『アーガイル』ネタバレの感想 小説が現実で二転三転の真実に遊び心も満載 | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 4/5 ☆☆☆☆★

 冒頭のアーガイルとルグランジュとのダンスは、フィギアスケートのペアのように女性をリフトして回転するとは面白い。その後のカーチェイスは、曲がりくねった道をバイクで疾走するルグランジュを、アーガイルは建物の屋根の上を車で飛び越えて道を短縮してバイクを追うとは感心した。これらのオープニングアクションは、エリーが書いたスパイ小説の最後の場面だった。小説だからこんな奇想天外なアクションだったのかと納得した。なお、後で宮殿や戦闘場面でもエイデンとエリーの(役割が逆の)リフト回転が出るので、監督はリフト回転が好きなのだろうか?

 そうしているうちに、著者のエリーも列車内で次々にやって来る殺し屋に襲われ、スパイのエイデンが殺し屋をやっつける。殺し屋と戦うエイデンの姿が、エリーの目には小説の主人公のアーガイルに見えるのも面白い。この場面はエイデン役の俳優とアーガイル役の俳優とで、全く同じ動きの場面を2通り撮影しなければならないので、大変だっただろう。殺し屋の一人がファンイベントで「あなたもスパイでは?」と質問しており、これが後に真実と分かるのも面白い。

 エリーが色々考えてバクーニンの部屋を探し当てるのは、推理小説のような面白さもある。武装した兵士がやって来るが、エイデンは一人で全滅させる。バクーニンはこの部屋が襲撃されたときのために、ボートを用意していたとは用意周到である。

 さて、エリーが母親と父親だと思っていた人物は、秘密組織ディビジョンの心理学者と長官だったとは怖い。組織が彼女の記憶を戻すため、両親だと洗脳し、彼女の過去の日記や資料を基にスパイ小説を書かせていたとは意外だった。つまり冒頭のアクションも実際にあったことになる。次作の第5巻の最後で組織が狙うマスター・ファイルの在りかが分かるはずだが、エリーがなかなか執筆できなかったのは、この辺りで記憶を失ったからか。ところで、エイデンは両親がいるホテルをどうやって知ったのだろう?

 マスター・ファイルを見たエリーは、自分も裏切り者リストに入っているのに驚愕する。でもエリーは2重スパイでエイデン側の人間だった。エリーとエイデンは、ダンスのように息を合わせた動きで敵を殲滅させるのが面白い。煙幕が色とりどりで、ハート形を描いたりと美しい。もちろん踊って戦う必要性はないので、監督のお遊びだろう。原油が漏れた床でのスケートも、エリーが生き生きと滑って面白い。

 猫のアルフィーは屋上から落下したり、サーバー室に来たリッターを襲ったりと、重要な働きをしている。助演猫優賞をあげたい。リッターの目をひっかいてスキャンできなくしたのはやり過ぎだが。

 実は、キーラは生きていた。隙間回廊は、外から心臓の位置が分からないので、実際は上手くいくのだろうか?エリーは、アーガイル、ワイアット、生き返ったキーラが登場する第6巻も執筆するのだろうか?日記のネタが尽きたので、これで終わりだろうか?キーラが生き返ったのなら、魅力的だったルグランジュも、飲んだ毒は一時的に心臓を止める薬だったことにして、生き返らせてほしい。

 後のファンイベント会場にアーガイルそっくりの男性が登場したが、彼は何者?エリーがアーガイルかと思ったのに、実在したの?よく分からないので説明が欲しい。

 最後に若きアーガイルが登場し、キングスマンに所属していると分かる。本作とキングスマンは別物と思っていたが、思わぬ関係があった。本作は3部作になるそうだが、次回は字幕に出た『アーガイル』の第一巻で、若きアーガイルがキングスマンで活躍する話になるのだろうか?早く続編を見たい。

 小説だと思ったのが実は事実で、スパイ映画らしい派手なアクション、二転三転する意外な真実、遊び心いっぱいの動きなど、非常に良かった。評価は「4」である。

 原題は『ARGYLLE』で、冒頭の様な菱形が連続する模様のこと