『流転の地球 太陽系脱出作戦』ネタバレの感想 壮大な本格的SFに感動 | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 5/5 ☆☆☆☆☆

 中国の本格的SF映画と言うので見た。本作は第1作『流転の地球』(2019年)の前日譚に当たるそうなので、鑑賞前に第1作も見た。

 実は第1作は「ネタバレの感想」に書いたようにトンデモ映画かと思ったのだが、本作は本格的なSFなのに驚いた。金属探知機のゲートだと思ったら、動いて侵入者を捕まえたので、ロボットだったのにビックリ!ジョウ大使を守るし、水中にも潜れるし!宇宙エレベーターも凄い。ロケットエンジンで上昇するのか。SF好きをワクワクさせるギミック満載である。100年で太陽が地球を飲み込むと言う設定も、第1作で聞いているので、納得してしまった。静止軌道上にあるアーク宇宙ステーションが落下する大惨事が起きるし、月を爆破するし、3時間近い映画だが、全く飽きる事がない。

 まず、リウとハンの恋話が描かれる。テロリストの攻撃を受け、キャビンでは大乱闘。リウのバラの花束をバラバラにされてぶち切れするし、ハンはこんなに魅力的な女性だったのか!第1作でハンが病気で亡くなったのを知っているので、余りに可哀そうである。

 それと並行して「移山計画(後の流浪地球計画)」を推進する国連政府での話が描かれる。反対派による爆破事件が起きたらしく、緊張した場面から始まるジョウ大使は重要なスピーチを若い女性外交官ハオに託し、「一語も漏らさずに読めばいい」と助言する。終盤でハオは後を受け継いで大使になったらしい。ハオは重要なスピーチを青年外交官ジャンに託し、同じ助言をするのが感動的であった。

 それと並行してトウー博士の娘ヤーヤーをデジタル生命化した話も描かれる。父へ抱きついたいと言うやーやーの訴えも涙を誘う。ただの博士の個人的な目的でやっているのかと思ったら、最後にヤーヤーが核の暗号化を記録する役割を行い、感動的だった。

 最後に描かれるのが「月追放計画」。地球が太陽系から離脱するためには、月が周りを公転していると、その質量が邪魔になり速度が出ない。月にも衛星エンジンを建造し、月を地球公転軌道から離脱させるのは理にかなっている。ところが反対派の妨害交策で、月が地球に向かって落下すると言う。月のロッシュの限界は地球の半径の1.44倍で、9500㎞だそうだ。その圏内に月が入る前に全世界の核爆弾で月のコアを破壊するという物。

 そのためには、、地球エンジンを制御するネットワークがまだ完成していない中で月球危機が発生したため、バックアップとして北京・東京・ダラスにあるインターネットのルートサーバーを再起動させて、ずっと停止していたインターネットを地球エンジンの制御ネットワークとして利用するというものだ。迫り上がってくる水位を前にトゥーはヤーヤーに3万桁のパスワードを見せながら溺れて意識を失うが、最後にはヤーヤーと共に人類を救った。何とも感動的な話である。

 ただし、核爆弾を起爆させるコードは量子コンピューター550Wで解読しなければならない。核爆弾を設置するのは人力だし、起爆ボタンを押すのは手動と言い、何千もの人々が犠牲になった。何とも呪われたものである。

 トウー博士の娘ヤーヤーの2人はデジタル世界に入ったらしい。ドアをノックするものは誰だろう。量子コンピューター550Wの文字を逆さまにしたのが、第1作にも登場したMOSSだった。そう言えば、ハッキングされたドローンや、大使館の防犯カメラなど、MOSSと思われる目が意味深にクローズアップされていた。全ての事件はMOSS。が引き起こしたのだろうか?

 2075年後にも危機が起こると警告されていたが、ヘリウムフラッシュなのだろうか。是非第3作も制作してほしい。評価は「5」である。

 中国語題は『流浪地球2』、英語題は『The Wandering Earth II』で『流浪地球2』の意味である。