『コンクリート・ユートピア』ネタバレの詳しいあらすじ | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

監督:オム・テファ 2023年

主な登場人物(俳優)役柄

【ファングンアパート住人】

キム・ヨンタク(イ・ビョンホン)902号室の住人。ファングンアパートの住民代表に選出される。

キム・ミンソン(パク・ソジュン)602号室の住人。公務員。ヨンタクに防犯隊長を任される。

チュ・ミョンファ(パク・ボヨン)602号室の住人。ミンソンの妻。看護師。

キム・グメ(キム・ソニョン)1207号室の住人。ファングンアパートの婦女会会長。

ムン・ヘウォン(パク・ジフ)903号室の住人。外部で大災害に遭い、苦労してアパートに戻って来た。

ドギュン(キム・ドユン)809号室の住人。住民自治員会に非協力的な態度を取る。

ジヒョク(イ・ヒョジェ)グメの息子。

本当のキム・ヨンタク(パク・ジョンファン)902号室に住んでいた詐欺師。

【ファングンアパート部外者】

ジュモン(クォン・ウンソン)事故が起きた直後、ミンソンの家で母親と一緒に世話になった子供。

ジュモンの母親(イ・ソンヒ)ジュモンの母親。

国会議員の補佐官(ナ・チョル)国会議員の補佐官。

ユ・ドヒョン(キム・ハクソン)ファングンアパートがある選挙区の国会議員。

469文字

 

 (過去)巨大なアパートの森から男性が、アパートの建設についてレポートする。次々にアパートが建設されていく。抽選で入居者が決まる。販売と賃貸がある。巨大な高層アパート団地が造られる。

 現代のある日、遠くから地面が持ち上がり、建物が次々に壊滅する。

 翌朝。アパートのベッドルームでミンソンは目を覚ます。妻のミョンファはまだ寝ている。ミンソンがベランダから外を見ると、このファングンアパート103号棟以外の全ての建物が崩壊していた。

 (タイトル『콘크리트 유토피아』)

602号室のミンソンは、1階に降りると、倒壊した他のアパートの住民が凍死しそうだと、ファングンアパートに避難していた。断水と停電が起きているが、管理人は何をすべきかわからず災害標準マニュアルに目を通すだけだった。

 ミンソンは配給された飲料水を持って家に戻る。ミョンファの父が持ってきた餅があるので、1週間くらいは持ちそうだった。ミンソンは「様子を見よう。きっと救助隊が来る」と、ミョンファを安心させる。

 その夜、生き残った人達が、唯一無事なファングンアパートにやって来る。

 ドアをノックするので、ミンソンが開けると、隣の倒壊したドリームパレスの住民の女性が、息子が寒がっているので暖を取らせてほしいと言う。ミンソンは断るが、ミョンファが「助け合わないと」と言って、2人を泊める。ミョンファは、手動の充電式懐中電灯を子供に与える。それを見るミンソンの表情は複雑だった。

 翌日ミンソンはアパートのロビーに降り、物資を調達しようとする。物売りに現金は使えないと言われ、ミンソンは腕時計を桃の缶詰に交換する。

 ミンソンが家に戻る途中、アパートの居住者と部外者との喧嘩に巻き込まれ、大事な缶詰をソファの下に落とす。ソファの下に手を伸ばしたミンソンは、ゴキブリが沢山出てきて驚く。

 ミンソンが家に戻ると、ミョンファと子供のジュモンとトランシーバーで遊んでいた。ミンソンはミョンファをこっそり部屋に呼び、桃の缶詰を取り出す。ミョンファは皆で分けようと言うが、ミンソンは「手に入れるのが大変だった」と言って、2人で缶詰を食べる。すると、急に母子が部屋のドアを開け、仕方なく4人で缶詰を分ける。ミンソンは「居候のくせに図々しい」と不平を言う。

 ミンソンとミョンファは物資を調達して外に出ると、男が刺されて家から投げ出されるのを見つける。看護師のミョンファは男に駆け寄り、手当をしようとすると、ドアの隙間から煙が出てくる。その直後、爆発が起こり、すぐに家の中が燃え始める。

 皆がみんなが呆然としていると、ある男が消火器を持って駆け付けるが消えない。男は廊下の消防ホースを引っ張り出すが、住民は「水が凍って出てこない」と言う。男は消火ホースの先をミンソンに持たせ、ホースの根元を強くゆすぶる。やっと水が出てきて、その勢いでミンソンはホースを落とす。男はホースを握り、家に駆け込んで火を消す。

 アパートの婦人会会長グメは男に感謝し、どこに住んでいるかと聞く。管理人は9階で見たと言い、男は902号室のヨンタクだと言う。管理人は、刺された男は家の持ち主で、家に戻ったら見知らぬ人が家の中で火をつけて暖を取っており、刺されたと話す。

 アパートの住民による集会が開かれる。グメは名簿で住民か確認する。部外者をどうするかを話し合い、ワン氏は「部外者は全員立ち退かせるべきだ」と言う。1004号室の住人は「立ち退かせると、この天候では凍死する」と反対する。「救援隊が来るまで待つべき」「ヘリコプターが来るのを見ていない」「もうすぐ食料も水も尽きる」「慎重に理性的に行動すべき」と意見が対立してまとまらない。

 グメは「部外者の殆どはドリームパレスの住民で、我々を見下していた」と言う。ミョンファは「皆で一緒に暮らす方法を見つけるべき」と言う。管理人は「私達は刺されて死ぬべきか」と、言い争いになり結論は出ない。

 婦人会会長グメは公務員のミンソンに、緊急時のマニュアルについて尋ねる。ミンソンは「非常事態にシステムを作るのが大事。話がまとまらないのは、決める人がいないから」と話す。住民は代表を決める事に意見がまとまる。グメは「私達のために命を危険にさらすことができる男が必要です。火事場に飛び込むことができる人」と言う。全員一致で、ヨンタクが住民代表に選出される。

 部外者の受け入れについて、白い碁石は「追い出す」、黒い碁石は「受け入れる」で投票で決める事になる。投票の結果、白い碁石が圧倒的に多く、部外者の追放が決定される。

 家に帰ってミョンファは「追い出された人はどうなるの?」と聞く。ミンソンは「他に残った建物に行くだろう」と言う。ミョンファは「あなたは何色の石を入れた?」と聞くとミンソンは「配偶者にも言ってはいけない」と答える。

 ミンソンは地震が起きた時を思い出す。ミンソン達数人が、地震でトラックの下敷きになった女性を救おうとしていたが、遠くで地面が持ち上がるのを見た人々が逃げる。ミンソンは逃げ場を失って、放置された車に乗り込み、シートベルトを締める。すると車は地面ごと持ち上げられ、次に車が落下する。ミンソンはエアバッグとシートベルトで、奇跡的に生き残ることができた。周りの建物は全て壊滅していた。

 ヨンタクは、退役したばかりのミンソンに防犯隊長になってほしいと頼む。

アパートには136世帯、219名の生存者がいた。グメは兵役に就いていた人々を防犯隊員に選ぶ。グメは明日夜明け、武器を持って集まるように言う。ドギュンは体調が悪いので出られない と断り、皆から非難される。

 家に帰ったミンソンは、クローゼットから金属製の棒を取り、振り回す。それを見たミョンファは、不安に思う。

 グメは空き部屋を部外者に提供するという口実で、アパート内の部外者を全員外に出させる。すると、棒やフェンスなどを持った住民が入口前に並ぶ。ヨンタクは「アパートの住民以外は出て行ってもらう」と通告する。それを聞いた部外者は「凍死する」と憤慨する。

 この地区の国会議員のユ・ドヒョンが「皆さん冷静に。力を合わせて困難を乗り切ろう」と演説する。ヨンタクは彼の前に来て「私は住民代表だ。黙って出て行きなさい」と言う。議員の補佐官がヨンタクを突き飛ばして「中に入りましょう」と扇動し、住民と部外者で大乱闘になる。部外者が住民を押し、入口のガラス戸が割れて管理人が怪我をする。ミンソンは部外者に首を絞められるが、ヨンタクが助ける。

 他の住民も加勢して、部外者を外に押し出す。部外者の男が鉄パイプでヨンタクを殴る。血だらけのヨンタクは鉄パイプを奪い取り「全員出て行け!」と叫ぶ。アパートのベランダから住民達が植木鉢や石を投げて、部外者に出ていけと叫ぶ。その勢いに圧倒された部外者は、施設の外に逃げ出す。

 住民はヨンタクに感謝し「ヨンタク万歳」と言う。ヨンタクは「アパートは住民の物」と叫び、住民達もそれに合わせて「アパートは住民の物」と叫ぶ。ミンソンも叫ぶ。ミョンファはそれを不安そうな表情で見る。

 その後、住民はアパートの整備をする。グメは住民のルールを発表する。「1、アパートは住民の物。住民だけが住むことができる。2,住民は義務を果たし、その貢献度に応じて配給する。3,アパートで行われる全ての事は、住民の民主的な合意によるものであり、それに従わなければアパートで暮らすことはできない」

 アパートの前にバリケードを造り「住居者以外の立ち入り禁止」の看板を立てる。

 防犯隊は見回りと秩序の維持を担当で16~60歳の男性が対象。配給隊は限られた資源を規則に従って定期的に配給する。メンテナンス隊は生活空間の改善で、電気や暖房の修理を率先して行う。医療隊は医療や福祉を担当。最も大事なのは、廃棄物管理。ビニール袋に排泄物を入れ、土を混ぜて深い穴に捨てる。グメは「火事と衛生に気を付けて皆で元気に暮らしましょう」と呼びかける。住民達は一時の明るい空気につつまれる。

 防犯隊は、外に食料の調達に行く。ヨンタクは「ウラチャチャ、ウラチャチャ。行こう。ファイト!」と気合を入れて出発する。途中で凍死した議員達の死体を見つける。

 防犯隊が帰って来るが、カビが生えて食えない物もあり、がっかりする。地図に探索した場所の印を付ける。何度も出かけるうちに、疲労の蓄積と収穫の少なさに、気合の声が小さくなる。

 防犯隊がある建物に、殺し合いをした死体を沢山見つける。あと数日分の食料しかなかった。

 ヨンタクが気合を入れ直して、防犯隊が食料調達に出発する。夜、ヨンタクはミンソンに、妻との出会いを聞く。ヨンタクも「僕にも家族がいた」と呟く。ミンソンは「僕たちは悪い事をしたわけではない。しかし、辛いことが起きた」と言う。ヨンタクは「私たちは皆、きっと報われるだろう」と励ます。

 夜、ミョンファが廊下を歩いていると、ジュモンが呼ぶ。ミョンファがトランシーバーで通信すると、ジュモン達複数の部外者をドギュンが匿っていた。

防犯隊がビルの瓦礫を通り抜け、目的のスーパーマーケットに到着する。シャッターをこじ開けて中に入ろうとすると、店主がグメの息子のジヒョクに銃を突き付け「品物に手を触れたら殺す」と言う。ミンソンが背後から店主を襲い、ヨンタクが店主を殴り殺す。

 防犯隊は店の食料や衣料品、飼っていた犬も根こそぎ持って行く。ミンソンが見ると、店主の遺体に妻と娘が泣きすがっていた。

 ホームレスの男達が、団地は楽園だと言って、やって来た人を食うと言う、と噂していた。すると帰る途中の防犯隊を見つけ、慌てて隠れる。それを見た隊員は「ゴキブリみたいだ」と言う。

 大量の食料が手に入ったので、アパートの住民達は新年のパーティーを開く。酒を飲み、犬を殺した肉を久しぶりに食べて喜ぶ。ドギュンは食べ物を沢山持って家に帰る。ミョンファは沢山の食べ物を見て複雑な表情をする。ヨンタクはミンソンに感謝する。

 入口のバリケード脇で見張りをしていたジヒョク達は、ヨンタクの隣の903号室に母親と住んでいたヘウォンが戻ってきたのを見つける。彼女は家の外の地震の後、全ての交通手段が無くなったため、アパートに戻るのに長い時間がかかったと言う。グメが隣の家のヨンタクに挨拶しろと言うが、ヘウォンは覚えていないと言う。

 ヨンタクは「このアパートは韓国で一番住みやすい」と挨拶し、仲間が増えたとヘウォンを紹介する。住民に促されてヨンタクはカラオケでユン・スイルの『アパート』を歌う。人々はヨンタクの歌に合わせて楽しく踊る。

 カラオケを歌いながらヨンタクは、昔を思い出す。彼はタクシー運転手のモ・セボムだった。セボムはファングンアパートの103号棟902号室のキム・ヨンタクに「金を返せ。またはこの家をくれ」と迫る。セボムはヨンタクに、相場より安い家があると言われ、金を預けたが詐欺だった。ヨンタクは「私は委任状を書いただけで、お金は詐欺師のギャングによって奪われた」と主張する。セボムとヨンタクはもみ合いになり、セボムはヨンタクを殴って気絶させ、口に碁石を詰め込んで窒息死させる。その時、天変地異が起こりソウルは廃墟となった。セボムは902号室のキム・ヨンタクに成りすましていたのだ。

 夜遅くまでアパートのパーティーは続いた。

 翌日、ジヒョクはヘウォンに、週に1回配給があり、月曜の夜に住民会議があると教える。管理人は部外者と争った際にガラスで太ももに怪我を負って働けないため配給が少なく「一週間どころか数日間しか食べられない。防犯隊ばかり配給が多い」と文句を言う。防犯隊員が「口を閉じろ」と言う。管理人は「防犯隊は人を殺して食べ物を略奪している」と言う。グメは「ゴキブリ(部外者)の代わりに息子が死んだ方が良いのか?文句があるなら出て行け」と反論する。

 それを聞いていたミョンファは家に帰るとミンソンに「人を殺したの?」と尋ねる。ミンソンは「事故があったが、彼は死んでいないと思う。ジヒョクが殺されかけた」と言い訳する。ミョンファは「もう捜索に行かないで」と頼む。

 ミョンファは植木箱の中に沢山の食べ物を隠して、部外者を匿っているドギュンの家にこっそり持って行く。その様子を903号室の前でタバコを吸っていたヨンタクが見ていた。

 ヨンタクは、ヘウォンの家にストーブを持ってきて入り込む。ヨンタクはヘウォンに「隣に住んでいたけど、殆ど会った事がないよね。なぜあなたは昨日、私を知らないと言ったのか?私の事を覚えているか?」と迫る。ヘウォンは恐喝だと感じ「覚えています」と答える。

 ミョンファはヘウォンの手の怪我を手当てする。ミョンファが外の様子を聞くとヘウォンは「地獄でした」と話す。婦人達は「私たちは苦労した。あなたは何もしないのに食べ物を貰っている。私達はあなたを受け入れた。感謝しなさい」と言う。ヘウォンは「ここは私の家だ」と怒って出て行く。

 追って来たミョンファにヘウォンは泣き叫びながら「皆変だ。あのヨンタクは私の隣人ではない」と言う。ミョンファがどういう意味か聞く。

 その時、悲鳴が上がり、住民がヨンタクを呼びに行く。部外者の死体から金の歯を集めるためにしばしば外に出た居住者が、アパートの近くで殺されているのが見つかる。母親が泣き叫び、コンクリートの壁には「アパートの奴らは寿命を全うできない」と書かれていた。

 ヨンタクは瓦礫の下敷きになった妻と娘の死体を見た時を思い出す。ヨンタクは「これ以降、アパートの出入りを厳重に管理する。警備の数を増やす」と指示する。

 ドギュンの家で部外者達が、ミョンファが差し入れた食べ物を食べていると、家にヨンタクがやって来る。ヨンタクは家の中で部外者を探すが、なかなか見つからなかったが、ベッドの下の収納に部外者を見つける。

 部外者は外に連れ出される。何事かと聞くミンソンにヨンタクは「ミョンファが知っている」と教える。ミンソンはミョンファに「気は確かか。自分が何をしたか知っているか」と責める。ミョンファは「これで良いのか?ヨンタクは偽物で、ここの住人ではないと903号の女の子が言っていた」と教える。ミンソンは「ここを追い出されたら終わりだ」と言い、自分が戻って来るまで何もしないように注意する。

 ミンソンはヨンタクに「二度とこのような事はしない。何でもやるから許してください」と土下座して謝る。ヨンタクは「アパートのためにもっと力を尽くして下さい。罪悪感も自負心もいらない。家族のために当然だ」と言って許す。

 ヨンタクとミンソン達防犯隊は、アパート内のゴキブリ(部外者)の捜索を行う。部外者を隠した家のドアには、赤いペンキで線が引かれる。部外者を隠していると告発した者には、配給が与えられる。ヨンタクは「苦労して手に入れた食料を、部外者に分けられない」と言う。

ミョンファはドギュンにこっそり薬を届けようとするが、ドギュンは「来ないでください」と拒否する。

 ヨンタクはアパートの前の木の前に住民を集める。ヨンタクはアパート内の「検疫」が完了したと宣言し「私が代表に選ばれたとき、住民と家族を守ると誓った。みんなで団結しよう」と言う。部外者を隠した全ての居住者をひざまずかせ「私は間違いを犯した」と200回叫ばせて罰する。

 すると、それを見ていたドギュンが「そんなことさせるな。やっていけない事がある」と言って、飛び降り自殺する。

 ドギョンの死体は部外者が持って行って食べることができないように燃やされる。住民は「死体を食べるなんて、正気の沙汰でない」と非難する。

 すると突然大きな揺れが起き、崖から水が噴き出す。水不足に苦しんでいた人々は歓声を上げて喜ぶ。

 ミョンファはヘウォンに、前に言った事を話すように頼む。以前、高校生のヘウォンは荷物の誤配があり、902号室のキム・ヨンタクに届けた事があり、顔を知っていた。ミョンファは、本物のヨンタクはどこにいるのか疑問に思う。ヘウォンは「彼が私を脅かしたので、何かを隠している」と話す。

 水の噴出に喜んでいたヨンタクは、ミョンファとヘウォンが一緒にアパートに入ってくるのを見て、心配に思う。

 住民集会では「食料は1週間も持たない。水だけでは生活できない」との意見が出て、ヨンタクは防犯隊を連れて、再び食料の捜索に出かける。

 防犯隊は、干上がった漢江を渡る。隊員は「ヨンタクは元気がない」と噂する。一行は倒壊した建物の狭い間を通り、デパートに到着し、フードコートの看板を見つける。ミンソンは、建物が崩れてできた、凍った死体が沢山ある狭い真っ暗なトンネルをくぐり、やっとフードコートに辿り着く。そこには沢山の食料があった。

 一方、ヨンタクが出かけている間に、ミョンファはヘウォンの家のベランダの仕切りを壊し、ヨンタクの家に侵入する。ミョンファはヘウォンの部屋を探すと、写真は無かった。2人は部屋の中にテープで密閉された冷蔵庫を見つけ、中を開けると、ヨンタクの死体があった。

 防犯隊は、数か月分もある食料を手に入れる。ミンソンはシャネルのヘアピンを拾う。一行はまた建物と建物の間の狭い空間を通って帰ろうとすると、上から部外者が瓦礫や火炎瓶を落として襲ってくる。ヨンタクは銃で部外者を撃ち殺す。ミンソンは服に火が付いたジヒョクを助け、背負って逃げる。

 防犯隊がアパートに戻るが、手に入れた食べ物の殆どを失っていた。息子のジヒョクを亡くしたグメは泣き叫び、ヨンタクに「解決すると言ったのに。この殺人鬼」と詰め寄る。ヨンタクは「息子が命がけで取って来た食べ物を食べていただろう」と怒鳴る。

 するとミョンファは「やめろ。人を殺したら、死んだ家族は戻って来るか?」とヨンタクに尋ねる。ヨンタクは「これは全て私達、アパートの住民のためだ」と言う。ミョンファは「住民規則1。アパートは住民の物。ここには居住者しか住むことができない」と言って、冷蔵庫を持ってこさせ、中の本物のヨンタクの死体と身分証を見せる。ミョンファは偽ヨンタクに「出て行って」と言う。

 住民が動揺する中、ミンソンは偽ヨンタクに説明を要求する。偽ヨンタクは「アパートのために俺が汚い事を被ってきた。登録していないだけで、火炎を払ったのでここは俺の家だ。こいつは俺を騙した。俺は902号のキム・ヨンタクだ」と叫ぶ。

 住民は「彼に騙された」「彼を追い出せ」と叫び、偽ヨンタクを追い出そうとする。偽ヨンタクはヘウォンが告発したと悟り、ヘウォンを捕まえてゴミ捨て場の穴に落とす。

ミンソンは偽ヨンタクの銃を偽ヨンタクに向け「お前は何者だ?」と叫ぶ。銃に弾が装填されていなく、偽ヨンタクは銃を奪い取って弾を装填する。

引っ張って壊し、「食べ物をよこせ」とアパートの敷地に乱入する。偽ヨンタクは部外者を銃で撃つ。しかし、弾丸がなくなり、部外者に襲われる。

 ミンソンとミョンファは建物の中に逃げ、部屋に隠れる。部外者が部屋にやって来て、ナイフでミンソンを刺す。ミョンファは焼きごてで応戦するが、部外者に襲われる。ミンソンはミョンファを助け、缶詰で部外者を殴り殺す。ミンソンとミョンファはドアの外に出て、走って逃げる。

 アパートの入口では住民と部外者が乱闘になっていた。部外者が手作り爆弾を住民に投げ、偽ヨンタクは爆弾を拾って投げる。爆弾は空中で爆発し、多くの怪我人が出る。

重傷を負った偽ヨンタクは「しばらく休む」と言って自分の家に戻り、部屋の中で倒れる。部外者が家に入って来て、食べ物を奪っていく。偽ヨンタクは家族写真を見ながら死んでいく

 ミンソンとミョンファは雨の中、アパートを去る。2人は部外者の捜索を避けて廃墟をさまよい、夜、廃墟の教会のベンチに横になる。ミンソンは拾ったヘアピンをミョンファに贈り、髪に付けたミョンファを綺麗だと言う。ミンソンは「全部間違っていた。1つだけ間違っていなかったのは、君との結婚だ」と言って眠りにつく。

 翌朝、目を覚ましたミョンファは、教会のステンドグラスを通して輝く光が美しいとミンソンに告げるが、ミンソンは亡くなっていた。ミョンファはコンクリートの瓦礫でミンソンの墓を造る。

 通りかかった人達がミョンファに、行くところがないなら一緒に来るように誘う。人々は横倒しになったアパートに住んでいた。暖かいおにぎりを貰ったミョンファは「私はただで住んで良いのですか?」と尋ねる。女性は「生きていれば、住んで良い」と言う。男性が「あのアパートの住民は人を捕まえて食べていたという噂は本当か?」と聞く。ミョンファは「いいえ。ただ彼らは普通の人」と答え、涙を溢す。

 横倒しのアパートに沢山の人が暮らし、その周りにはどこまでも廃墟と化した街が広がっていた。

 (タイトル『콘크리트 유토피아』。エンドクレジット)

(写真は「IMDb」「映画com」より)