの知り合いのチェリストがいて」と話す。雫は驚く。

 帰ろうとすると外は雨で、雫は傘を忘れてきた。聖司が自分の傘に一緒に入ろうと誘うが、雫は雨が止むまで待つという。しかし、しばらく待っても雨が止まないので、雫は濡れて帰ろうと走り出す。すると物陰にいた聖司が「お前、素直じゃないね」と傘を差しだす。雫と聖司は傘を取り合って一緒に帰る。

【現在】

 雫が図書館の外に出ると、雨が降り出す。雫は雨に打たれて夕子と雫の家に帰る。

 雫、夕子、杉村の3人でビールを飲み、鍋を食べる。

 雫は「夢を追って、もう10年たったが芽が出ない。会社で追い込まれて、相談したい相手はいない。どうすればいいかわからない」と嘆く。夕子は「答えが出ているんじゃない。天沢君に会いに行くんでしょ」と話す。杉村も賛成する。

 公衆電話から雫がテレホンカードで電話する。聖司が出ると雫は「来週そっちに行く」と話す。聖司が「仕事?」と尋ねると、「聖司君に会いたくて」と言う。聖司も「楽しみにしている」と答える。

 聖司の部屋でサラが「誰から?」と聞き、聖司は「月島雫。俺の一番大切な人」と答える。

 雫が会社で堀内編集長に、有給休暇を取りたいと申し出る。堀内は「会社辞めるつもりか。認められない。人手不足で、周りのことを考えろ」と怒鳴る。雫が「じゃあ、会社を辞めます」と言いかけると、高木が「月島の分は僕がカバーします」と割って入る。津田も堀内に「辞められたら一番困るのは誰?」と話す。堀内は認め、雫は高木と津田に感謝する。津田は「デカプリオが、人生は贈り物だと言っていた」と話す。

 雫はイタリアに行く。雫が聖司を待っていると、聖司が劇団の仲間とやって来る。サラが聖司に抱き着くのを見て、雫は物陰に隠れる。

 夕方、練習が終わった聖司が走って家に帰ると、家の前で雫が待っていて、雫は「来ちゃった」と言う。2人はレストランで食事する。店員や店長が聖司に話しかけるのを見て、雫は「すっかりイタリア人だね」と感心する。聖司は明日の演奏会に雫を誘い、「12時半にオアステレベの広場で」と約束する。雫は「聖司君の演奏見るの久しぶり」と楽しみにする。

 食事後、聖司は家に雫を誘う。雫は園村との件を聖司に話す。雫は「全部私がいけない」と話すと、聖司は「先生は雫を信頼している。信頼してなきゃ怒らない」と諭す。雫は「物語を書くのやめようと思う。コンクールに落ちてばかり。現実は厳しい。夢見るのやめようと思う」と話す。聖司は「音が聞こえなくなった」と言う。雫は「私も。おじいさんに言ったら、心の声を聴きなさいって」と、耳に手をかざす。聖司は「夢は形を変えていく。最初はチェリストになるのが夢だったが、今はどれだけ沢山の人を笑顔にできるかが俺の夢」と話す。「書くのを辞めても、仕事で周りの人を楽しませるのも夢。でも俺は、雫に物語を書き続けてほしい」と言う。

 聖司はチェロで『翼をください』を弾き、雫が歌う。いつの間にか中学生の聖司がチェロを弾き、中学生の雫が一緒に歌っている。

歌い終わって雫は「すっきりした」と言い、聖司は「久しぶりに楽しかった」と言う。雫が「私待ってていいのかな。聖司君のことを」と聞く。聖司が答えようとすると、ノックの音が聞こえる。サラが訪ねてきて、「雫に会わせてくれ」と入ってくる。サラは雫に「私は聖司が好き。あなたと聖司は、住む世界が違うの」と言う。雫は帰る。

聖司は外で雫を探す。雫は手すりの上に座っていて、聖司が隣に座ると「聖司君なら見つけてくれると思った」と言う。それは聖司の幻だった。

 次の日、聖司が約束のオアステレベの広場に行くが、雫はいなかった。12時40分、仲間が、もうすぐ演奏が始まると、聖司を迎えに来る。雫が広場に来るが、聖司はいない。時刻は13時で、サラが言った「あなたと聖司は、住む世界が違うの」の言葉を思い出す。

 夕子が引っ越しをしていると、雫が帰って来て「やっぱ遠距離恋愛って難しい。別れて来た」と話すので、夕子が驚く。家に入った雫は、部屋にへたり込んで泣く。

【過去】

 雫が川縁の道を歩いていると、飛行船が飛んでいた。風で帽子が飛ばされる。

【現在】

 会社で雫が堀内編集長に「今から気持ちを入れ替えて頑張ります。園村先生に謝罪に行きたい」と話す。堀内も賛成する。雫は高木と津田に「人生は贈り物だとデカプリオに教わった」と話す。

 雫は園村先生に会い、土下座して謝り、園村が止める。雫は園村の担当に戻りたいと言うが、園村は高木の担当は変えないと言い、「初めて会った時は、率直に感想を言ってくれた。これからも頑張って下さい」と励ます。園村が「まだ物語を書いていますか?」と聞くと、雫は「止めようと思っています」と答える。園村は「いつか素敵な物書きになると思います。頑張って下さい」と言って、握手する。

 夕子が「本当に良いの?」と聞くと、雫は「夢に生きている聖司君はキラキラしていた。10年の遠距離恋愛は辛かった。無理していた」と話す。雫は実家に戻ると言い、杉村は「家に遊びに来い」と誘い「日々選択した事が未来の自分につながる」と励ます。

 聖司は手紙を書き、ポストに出す。仲間と次のアルバムの話をして、聖司は「次は日本の曲をアルバムにしたい」と話すと、仲間に反対される。

 雫に聖司の手紙が届き、次のように書かれてあった。「この間はごめん。雫の質問に答えられなかったから、手紙を書く。雫を初めて知ったのは、図書館。僕が好きな本を選んでいる雫を観察した。雫の気を引くため、雫が読みそうな本を先回りして借りた。初めて会った時、すでに雫を好きだったが、僕は強がって、好きと言えなかった。雫をずっと見ていた。初めて告白した日…。

【過去】

 丘の公園で聖司と雫が朝日を見ながら、聖司は「雫が好きだ」と言う。雫も「私も聖司君が好き」と言う。聖司は「チェロで一人前になるのに10年掛る。向こうで勉強してプロのチェリストになる」と宣言する。雫も「私も勉強して、物語を書く。一緒に頑張ろう」と言う。

【現在】

 手紙の続き「お互いに頑張ろうと雫に励まされて、今の俺がいる。一緒に歌って心の氷が解かされた。心から音楽を楽しんでいなかった。雫は僕の太陽みたいな人。夢を諦めて欲しくない。一番最初の読者の僕の願い」と書かれてあった。雫の心の水が金色に染まり、水滴が落ちる。雫は手紙を抱いて座る。

 イタリアの聖司に雫の手紙が届く。「聖司君。手紙ありがとう。聖司のおかげでまた心の音が聞こえた。私も夢を諦めないで、もう一度物語を書こうと思う。少しずつでも前に進んで行きたい。夢は形を変えて成長していくのかも。自分の心に正直に書き続けたい。物語が完成したら、また聖司君に読んでもらえたら嬉しい」とあった。

 聖司は広場で『翼をください』の曲をチェロで弾く。周りの人も集まり、一緒に演奏したり歌ったりする。

 雫は、部屋で物語「バロンの物語」を書き始める。

 地球屋に聖司が帰って来る。夜中、聖司は自転車で出かける。雫が物語を書き終え、外で物音がするので窓から外を見ると、自転車に乗った聖司がいた。急いで雫が玄関から外に出て「何で?どうして?」と尋ねる。聖司は「奇跡だ。また会えた。一緒に行こう。中学の時、約束したろう」と言って雫を自転車に乗せ、坂を上る。

【過去】

 聖司は自転車に雫をのせて、丘の公園に来る。聖司は雫に「何年かかるか分からないけど、またここに来よう」と約束する。

【現在】

 聖司は「日本を拠点に世界を目指す」という。「10年かかったけど、僕には雫が必要だ。俺の傍にいてほしい。雫と一緒に新しい夢を育てたい。月島雫、俺と結婚してください」と申し込む。雫は「はい」と嬉し泣きする。聖司「愛してる」。雫「私も愛している」と抱き合う。

 完成した原稿の題は『耳をすませば』だった。

 (エンドクレジット。主題歌『翼をください』杏。イタリアの町の風景。川沿いの道を歩く、雫と聖司)

(写真は「IMDb」「映画com」より)