『ミニオンの月世界』ネタバレの詳しいあらすじと感想 | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

ネタバレの詳しいあらすじ

監督:ジョナサン・デル・ベール  2023年

あらすじ

ミニオンズ グルーの手下の黄色く背の小さい生物。

ベクター(ジェイソン・シーゲル/山寺宏一)グルーの宿敵。

 

 前回『怪盗グルーの月泥棒』の話。悪党ベクターが「縮ませ光線銃」を奪った。ネファリオ博士が発明した「反重力薬」を飲んだミニオンが、空に飛んでいく。グルーが月を小さくして盗み、狼男の変身が解け、波が無くなってサーファーが落ちる。ベクターが奪った月が、次第に大きくなる。月は元に戻り、ベクターは月にとり残される。

 〔月、地球から384,400km〕

 月面上のベクターが「むかつく」と呟く。

(タイトル『MOONED』)

 ベクターは「おいらの計画通り」と強がりを言うが、「死んでしまう。誰か助けて」と叫ぶ。月の重力が小さい事に気づき、岩の上から地球に向かってジャンプし、空中を泳ぐ。すると、「反重力薬」を飲んで地球から飛んできたミニオンと衝突し、2人は月に落下する。

 ベクターはミニオンに「ここから出る方法を知っているか?」と質問をするが、知らなかったので「ここから出て行け」と言う。ベクターは石を投げて、ミニオンに取りに行かせる。

 ベクターが辺りを見渡すと、月着陸邸の下部を見つける。通信装置(?)のボタンを押すと、月着陸邸の脚が壊れて落下し、ベクターの足の上に落ちる。

 ベクターは服の機能を調べて、服を膨らまして浮く。しかし服が破裂して岩壁に何度も叩きつけられる。 

 ベクターは服の他の機能を調べ、腕をゴムの様に伸ばす。両腕の先を岩に付け、パチンコのようにして飛び出す。しかし速度が足りず、月面を1周する。正面の大きな岩にぶつかりそうになるので、脇の岩に両腕を引っかけて止まろうとする。ぎりぎりで止まるが、上から岩が落ちてベクターに当たり、両腕を引っかけた岩が飛んできて当たり、正面の大岩も崩壊してベクターが下敷きになる。

 次にベクターは、お椀状に凹んでいる場所のフチに月面車を転がして、地球まで飛ぼうと考える。しかし、そこに岩があったのでツルハシやドリルで砕く。すると縁に置いた月面者が振動で落ちてきてベクターが轢かれ、反対側に上った月面車が戻って来て、何度も轢かれる。

 ベクターは服にミサイルがある事を思い出し、背中に沢山のミサイルを出す。ミニオンが地球に電話して、仲間が迎えに来たとベスターに知らせるが、言葉が通じない。ミニオンは仲間と宇宙船で帰る。ベクターは服を脱いで、月着陸邸の底にミサイルを仕掛け、服の袖で自分の体を月直陸邸の上に縛る。ミサイルに点火し、地球に向かって発射するが、ミニオンの宇宙船に衝突する。

 ベクターは気が付くと、火星にいた。

 〔火星、地球から46,633,984km〕

 ベクターにカエルの様な宇宙人が話しかけるが、言葉が通じないので追い返す。4人のミリオンと宇宙人人は、空飛ぶ円盤で地球に向かう。それを見たベクターは「むかつく」と呟く。

 

 

 ネタバレの感想 月脱出に悪戦苦闘するベクターが面白い

評価 2/5 ☆☆★★★

 そう言えば『怪盗グルーの月泥棒』(2010年)の最後に、月にとり残されたベクターはどうなるのだろうと思った。それが13年後の『FLY!/フライ!』と同時上映で、/短編映画化されるとは思わなかった。

 ちょうど『怪盗グルーの月泥棒』の直後の場面から続くらしい。月から脱出しようとする、ベクターの悪戦苦闘ぶりが面白い。

 でも、月の重力が地球の約6分の1とは言え、月の第2宇宙速度(月の重力圏脱出、つまり地球へ行く速度)は2.4㎞/sなので、ジャンプしただけでは飛び出せない。ましてや、月面は真空なので、空中を泳ぐ事は出来ない。

 ベクターが投げた石が、ゆっくり飛んでいくのが面白い。でもベクターが投げた水平方向の速度は地球と同じはずなので、下へ落ちる速さが6分の1にゆっくりになるだけだと思う。

服を(おそらくヘリウムで)膨らませても、月面は真空なのでヘリウムの方が重く、浮かない。服の中をヘリウムにしたら、どうやって呼吸するのだろう。そう言えば、酸素はどうしているのだろう?

 「反重力薬」を飲んだミニオンが地球から月までやって来たので、そのミニオンに捉まって地球に向かってジャンプするのが、一番可能性があるかもしれない。ただし、大気圏再突入の際の摩擦熱(約3000℃)に耐えなければならないが、ベクターの服には色々な機能が付いているので、きっと熱に耐えられる構造になっているかも知れない。

 次にベクターは服の腕をゴムにして、パチンコの原理で飛ぼうとするが、足でジャンプするよりは速い速度が出せそうである。でもこの方法で、ベクターは月面ぎりぎりの高さで月を1周しているので、第1宇宙速度(周回軌道の速度)1.7km/sに達したようである。

 次にベクターはお椀状の地形に月面車を転がして、ジャンプしようと試みる。でも力学的エネルギー保存則で、月面車は同じ高さになると速度が0になる。ベクターが月面車に轢かれたように、戻って来るだけで、地球に向かって飛び出すことはできない。なお、月面車の車輪は空気を詰めるタイヤだと真空中で破裂するので、金属の網状である。

 ベクターの服にミサイルが装備されているのだったら、最初からそれで飛べばよかったのでは。でも服を脱ぐのはだめである。ミリオンは真空中で生きられるようだが、人間は生きていけない。これを見た子供が真似して、月面で宇宙服を脱いだら大変な事になる。「良い子」は決して真似をしないでください。

 ミサイルで飛んだベクターは、運悪くミニオン達の宇宙船に衝突してしまう。着いた所は何と火星であった。次回作は、ベクターが火星から悪戦苦闘して脱出する、『ベクターの火星世界』になるのだろうか?

 原題は『MOONED』で、「月のような」「ぼんやりとした」などの意味の他に、俗語で「尻を見せる」の意味もあるそうだ。ベクターは服を脱いだ時、お尻がアップになる。これが原題の意味だったのか?邦題は「ミリオン」が付くが、ミリオンの人気に便乗しすぎだと思う。

 ベクターが悪戦苦闘するのが面白いが、ドタバタ過ぎで、実際に有りえなく、評価は「2」である。