『劇場版SPY×FAMILY CODE:White』正体を隠しながら力を発揮する家族が面白い | アンパンマン先生の映画講座

アンパンマン先生の映画講座

映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 4/5 ☆☆☆☆★

 テレビシリーズ第1~37話を無料配信していたので、それを見てから劇場版を見た。

 西国情報局WISEの敏腕スパイのロイドは、イーデン校のエリートが集う保護者同伴の懇親会に参加し、国家統一党総裁ドノバン・デズモンドに接触する任務のため、スパイの素性を隠して、アーニャを養女にする。実は、アーニャは人の心を読める超能力者だが、秘密にしている。イーデン校の面接に母親が必要で、ロイドは市役所勤務のヨルと偽装結婚する。実は、ヨルは殺し屋で、周囲から怪しまれないために、ロイドと利害が一致して偽装結婚したのだ。さらにペットの犬ロジャーは、未来予知ができると言う秘密を持っている。このように家族全員がお互いに素性を隠している設定が面白い。しかも、心を読めるアーニャだけは皆の正体を知っている、と言うのが可笑しい。

 映画の冒頭で、ロイドのスパイとしての優秀さ、ヨルの殺し屋としての能力を紹介し、上記のような複雑な設定を簡単に説明しているのが親切である。もちろん、テレビシリーズを見た方が楽しめる。

 テレビシリーズでは1話か2話で完結するが、本作は劇場版だけあって上映時間が110分(5~6話分くらい)と長いので、1つの物語を十分に描いている。またテレビシリーズでは、学校内や市周辺の話が多いが、本作の舞台は北部のフリジス地方で興味をそそられる。しかもアーニャが誘拐されて飛行戦艦に乗せられ、ロイドとヨルが助けに行くと、スケールが大きい。

 ロイドは飛行機の操縦技術を見せ、飛行戦艦内では変装の名人の能力を発揮するのが面白い。でも、一瞬でどうやって変装するのだろう?一方、ヨルも飛行戦艦内で、サイボーグ・タイプFと戦い、戦闘能力の高さを示す場面があって面白い。ただ、本当に口紅はそんなに燃えやすいの?

 ところでヨルは妻としても母親としても自信がなく、別の女性が母親役をやるので離婚されるのではと常に心配している。しかも今回は同僚のカミラがヨルに「男性が浮気をしているときの3つのサイン」を教え、ロイドの行動が偶然その3つに一致し、ヨルがますます心配になるのが面白い。ヨルはロイドに直接聞けず、酒の勢いで聞こうとするのが可愛い。ロイドに結婚を続けると言われ、照れるのも可愛い。

 アーニャは、この2人が良いのを「ちちとはは、イチャイチャ」と喜ぶのが素直だと思った。しかも、2人の仲を持つため、2人だけ観覧車の載せるとは、なんと気が利く子だと感心した。照れたヨルがロイドを殴ったのを「激しめのイチャイチャ」と感じるのも面白い。さらにアーニャは、ボンドの予知能力と自分の心を読む能力を知られたくないので、自らこっそり、さくらんぼリキュールを買いに行くとは、何と健気なのだろうと感心した。

 ただ、ドミトリとルカは、大事な鍵を洗面所に忘れるかな?その鍵を勝手に使うのは泥棒だと、アーニャは思わなかったの?チョコ菓子の中にマイクロチップを入れる意図が分からない。てっきりアーニャがチョコ菓子を一気に呑み込んだと思ったら、マイクロチップが歯の裏側についていたのはなぜ?整備されていない古い飛行機がすぐ飛べるの?燃料を給油していたけど、なぜ給油施設が展示場所にあるの?など、いろいろ疑問がある。

 また、アーニャがウンコを我慢する表情は面白いが、ちょっと下品だと思った。ウンコの神様の幻想も余計である。マイクロチップにどんな重要な情報が入っていたか分からないのも残念である。

 さて、お菓子作りの調理実習が延期になり、審査員が教頭に変更になったので、ロイドは教頭の故郷の南部地方のお菓子を造るため、暗部に家族旅行に行こうと提案する。劇場版の続編は、ぜひこの南部地方への家族旅行にして、ボンドの未来予知が正しかったとしてほしい。

テレビシリーズと比べて遜色ない面白さだったので、評価は「4」である。