『ガリレオ 容疑者Xの献身』ネタばれの詳しいあらすじ(再掲) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 2024年3月23日に「土曜プレミアム」で『ガリレオ 容疑者Xの献身』が放映されるので、2022年9額に掲載した「ネタバレの詳しいあらすじ」を再掲載する。

監督:西谷弘  2008年

主な登場人物(俳優)役柄

湯川学(福山雅治)帝都大学理工学部物理学科の准教授。別名変人ガリレオ。

内海薫(柴咲コウ)貝塚北署の若手の女性刑事。湯川に事件の捜査協力を依頼。

草薙俊平(北村一輝)本庁の刑事。湯川とは大学の同期で友人。

栗林宏美(渡辺いっけい)帝都大学の湯川の助手。

弓削志郎(品川祐)貝塚北署の刑事。内海の先輩。

城ノ内桜子(真矢みき)美人監察医。

石神哲哉(堤真一)関東第三高校の数学教師。湯川の大学の同期。

花岡靖子(松雪泰子)弁当屋「みさと」を経営。富樫とは2回目の結婚だが離婚する。

花岡美里(金澤美穂)靖子の最初の夫との間の娘。中学生。

富樫慎二(長塚圭史)靖子の元夫で、殺人事件の被害者。

工藤邦明(ダンカン)靖子のホステス時代の得意客。

 

 テレビで、武蔵野医科大学病院医院長・大倉正宏が死亡した、羽田沖クルーザー爆発事故について報じていた。海上保安庁は、船に爆弾が仕掛けられた形跡がない事から、偶発的事故の可能性が固いと見ていた。しかし大倉に脅迫文が届いていた事から、殺人事件の可能性も捨てきれなかった。国際防衛研究所長・有蘭文雄は「洋上の船を狙い撃ちするとしたら、かなり大型の火器を使用しなければならなく、何らかの痕跡が残るので、常識的にはあり得ない」と話す。

 それを見ていた湯川学は、「全ての現象には必ず理由がある」と言って、「ガウス加速器」の実験を見せる。ネオジウム磁石を加えると、はじき出される鉄球の速度が速くなる。磁石の力を極限まで高めたらどうなるか、実験して見せる。

 超電導加速器で鉄球を射出すると、当たった数十m先の的が大炎上する。「恐らく犯人はこれと似たような装置を使って、クルーザーを狙い撃ちした」と話す。内海薫が「普通の人間には作れない」と反論すると、湯川は「超電導電磁石は、大型医療機器にも使われている」と話す。梅屋敷メディカル・システムの開発工場は、羽田沖に面している。湯川は「事件当日、工場と隣接した民家から、テレビのブラウン管が歪んだり、時計の針が止まったりと言う報告があり、工場で強力な磁場が発生した証拠だ」と教える。

 内海が湯川に「科学で証明できないは、さっぱり理解不能なくせに。例えば愛」と言う。湯川は「確かにそれは、非論理的な物の象徴だ」と言い、「愛」が含まれる方程式や三角形の面積は誰にも解けないと言う。

(オープニングクレジット。タイトル『容疑者Xの献身』)

 朝、石神哲哉が目覚めると、隣の部屋の声が聞こえる。石神は川沿いのホームレスのテント村の前を通って出勤する。石神は花岡靖子が経営する弁当屋「みさと」で弁当を買う。入口で富樫慎二を見かける。

 夕方、花岡家に靖子と別れた元夫の富樫がきて、復縁を迫る。靖子は嫌がって帰るように求める。帰って来た娘の美里が富樫の言動に我慢できずに、富樫をスノードームで殴る。富樫は美里を襲い、靖子は娘を守るために電気コタツのコードで富樫の首を絞めて殺す。

 隣の部屋の物音に気付いた石神が、花岡の部屋に様子を聞きに来る。靖子は誤魔化そうとするが、石神は知っていた。

 貝塚北署管内の大田区の大森スポーツ広場で死体が発見され、内海と弓削志郎が捜査に来る。本庁の刑事・草薙俊平と柿本も来る。遺留品や身元が分かるものは持っていない。衣服は燃やされていた。被害者は全裸で、指紋は全て焼かれ、顔も鈍器で潰されており、身元判明まで時間がかかると思われた。

 捜査会議で身元が判明。被害者は富樫慎二、39歳、無職。死亡推定時刻は12月2日、午後6時から10時の間。川崎市幸区に在住していたが、家賃が払えず、1ヵ月くらい前から簡易旅館を転々としていた。12月1日から簡易宿泊所・扇屋に泊まっており、鍵を持ったまま行方不明となっていたため、盗難届けが出されていた。旅館の室内から採取した毛髪のDNAと被害者の物が一致。指紋も現場に乗り捨てられていた盗難自転車に付着していた物と一致したので、被害者は富樫と断定。死因は頚部の索条痕から、頚部を電気コタツによく使われる袋打ちねじれコードで圧迫されたことによる窒息死。

 富樫は6年前にホステス花岡靖子と結婚し、2年後に離婚した。靖子は富樫の前の夫との間に生まれた中学生の娘・美里と二人暮らし。弁当屋「みさと」を経営している。

 内海と草薙は靖子の部屋を訪ねる。草薙が12月2日夜のアリバイを聞くと、靖子は娘と2人で映画を見に行き、その後はラーメンを食べてカラオケに行ったと証言する。コタツのコードはねじれコードではなかった。

 草薙は、靖子の平日夜の行動としては出来すぎだと感じる。内海と草薙が帰ろうとしたとき、石神が通りかかる。内海達は彼に富樫の写真を見せ、12月2日の夜に隣の部屋にこの男が訪ねてこなかったか尋ねる。石神は誰も来ないと答え、郵便受けから「帝都大学」からの郵便物を取り出す。

 石神は夜中、公衆電話から靖子に電話をかけ、靖子に「想定内だ。聞かれた事に機械的に答えればいい。映画の半券はパンフレットに挟んでおくように。今後も公衆電話から連絡する」と指示する。靖子は不安がるが、石神は「私の論理的思考に任せて下さい」と答える。

 内海と草薙は帝都大学へ行き、湯川へ捜査協力を依頼する。内海が「同じ時間に、2つの場所にいたとしか考えられない」と言うと、湯川は「アリバイなんて科学とは何の関係もない」と断わるが、容疑者が美人だと聞いて興味を持つ。

 内海は「容疑者は犯行時刻に、娘と日比谷で映画を見ていた。その後ラーメン屋とカラオケボックスに行った。店員が覚えていた」と話す。映画を見ていた事は、チケットの半券がパンフレットに挟まれていたので証明された。

 湯川の助手の栗林宏美が「どうして疑うわけ?」と尋ねると、内海は「刑事の勘」と応える。栗林が「同じ時間に、2つの場所にいたとはあり得ない」と言うと、湯川は「1854年、ラトビアの教師エミリーが授業中に2つに分かれた」と紹介する。

 栗林は「半券があったから、映画館にいたとは限らない」と話す。湯川は「刑事が来た時のために映画の半券をパンフレットに挟んだとしたら、相当な強敵だ。実に面白い」と話す。

草薙が、靖子の隣に石神が住んでいると話すと、湯川の顔色が変わり「本物の天才と言えるのは石神だけだ」と話す。

 石神が高校で数学の授業を行うが、誰も聞いていない。

 夜、石垣が公衆電話から靖子に連絡する。靖子は「美里の学校にも刑事が来て、映画のストーリーを聞かれた」と教える。石神は「私の指示に従っていれば、心配はない」と話す。靖子が「どうして私達を助けてくれるのですか?」と尋ねると、石神は「あなたの店で弁当を買えなくなると困るから」と答える。美里は「凄いね。全部石神さんの言う通りになっている」と母に話す。

 石神がアパートに戻ると湯川がいた。刑事の草薙が帝大の同期で、場所を知ったと言う。17年ぶりに再会した石神の部屋でウイスキーを飲みながら、湯川はなぜ高校の教師になったのか尋ねる。石神は「親が寝たきりになり、大学院に残る訳に行かなくなった」と言う。大学時代にやっていた山登りは、今でも続けていた。

 湯川が大学の数学科の教授から借りてきた、現代数学で最も有名な数学難問の「リーマン予想」を否定するレポートを石神に見せ、「この結論が正しいかどうか君に判定してほしい」と頼む。石神はすぐに机に向かう。いつしか湯川は眠ってしまう。

 翌朝、隣室の靖子が仕事に行くドアを閉める音で湯川は目を覚ます。石神は、問題が解けたと知らせ、反証の間違いを指摘した。湯川は、「天才は健在だな。安心したよ」と感心する。

 湯川は、石神の出勤に合わせて帰る。駅までの道を歩きながら、湯川が花岡親子のことを石神に聞くと、「挨拶程度さ。毎朝僕が弁当を買う店にお隣さんがいて、その時に顔を合わせる」と言う。「もったいない。美人なんだろ?」との湯川の質問には答えない。ホームレスが住む場所の前を通ると、石神は「ホームレスも時計のように正確に生きている」と言う。ホームレスが1人いなかった。別れ際、石神は「君はいつまでも若々しいな。羨ましいよ」と湯川に言う。石神らしからぬ言葉に、湯川は引っ掛かりを覚えた。

 警察では、富樫殺人事件の捜査は行き詰まっていた。湯川が内海を死体発見現場に呼び出す。湯川は内海に警察で考えている事件の流れについて聞き、「遺体の指まで焼いた犯人が、自転車の指紋を拭き忘れるのは変で、わざと指紋を残した。犯人が自転車で来て、この場所で殺されたと見せたかった」と言う。自転車は駅前の自転車置き場にチェーンをかけて置き、12月2日の午後4~11時に盗まれたと盗難届が出されていた。「新品の自転車を盗んだのは、持ち主に盗難届を出してほしかったから」と推理する。

 12月13日。石神が学校から出ると湯川が待っており、石神がよく買っている弁当屋の弁当を食べたいという。内海が弁当屋を見張っていると、湯川と石神が弁当屋に入るのを見る。湯川は石神がいつも買っている「お任せ弁当」を買う。そこに、靖子のホステス時代の得意客だった工藤が来る。

 帰り際に湯川は「誰にも解けない問題を作るのと、その問題を解くのとでは、どっちが難しい?ただし、答えは存在するとする」と質問する。石神は「考えておこう」と答える。

 夜、石神は靖子に電話し「彼は大学時代の同期です。とても頭がいい男なので気を付けてください」と話す。石神は「湯川に勘繰られたくないので次のカードを切る」と言って、美里に、その日偶然会った友達について、指示を出す。

 内海は大学に行き、湯川が靖子の店に行って何か分かったか尋ねる。湯川は「個人的興味で動いているので、話したくない」と言って去る。

 内海が城ノ内桜子に湯川が「個人的興味」と言った事を話すと、城之内は「美人だもの。彼女目当てで弁当屋の常連になっている人が沢山いる」と話す。内海は「常連」が引っかかる。

 雨の日、大学の教室に内海が来て、湯川が調べているのは石神か尋ねるが、湯川は「協力はしない」と言う。内海が「石神は店に通い詰め、靖子に好意を持っているとも考えても不自然でない。靖子の共犯者になる動機がある。石神には12月2日のアリバイがない。犯人は物凄く頭のいい人間だ」と話す。

 湯川は「富樫を殺したのは恐らく靖子で、石神は殺人という愚かな事はしない。殺害の事実を知った石神は、事件の隠蔽をし、警察の追及を逃れるあらゆる方策を練る。アリバイを作り、どのタイミングで証拠を出すのか、刑事の質問にどのように答えればいいか、指示を与える」と言う。内海はパンフレットに挟んであった入場券を思い出す。「富樫の指紋を自転車に残したのも。衣類を全部焼かなかった事も」と言う。内海は「どんな犯人だってミスはする」と言うと、湯川は「あいつはしない」と答える。「殺人は素人でしょ」と言うと「殺人の方が彼には易しいはずだ」と言う。

 内海に草薙から電話があり「美里が映画館で同級生に会った事を思い出し、同級生の証言も取れた」と伝える。花岡親子は殺害時間に間違いなく日比谷にいた。湯川は「まさか、ありえない」とつぶやく。

 靖子は工藤に食事をご馳走になって、車で送られる。工藤は「事件で不安になっているので、力になりたい」と話す。アパートの前で靖子が工藤の車から降りると、石神が見ていた。

 捜査会議で新しい情報が入る。富樫は賭博で約600万円の借金があって逃走中で、複数の組織から狙われていた。捜査方針が変更され、組織犯罪対策部も応援に入り、関係する組事務所、賭博場を徹底的に洗い出すことになる。

 内海が草薙に「湯川は、靖子が犯人で石神が手伝ったと考えているので、石神を捜査する」と話す。

 警察の賭博場へのガサイレが行われる。

 草薙と内海が学校で、追試テストが終わった石神に会う。石神は「テストは単純なひっかけ問題で、例えば、幾何の問題のように見えて、実は関数の問題。少し見方を変えれば解けるはずだ」と言う。

 草薙と内海は勤務表を見て、石神が12月2日と3日の午前中に休んだ理由を聞く。石神は、2日は数学の問題を解いて夜更かししたから、3日は風邪を引いたからと答える。草薙は「3日に休んだのは、前の晩に何かに忙しくて夜更かししたからでは」と聞く。内海は「靖子とは隣人以上の付き合いはないか」と聞く。石神は「何もない」と答える。

 石神は工藤の車を尾行する。「あなたが頻繁にあっている男の素性を突き止めた。もし恋愛関係なら、それはとんでもない裏切り行為である」と石神の独白。

 工藤はホテルのレストランで靖子に会い、刑事が来て事件の事で色々聞かれたと教える。その様子を石神はカメラで撮る。「即刻この男と別れなさい。さもなければ、私の怒りはこの男に向かう事になるでしょう」と石神の独白。

 中華レストランで、湯川は草薙と内海に「大学2年の時『4色問題』を解いている石神が「あの答えは美しくない」と話し、僕と話が合う人間を見つけた」と話す。湯川は「物理学者と数学者は答えに導くまでのアプローチは正反対だ。物理学者は仮説を立て、実験を繰り返して、数学者は全て頭の中でシミュレーションする。数学者は問題を様々な角度から見て問題を明らかにする」と言う。

 内海は石神が「少し見方を変えれば解ける。幾何に見えて、実は関数の問題。簡単なひっかけ問題だ」と言っていたと話す。それを聞いた湯川が、もう一度石神の勤務表を見ると顔色が変わり、急いで店を出る。

 湯川が石神に話がしたいと電話するが、石神は忙しいと断る。工藤と靖子の写真を印刷していた。湯川がいつ会えると聞くと、石神は「週末、一緒に山に登らないか」と誘う。石神のベッドにはコタツのコードがあった。

 石神と湯川は冬山に登る。石神はどんどん先に進む。

 ケーキ店のレストランで工藤は靖子に会い、送られてきた、ホテルのレストランで靖子と会っている写真と「花岡靖子に近づくな。彼女を幸せにできるのはお前のような男ではない」と書かれた手紙を見せる。靖子はひどく動揺する。

 靖子が家に帰ると、娘の美里が「またあの人と会っていたの。そんな事をしていると、石神さんに嫌われる」と言う。靖子は「これじゃ富樫が石神に代わっただけじゃない」と怒る。

 山小屋で湯川が「何で山に誘ったか」尋ねると、石神は「もう一生山に登る事はない。警察が学校に来た。疑っているのは君だろう」と言う。湯川は「石神のテストの作り方が、思い込みの盲点を突くと聞いた。それを聞いて、石神が言った『ホームレスでさえ時計のように正確に生きている』は『時計の部品のように、何かの役割を背負っている』の意味だと思った。もうおしまいだ、石神」と言う。石神は「本当は最後まで証明できていないのでは?推理を言ったらどうか」と問う。湯川は推理を言わない理由を「君が友達だからだ」と言うと、石神は「僕には友達はいない」と答える。

 2人が吹雪の中で登山をし、石神がどんどん先に行く。湯川は坂を転落する。石神が湯川を助ける。ガスが晴れ、2人は頂上に着く。石神は湯川に「あの問題を解いても誰も幸せにならない。忘れてくれ」と話す。

 石神から靖子に電話が来るが、靖子は出ない。美里に言われて出ると、石神が「郵便受けに手紙を2通入れた。白い封筒は保管。茶封筒に入れた手紙は、読んだら処分して下さい。連絡はこれが最後です」と伝えて切る。

 内海は湯川に「石神が自首し、富樫を殺したのは自分だと言っている」と伝える。湯川は呆然とする。

 石神は取調室で、「12月2日午後7時頃、帰宅するとアパート近くで富樫に会った。彼が靖子の別れた亭主だと知っていた。石神は富樫を人気の無い所に誘い、コタツのコードで首を絞めて殺した。身元がすぐに分からないように石で顔を潰し、指紋をバーナーで焼いた。衣類は焼却した。12時過ぎにアパートに帰る。コード、バーナーは部屋にある」と自供する。

 捜査官は石神立ち合いで家宅捜査し、コードとナイフを発見する。

 石神は「靖子は何も知らない。連絡は壁のマイクで」と話す。出頭した理由は「あの女が裏切ったから」と答える。

 靖子の家に草薙と内海が来て「石神が、富樫を殺したのは自分だと自供した」と伝える。内海が「石神からストーカー行為を受けていたか」と尋ねると、靖子は「あなたが頻繁に会っている男との関係は何か?恋愛関係なら裏切り行為である」と書かれてある手紙を見せる。隣の部屋で聞いていた美里は泣く。

 靖子は処分しなかった茶封筒の手紙を読む。手紙は、今後の二人の行動が指示されていた。「何者かからストーカー行為を受けていたと証言する。警察には事実だけを語る事。そうすれば2人は守られる。工藤は誠実で信用できるので、結ばれると幸せになるだろう。あなたには感謝している。私を救ってくれたから」と書かれてあった。

 湯川は石神のアパートに向かうが引き返す。途中で聖歌隊の列に出会う。

 留置所で石神は壁や天井の傷で4色問題を考えながら「隣同士は同じ色になってはいけない」と呟く。大学時代、4色問題を解いている石神と湯川との出会いを思い出す。

 内海が湯川の研究室に来る。湯川は内海に「石神と再会した時、彼は『君はいつまでも若々しいな。羨ましいよ』と言った。その時、彼は恋をしていると気付いた」と教える。内海は「石神はいったい何をしたのですか?」と聞く。湯川は「僕がこの事件の真相を解いたところで、誰も幸せにならない」と答える。内海は「こんな終わり方で良いの?湯川先生は感情に流されず、常に論理的で、真実を追求する人でした。もし先生が痛みに耐えられないのなら、私も一緒に受け止めます」と言う。湯川は「刑事ではなく、友人として聞いてくれるか。この事件の結論を、全て僕に任せて欲しい」と言う。

 内海が近くいて、湯川は靖子に「12月2日のアリバイは本物で、実際に親子で映画を見ていた。あなたは嘘をついていないので、警察の追及に耐えられた。あなたが富樫を殺したのは、前日の12月1日だった。石神はあなたとあなたの娘を守るために、途轍もない犠牲を払った」と話す。

 石神は留置所から拘置所に移管される。そこへ草薙と内海が来て、石神に話を聞きたいと言う。草薙が取調室に石神を連れて行くと、湯川がいた。湯川が「もう一生山に登る事はないと言ったのはこの事だったのか。あの山で出来なかった話をしよう」と言う。「富樫を殺したのは靖子だ。殺害場所は彼女逹の部屋。君は物音で気づいた。そして犯罪の隠蔽に力を貸すことにした」

 石神が部屋に入ると、靖子が自首すると言うが、石神は美里も共犯になるので止める。石神は富樫のポケットから免許証と簡易宿泊所の鍵を見つける。石神は「アリバイを作りましょう」と言う。

 湯川は「死体が見つかれば、警察は必ず彼女逹の所へ行く。いつまでもシラを切り通すのは難しい。そこで、もう1つ別の他殺体を用意し、それを富樫と思わせた。君は彼女達を守るために、もう1つの殺人を犯した。君が殺したのはホームレスの誰か」

 石神は一人のホームレスに金を渡し、鍵を渡して「この部屋で夜まで待機して下さい」と頼む。

 湯川は「君の目的は、富樫が借りていた部屋にその男の指紋や毛髪を残すことだった。その男は富樫の服に着替え、君が盗んだ自転車で大森まで移動し、その男を殺した。死体を富樫と思わせるために、顔を潰した。指紋を焼いたのは、一貫性を持たせるため。自転車の指紋や衣類をわざと残したのは、宿の痕跡と一致させるため。警察が犯人のミスだと思っていたのは、全て君の計算だった。わざと出来過ぎのアリバイを作り、警察の疑いを花岡靖子に集中させたが、警察は彼女のアリバイを崩せない。アリバイトリックに見せかけて、実は死体のすり替えだった。君は富樫の遺体を、恐らくバラバラにしてどこかに捨てた。2日続けて午前中、学校を休んだのはそのためだ。これがこの事件の真相だ」と話す。石神は「実に面白い。仮説を話すのは君の自由だ」と言う。

 湯川「君のトリックにはもう1つ重要な意味がある。靖子の身代わりになって自首するだけなら、警察の追及に負けて真実を話すかもしれない。しかし、本当に人を殺していれば、堂々と罪を主張できる。愛する人を完璧に守れる」

 石神「何の事を言っているのか、まるで分らない」。湯川「君は愛する人の命を守るために、もう1つの命を奪った」。石神「仮説は実証して、初めて真実になる」。湯川「もう1つの死体が見つかれば、実証は可能だ」。石神「もうやめよう」と言って、部屋を出ようとする。湯川は「彼女に全てを話した」。石神「もし仮に別の死体があったとしても、見つかる頃には僕の裁判は終わっている。第1審で控訴しなければ、富樫事件は終了だ」。湯川「残念だ。その素晴らしい頭脳を、こんなことに使わなければならなかったとは。どうしてそんな事をしてまで、彼女を守る?」。石神は部屋を出て行き、移送される。

 石神の手紙「靖子さん。私はあなたに感謝している。人生に絶望した私を救ってくれたのはあなただ」。石神は部屋で首つり自殺をしようとしていた。その時呼び鈴が鳴り、石神が出ると、隣に引っ越してきた靖子と美里が挨拶に来た。石神が弁当を買いに行くと、靖子が感謝する。出勤する石神に美里が手を振る。石神は窓を開け、隣の部屋の靖子と美香の楽しそうな声を聞く。

手紙の続き「靖子様、美里様、本当にありがとう。どうか幸せになって下さい。私の事は全て忘れて下さい。決して罪悪感を持ってはいけない。あなたに幸せになってもらわなければ、私の行為が全て無駄になるから」

 警察の廊下に靖子が来ていた。靖子は「どうして私なんかのために」と泣きながら石神に駆け寄り、警察官が止める。石神は「何を言っている」と白を切ろうとする。靖子は「私達だけが幸せになるのは無理です。私も石神さんと一緒に償います」と言う。石神は「どうして?」と大泣きする。石神は移送される。

 湯川は部屋の中でそのやり取りを聞き、泣く。

湯川は大学の庭のベンチに座っている。内海が「靖子が殺害を認めた。石神は事実を認めていない」と知らせる。内海は隣に座る。湯川が「17年前、石神と初めて話をしたのはこのベンチだ。もし石神が人を愛する事を知らないまま生きていたら、罪を犯すこともなかったかもしれない。あいつはそれほどまで深く、人を愛する事が出来た」と話す。内海「石神は、花岡靖子に生かされていたのですね」と言う。湯川は降って来た雪を見上げる。

 (エンドクレジット。川を捜査する警察がスノードームを見つける)

(写真は「MIDb」「映画com」より)