『身代わり忠臣蔵』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

監督:河合勇人 2024年

主な登場人物(俳優)役柄

【吉良家】

吉良上野介:きら こうずけのすけ(ムロツヨシ)江戸幕府の高家・吉良家の当主。

吉良孝証:きら たかあき(ムロツヨシ)吉良家の末弟だが、家を追い出された金無し怠け坊主。

斎藤宮内:さいとうくない(林遣都)吉良家の筆頭家老。

桔梗:ききょう(川口春奈)吉良家に仕える侍女。

清水一学:しみず いちがく(寛一郎)吉良家の家来の剣客。

堀江半右衛門:ほりえはんえもん(本多力)吉良家の門番。

【赤穂藩】

浅野内匠頭:あさの たくみのかみ(尾上右近)赤穂藩の当主。

大石内蔵助:おおいしくらのすけ(永山瑛太)赤穂藩の筆頭家老。

堀部安兵衛:ほりべやすべえ(森崎ウィン)赤穂浪士 四十七士の一人。 四十七士随一の剣客

原惣右衛門:はらそうえもん(星田英利)赤穂浪士 四十七士の一人。

片岡源五右衛門:かたおか げんごえもん(廣瀬智紀)赤穂浪士 四十七士の一人。

間十次郎:はざまじゅうろう(入江甚儀)赤穂浪士 四十七士の一人。

りく(野波麻帆)大石内蔵助の妻。

【幕府】

徳川綱吉:とくがわつなよし(北村一輝)徳川幕府、五代将軍。

柳沢吉保:やなぎさわ よしやす(柄本明)徳川綱吉の家臣で、将軍に仕える側用人。

【遊郭】

高尾太夫:たかおだゆう(橋本マナミ)吉原もっとも有名な遊女。

春凪:はるなぎ(加藤小夏)吉原の遊女。

 

 神社の橋の上でボロボロの袈裟を着た坊主の孝証が、道行く人々にお布施を頼むが、誰もくれない。女性が3文のお布施を挙げるが、孝証は「これっぽっちか。死んでやる」と、橋の上から飛び降りようとする。しかし真似だけで飛び降りないので、女性はお布施を止め「3文役者」と孝証をけなす。通りかかった籠の中のお犬様が吠え、驚いた孝証は川に落ちる。

 川で釣りをしていた侍の大石内蔵助が、川に流されている孝証を助ける。孝証は「俺が死んでも誰も気にしない」と落ち込んでいると、大石が「無駄な命などない。必ず意味がある」と言って、孝証に塩飴を挙げる。孝証は「金持ちに生まれ変わりたい」と嘆く。

 (タイトル『身代わり忠臣蔵』)

 元禄十四年、江戸城。犬を可愛がっている徳川綱吉に柳沢吉保が、勅使饗応役を滞りなく進めていると報告する。江戸幕府は毎年正月、朝廷に年賀の挨拶をしており、朝廷もその返礼として勅使を幕府に遣わせていた。朝廷とのやり取りや儀式を担当していたのが高家の吉良上野介で、朝廷との接待の勅使饗応役には、浅野内匠頭が任ぜられていた。

 赤穂藩江戸屋敷では家臣の片岡源五右衛門が浅野に「決して怒ってはいけません」と諭すが、上野介は儀式のやり方を教えず、浅野の不満が高まっていた。

 吉良家の末弟の孝証は、金を貰いに吉良家屋敷へ行く。門番・堀江半右衛門が帰そうとするが、孝証は上手く屋敷に入る。斎藤宮内が孝証を見つけ「殿から、決して金を与えるなと言われている」と言って、孝証に馬小屋で寝るように指示する。馬小屋で寝ていた孝証に侍女の桔梗が、おにぎりとお茶を差し入れする。

 上野介が池の鯉に餌を与えていると、孝証が餌を食う。孝証が「弟の面倒を見ろ」と言うと、上野介は「のたれ死ね」と言い争いになる。

 元禄十四年三月十四日、江戸城松の廊下。上野介に浅野が「指南料をもう少し上乗せするから、儀式を教えてほしい」と頼む。上野介が「臭い。失せろ」と上野介を殴り、からかう。怒った浅野は小刀で上野介の額と、逃げようとした上野介の背中に切りつける。浅野は駆け付けた侍に「殿中でござる」と、取り押さえられる。

 斎藤が孝証を呼び「殿が切られたが、命はとりとめた。殿に化けて柳沢に弁明してほしい」と言い、小判100両を挙げると言う。孝証が渋るので、斎藤は110両に上げ、さらに借金も帳消しにすると言う。孝証は了解する。斎藤は孝証にかつらを被せ、口の脇にホクロを付ける。

 江戸城内にいる上野介と入れ替わるために、孝証は木箱に入り、清水一学たちが荷車で江戸城に運ぶ。江戸城の上野介の部屋に着くと、上野介は重傷で寝ていた。孝証は、清水に額と背中を切りつけられ、上野介と同じ個所に傷をつけられる。

 孝証が待つ部屋に柳沢が来る。孝証は付けホクロが落ちている事に気づき、慌てて顔を伏せて付けホクロを拾う。柳沢が「背中を斬られたのは、逃げたのだろう」と責めると、孝証は斎藤に教えられた通りに「懐に入れていた勅使饗応の儀式に使う、大事な茶作を守るためです」と誤魔化す。柳沢は「お主は誠に吉良上野介であるか?」と疑い、「その傷で死ねば、吉良家も御取り潰しだ」と警告する。

 赤穂藩。大石が野点をして女性達と遊んでいると、江戸屋敷から急いで駆け付けた間十次郎が「殿(浅野内匠頭)が吉良上野介に切りつけて、切腹になった」と知らせる。大石は驚く。

 大石は藩士に総登城を命じ、殿が切腹し、赤穂藩は取り潰しになり、みな浪人になると伝える。原惣右衛門からは「喧嘩両成敗なのに、何で吉良はおとがめ無しなのか」と不満が出る。幕府から城を明け渡すように要求されていたが、吉良に仇討ちをすると言う意見と、お家再興の可能性もあるので大人しく城を明け渡そうと言う意見が対立する。大石はお互いの意見をよく考えて結論を出すと言う。

 大石は家に帰ると妻のりくに「家臣はまとまらない。新しい塩田は没収」と不満を述べる。りくは「できる事を1つずつやるしかない」と慰める。

 孝証が吉良邸に戻ると、家臣達が殿の無事を喜ぶので、孝証が手を挙げて「俺は無敵じゃ」と歓声に応える。斎藤が孝証に「余計な事をするな、正体がバレる所だ」と注意する。

 部屋に戻り、孝証は斎藤に「柳沢が、傷が元で上野介が死んだら、吉良家は取り潰しになると言っていた」と伝える。隣の部屋で寝ていた上野介の容態が、急に悪くなる。孝証は心臓マッサージで蘇生を試みるが、上野介は死亡する。

 斎藤は孝証に「ほとぼりが冷めるまで、暫く上野介の身代わりを続けてほしい」と頼むが、孝証は断る。そこで斎藤は「さらに千両与える。生まれる順番が違えば孝証が殿だった。家臣も領民もあなたに従う。あなたこそ我らの王」と持ちあげる。孝証は「そこまで言うなら仕方ない」と了解する。上野介の死体は斎藤が処理すると言う。

 大石は江戸の隠れ家にやって来る。堀部安兵衛は討ち入りを提案するが、大石は「できる事を1つずつやるしかない」となだめる。

 孝証が豪華な食事を食べると、漬物は斎藤が趣味で漬けたものだった。孝証が柳沢に会った時「お主は誠に吉良殿か?」と疑われたと教える。斎藤は「殿はいつも傲慢で嫌味たっぷりな話し方をする」と教え、「このうつけめ。世間知らずの間抜け。無駄飯食いの獄潰し」など、上野介の話し方を指導する。孝証は真似しているうちに調子に乗って来て、濡らした手ぬぐいで斎藤を叩く。

 孝証が屋敷を散策していると、植木に水を掛けていた桔梗が誤って孝証に水を掛ける。孝証は桔梗を叱らず、花を大きい鉢に植え替える。桔梗は胸をはだけ、殿はいつも胸の中に手を入れて手を温めていたと言う。孝証は断り、上野介が桔梗に助平な事をしていたのを怒る。

 大金を手にした孝証は、坊主姿で吉原遊郭に遊びに行く。孝証が春凪などの遊女と酒を飲んでいると、隣の部屋で飲んでいた大石が酔って乱入してくる。大石の相手をしていた高尾太夫が、孝証と大石の手を自分の胸に当て、仲直りするように言う。

 孝証は、大石が川で溺れていた時に助けてくれた侍だと思い出す。大石は「上役のいさかいの後始末で苦労している」とぼやく。孝証も「まるで私の兄みたいだ。自分勝手で、ケチで迷惑をかけている。おかげで俺が苦労している」とぼやく。2人は意気投合し、酒を酌み交わす。

 孝証が高尾太夫に「俺の所に来ないか」と誘うと、高尾太夫は「大石が相手なので、交互に」と言う。大石は高尾太夫の、孝証は春凪の着物の帯を引っ張って巻き取る。

 翌朝、2人が遊郭から出ると、大石の家臣が大石を呼び出し、路地に連れて行く。大石は家来たちに、孝証を高貴な坊さんだと紹介する。原惣右衛門が大石の女遊びを非難し「仇討ちをすると言って下さい」と頼む。孝証が何の事か聞くと、片岡源五右衛門が吉良亜上野介の人相書きを見せ「我が殿の敵を討つ」と教える。孝証は、相手が赤穂藩の浪人で吉良邸への討ち入りを企んでいると知って、変顔をしてばれないようにし「殺生は良くない。罪悪人なら報いを受けて死んでいるかも知れない」といいながら、その場から立ち去ろうとする。大石は孝証を引き留め、塩飴を印籠ごとあげる。

 屋敷に帰った孝証は斎藤に「赤穂が仇討ちをすると言っていた」と教える。斎藤は「赤穂藩は浅野家の再興を狙っている。それにこの屋敷は番所の隣なので、仇討ちはない」と言う。孝証は「仇討ちなんて聞いていない」と身代わりを不安がる。

 孝証が庭に出ると、子供達がコマ回しをしていた。孝証は自分の掌の上でコマを回してみせる。子供が「吉良家は大丈夫?吉良は自分だけ罪を逃れた卑怯者だ。取り潰しになるって、言っていた。殿は悪くないのですね?」と心配する。孝証は「心配いらない。取り潰しさせない」と安心させる。

 京都山科に大石は移り住んでいた。原惣右衛門が家に来て「幕府の返事は?みな苦労している。身分が高い武士は他の藩に志願できたが、身分の低い武士は志願できない」と苦境を訴える。大石は「お家再興の嘆願書を何度も出している」と教え、原に金を渡す。

 孝証はいつ敵討ちに会うかビクビクし、清水一学たちが護衛して籠で江戸城に向かう時も鎧を着て刀を離せない。江戸城では柳沢に鎧を着ている理由を聞かれ「武士たるもの、いつも戦場にいる覚悟で」と誤魔化す。柳沢は「大石がお家の再興と、吉良上野介の処分を求めている。幕府の沙汰に異議を唱えるのはもってのほか」と、大石の希望をかなえようとしない。

 斎藤が小屋で漬物を付けていると、孝証が来て「大石にお家再興の可能性が無くなった。きっと敵討ちに来る。身代わりは辞める」と怯える。斎藤は「身代わりは今年限りで良い。その後、隠居して病死した事にする」と、身代わりを続けるように頼む。

 孝証が台所に行って「腹が減った」と言うと、桔梗がつみれ汁を出す。孝証が侍女が準備している「八朔の祝い(8月1日に豊作祈願をすること)」の料理を見ると、一汁一菜で祝いの料理として貧相だった。孝証が理由を聞くと、桔梗が「殿が質素倹約を命じた」と教える。孝証は、上野介は贅沢な料理を食べているのに、部下には貧しい思いをさせているのを疑問に思う。

 孝証は斎藤に、決まりを改めるように命じる。屋敷に「俸禄を2割増やす。食事は一汁二菜にする。足袋を履いても良い」などのお触れを屋敷に出す。家来たちは「殿様は人が変わったようだ」と驚き、孝証に「殿に一生ついて行きます」と喜ぶ。

 大石は泉岳寺の浅野内匠頭の墓に墓参りに行き、敵討ちはまだだと報告する。大石が茶屋で休んでいると、町人が「赤穂藩はなぜ敵討ちしない。大石は昼行燈の腰抜けだ」と話をしていた。

 柳沢が孝証に「お役目御免になり、吉良邸を本所松坂町に屋敷替えする。辺鄙な所に屋敷を移動して仇討ちの罠を張り、赤穂の浪人を一人残らず切り捨てろ」と言う。

 孝証は斎藤に「代役は無理。俺は隠居する。あとは知らない」と部屋を出ると、廊下に清水がいたので戻る。斎藤は「吉良邸に大石達が来るまで代役をやってもらう」と命じる。

 元禄十五年五月、お家再興の望みが断たれる。大石は討ち入りが避けられないと思い、妻と子に罪が及ぶのを避けるために妻と離縁し、りくに子供を連れて実家に帰るように伝える。大石が「お前には苦労を掛けた」と謝ると、りくは「ずっと幸せでした。ご武運を」と言う。

 江戸の辺ぴな場所の本所松坂町に吉良邸が屋敷替えになる。斎藤は助人を多数雇って、仇討ちを迎え撃つと言う。

 孝証は大石に斬られて叫ぶと、夢だった。孝証の叫び声を聞いてやってきた桔梗に、孝証が「仇討ちの夢を見た」と話す。桔梗は、孝証が上野介の身代わりだと    気づいており「孝証様のお陰でお家全体が明るくなって、家臣がのびのびしています。孝証様でよかった」と褒める。孝証が桔梗に接吻しようとすると、桔梗は「調子に乗らないでください」と突き飛ばす。

 大石が浅野内匠頭の墓の前で、討ち入りが近い事を報告する。すると孝証がやって来て「吉良邸が本所松坂町に引越ししたのは柳沢の罠で、討ち入りに来た赤穂浪人を一網打尽にする計画だ。討ち入りは止めておけ。家臣と家族みんなが死んでしまう。別の藩に志願すればいい」と教える。大石は「志願できるのは上級の武士だけで、下級の武士は志願できない。討ち入りは避けられない。わしが死んだら経を読んでくれ」と言う。

 孝証は額の傷を見せて、自分は吉良上野介の弟だと明かし、全部話す。大石は、吉良上野介が死んでいたと知って驚く。孝証は「吉良家が取り潰しになるの防ぐために身代わりになった。取り潰しになったら、吉良の郎党や家臣が地に迷う」と明かす。そして「討ち入りになったら、双方に多数の犠牲が出る。せめて討ち入りを止められないか」と頼む。大石は「討ち入りをして、幕府に抗議して殿の汚名返上をする」と言う。

 孝証は「討ち入って真っ先に俺の首を取ればいい。今まで人に頼られることがなかった。身代わりになって、初めて人に必要だと認められた。死ぬのは私一人で良い」と思いつく。大石も承知する。

 元禄十五年師走。吉良家では正月の準備をしていた。庭では助人たちが稽古をしていた。斎藤は「助人にも金がかかる」とぼやく。子供が孝証に、コマ回しをしたときの似顔絵を持って来る。

 隅田川の船の中で孝証は大石に会う。孝証は吉良邸の見取り図を大石に渡し、自室から小屋に抜け穴がある事を教え、「討ち入りが始まったら、俺は庭に出る。助人の宿舎の戸は釘付けしておく。清水には酒絵をたらふく飲ませておく」と確認する。そして「討ち入りの支度金に使ってくれ。吉良家からの詫び金だ。吉良家は酷い事をした」と謝る。「討ち入りは一四日の夜更け、寅の刻」と確認する。

 夜明けがやって来た。孝証は「遺恨は俺たちで終わらせよう。柳沢の思う通りにはさせない」と誓う。大石も「俺も後を追う」と約束する。孝証は「必ず成功させよう。吉良と赤穂の大芝居の幕開けだ」と宣言する。

 十二月十四日、小雪が降る深夜、赤穂の四十七人の浪人は火消し装束で吉良邸に集まる。大石の合図で表門と裏門の隊に分かれる。正門隊は梯子で塀を上り、内側から門の閂を開けて、本隊を侵入させる。この時、原が梯子から落ちて足を怪我する。

 侵入した本隊は「我ら、殿の恨みを晴らすために参じ仕った」と読み上げた口上書を付けた竹竿を、門の前に立てる。赤穂浪人は手分けして吉良を探す。助人の宿舎の戸はかすがいが打たれて開かない。清水一学は酒に酔って寝ていた。

 孝証が部屋から出ると、桔梗が「全て背負うつもりですね」と言う。孝証は「今までよく尽くしてくれた。好きな所に行って、好きに暮らしてください」と言って別れる。

 孝証は庭に出て「逃げも隠れもしない。けじめを付けなければならない」と投降する。赤穂浪人は孝証の周りに集まり、笛を吹いて大石や他の赤穂浪人を呼ぶ。「家老、今こそ殿の仇」と言われた大石は刀を抜くが、孝証を斬るのをためらう。すると酔って寝ていた清水が起きてきて、赤穂浪人と戦い「殿、逃げて下さい」と孝証を逃がす。清水は堀部安兵衛と池の橋の上で戦って、同士討ちになる。

 孝証は自室に戻り、床の間の板を開けて抜け穴を通って、炭小屋に逃げる。そこに、孝証から抜け穴を知らされていた大石が来て、二人で漬物小屋に隠れる。孝証は「早くしろ。みんな死ぬぞ」と首を斬るように急かす。大石は、隣の塩が入った袋を斬る。孝証は「あんたに斬られるのは本望」と言い、再び大石は斬る。

 大石は戦いが行われている庭に戻り「吉良の首を討ち取ったぞ」と、布に包んだ吉良の首を掲げる。赤穂浪人は歓声を上げ、吉良家の武士は泣いて伏し、戦いが終わる。大石と赤穂浪人は勝どきの声を挙げ、吉良の首を竹竿に掲げて泉岳寺に向かう。

 赤穂浪人たちが街の中を行進していると、清水などの吉良家の侍が「殿の首を返せ」と言って追いかけて来て、首を奪い取ろうとする。赤穂浪人たちは首をパスして走り、首をカボチャにすり替え、首を落とすとラグビーの様なスクラムを組んで押し取り、両者乱れて首を取り合う。パスが高く上がり、首を包んでいた布が取れ、塩漬けの吉良上野介の生首が現れる。

 漬物小屋で大石が孝証の首を斬ろうとしたとき、切れ目が入った塩の袋から塩漬けになった上野介の死体が現れる。大石は上野介の死体の首を切り落としていたのだった。

 孝証が現れ、上野介の首を受け取って逃げる。孝証が首を投げると、大石が槍で刺して首を受け取る。町民たちが、赤穂浪人が仇討ちに成功し、上野介の首を取ったと知って喜ぶ。

 大石達が泉岳寺に向かうと、橋の上で孝証が待っていた。孝証は首に向かって「兄さん。あんたは初めて人の役に立った」と言う。大石は「逃げろって言ったろう」と言うと、孝証は「逃げたら、腐れ縁が切れる」と言って二人は抱き合う。

 孝証は吉良屋敷に帰り「片付いたぜ」と言うと、斎藤が「何という事を」と驚く。孝証が「何で兄を塩漬けに?」と聞くと、「いつか葬式をしようと保存していた」と教える。孝証は「身代わりをして楽しかった。千両はいらない。その金で家臣を養え。これは命令じゃ。このうつけめ」と上野介の物まねをして去る。斎藤は「よっ、千両役者」と声をかける。

 江戸城で柳沢が綱吉に「赤穂が吉良家に討ち入った。無許可の仇討ちは打ち首に決まっている」と報告すると、綱吉は「切腹にしろ。誠に忠義に暑い物を丁重に扱ってやれ。これ以上余に恥をかかせるな」と指示する。切腹を許すことで、幕府は暗に過ちを認めた。

孝証と桔梗が大石達赤穂浪人の墓参りをする。孝証は「大石が死んじゃった。あいつには生きててほしかったんだ。生きるべきだったんだ」と泣く。桔梗が「これからどうするのですか?」と聞くと、孝証は「仏の道を行く」と答え、桔梗に「女人禁制ですね」と言われ、「町人でもいいかな」と変更し、「馬鹿ですね」と桔梗に言われ、「馬鹿でいいんだ」と自問して、2人で石段を下りる。

(エンドクレジット)

(写真は「映画com」より)