『マイホームヒーロー』テレビドラマのネタバレの感想 推理小説の知識で敵に罪を擦り付けるスリル | アンパンマン先生の映画講座

アンパンマン先生の映画講座

映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 

 2024年3月8日(金)に劇場版『マイホームヒーロー』が公開されるが、テレビドラマ版の続きだと聞き、Tverでテレビドラマを無料配信していたので見た。

 鳥栖哲雄は、娘の鳥栖零花に暴力を振るう彼氏の麻取延人をつけると、半グレ集団に属し、かつて2人の女性を殺し、妻の実家「和服の鳥栖」の資産を狙い、その後は零花を殺そうとしていると知る。延人は娘を守るために延人を殺す。その場にやって来た妻の歌仙と一緒に、延人を殺した証拠を消そうとする。

 趣味で推理小説を書いているだけあって、死体の処理のしかたは的確で感心する。死体を煮込むと処理がしやすいとは知らなかった。肉は生ごみ処理菌をかけて土に埋めると、1日で土に戻せるのも知らなかった。でも、いくら推理小説マニアと言っても、平気で死体を処理できるのだろうか?

 その他にも、哲雄は推理小説マニアだけあって、感心する点が沢山ある。スーツケースにタオルの端を挟んで車で出かけ、監視者がいるか確認するとは頭が良い。盗聴器を見つけると、わざと偽情報を流す。架空の探偵の話を作るだけでなく、メール登録もし、歌仙と口裏を合わせる。恭一にパソコンに、キーボードに打ち込んだ文字を記録させるパソコンにキーロガーを仕掛け、メールを盗み見する。恭一が生きていると思わせる、偽動画を撮影する。ALSライトをブラックライトにすり替える。封筒にGPSを入れて恭一の家を見つける。など、普通の人間では考え着かないだろう。今までの小説に使ったのだろうか?

 哲雄が延人を殺したと疑ってつけまわす恭一が怖い。最初、零花の部屋にピッキングして入ってきた時は、哲雄と延人の死体が見つかるのではとドキドキした。哲雄は掃除サービスに変装して顔を隠し、浴室への恭一の侵入を防ぐのも賢い。

 恭介が哲雄を連れて哲雄の家に行く場面も怖かった。4日たったので延人の肉は土に戻っており、生ごみ処理菌の威力に感心した。ところが延人の髪の毛が1本土の中に混ざっており、恭介が気付くのではとヒヤヒヤした。ちょうど歌仙が帰ってきて気を逸らしてバレず安心した。これは歌仙の機転かな

 哲雄はこの恭一に延人殺しの容疑を掛けようとするが、その駆け引きも緊張感一杯である。キャバ嬢の響からの情報で、延人が組織の金を盗んだ事を使って、恭一が共犯だと言う偽メールを送る。しかし、どうやって証拠セットを恭一の金庫に入れたかが疑問だった。歌仙が屋上の緊急避難口からベランダに侵入するは考えたものだ。ベランダの鍵は、恭一がオムレツを作っている一瞬の隙に,哲雄が開けていたとは気づかなかった。金庫の暗証番号はALSライトを持っているので、指紋から番号を知って開けたのは予想通りだった。探偵の話の口裏を合わせた事もそうだが、妻の歌仙の協力が大きい。

 延人が哲雄に殺されたと分かった時、義辰はてっきり哲雄を殺すのかと思ったら、自殺したのは意外過ぎる。今まで「家族全員皆殺しにする」とさんざん言っていたのは、虚言だったのか?でも、延人も義辰も、零花の部屋を最後に姿を消したので、組織は絶対に怪しいと思っているはず。恭一も逃亡中で哲雄の命を狙っているはず。哲雄はまだまだ安心できないのでは?

 普通のサスペンス映画は、探偵がトリックを解いて犯人を見つける話が多い。本作は、会社員が推理小説の知識を駆使して、自分の殺人の罪を敵に擦り付けると言うのが、実にスリルがある話だった。しかも哲雄の妻・歌仙の協力もあり、夫婦で娘と家族を半グレ組織から守るのが感心した。だからタイトルが『マイホームヒーロー』なのだろう。

 ドラマの最後に、大雨で土砂が崩れて義辰の白骨死体が現れる。映画の予告編では娘の零花が警察官になり、白骨死体の捜査をするようだ。哲雄は娘のために死体を隠したのに、その娘に追われるとは可哀そうである。映画が楽しみである。評価は「4」である。