『ガリレオ 容疑者Xの献身』殺人隠蔽工作トリックがすごい(再掲) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 2024年3月23日に「土曜プレミアム」で『ガリレオ 容疑者Xの献身』が放映されるので、2022年9月に掲載した「ネタバレの感想」を再掲載する。

 評価 5/5 ☆☆☆☆☆

 冒頭のガウス加速器の実験が面白い。超電導磁石を使えば、爆発炎上するほどの破壊力になるのだろうか?この大規模実証実験は派手で、掴みとして画になる。でもCTやMRIの装置で海上のクルーザーに照準を合わせるのは、難しいのでは?

 さて、この物語は天才石神が仕組んだ完全犯罪を、湯川がどのようにして解明するかが見所である。この殺人事件のトリックは、12月2日の花岡母娘のアリバイ工作トリックと思っていたら、富樫殺害は12月1日に行われ、12月2日に石神が第2の殺人を行って死体をすり替えて犯行日をごまかすトリックとは意外だった。浮浪者を富樫の簡易宿泊所の部屋に泊め、毛髪や指紋を残させるとは感心した。このトリックを考えた石神は凄い。

 当初は、花岡母娘のアリバイが確立し、富樫は賭博関係のトラブルで殺されたとしたかったようだ。しかし、石神のたった1つの誤算が、湯川の存在である。石神が言った「次のカードを切る」とは、自分が靖子のストーカーになり、真犯人を名乗って自首する事のようだ。石神は工藤と靖子が付き合っている現場を撮影し、工藤に手紙と写真を送り付けたのは、石神が靖子を恨んでいるのかと思ったら、これも自分が犯人だと思わせる偽装工作だったとは驚いた。

 ところで、本当の富樫の遺体が見つからないのだから、死体なき殺人でも良かったのではと思った。でもそれだと、宿泊所の宿帳から富樫が失踪したと分かる→クラブで富樫が靖子の居場所を聞いた→靖子が怪しいと、結局は靖子に嫌疑がかかるので、富樫の死体が必要だったようだ。2重殺人なら、もし本当の富樫の死体が発見されても。12月2日の死体=富樫、花岡母娘に完全なアリバイ。賭博が原因の殺人もしくは石神が犯人。12月1日の死体=浮浪者、犯人不明。となるのだろう。

 湯川が言っていた「誰にも解けない問題を作るのと、その問題を解くのとでは、どっちが難しい?」は、問題=トリックの事だろう。非常に手の込んだトリックである。そこまで瞬時に石神は考え付いたのだろうか。数学の天才は、完全犯罪の天才でもあるのだろうか?天才が高校の教師をやっているとは、日本の頭脳の損失である。

 今回は親友が容疑者であって、いつになく湯川は感情的になっていた。その様子を見かねた内海が「もし先生が痛みに耐えられないのなら、私も一緒に受け止めます」と言って真相を話すように促すが、これって愛の告白では?

 このトリックを見破った湯川は凄い。湯川に真実を聞かされた靖子は、自首する。題名が『容疑者Xの献身』であるが、容疑者石神が花岡母娘になぜそれほどまで献身的に尽くすのか?靖子に対する片思いにしてはやりすぎだと疑問に思っていたが、花岡母娘が意図しないで石神の自殺を止め、その後の生きる糧になっていたということを知り、なるほどと思った。二人とも刑期を終えたら、幸せになってほしい。

 トリックの意外さ、石神の心情、湯川の推理、どれも凄い。評価は「5」である。