『メアリと魔女の花』ネタバレの感想 ジブリを思わせる良質の映画 | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 3/5 ☆☆☆★★

 スタジオポノックの長編アニメーション映画第1作である。スタジオポノックは2015年のスタジオジブリの制作部の解散により、ジブリのプロデューサーだった西村義明がアニメ映画を製作する会社として設立した。監督の米林宏昌は、スタジオジブリの『借りぐらしのアリエッティ』(2010年)、『思い出のマーニー』(2014年)の監督で、面白かったので本作も期待して見た。

 監督初め本作のスタッフの約8割がジブリ作品に関わった経験があるそうで、技術が優れている。また、ジブリ色があちこちに出ている気がした。まずキャラクターの作画がジブリっぽい。主人公が少女なのも多くのジブリ作品で言える。さらに主人公が魔女なのも『魔女の宅急便』(1989年)を思い出す。

 冒頭、赤毛の魔女が「夜間飛行」の花の種を盗んで、箒で逃走する。この冒頭場面は、いかに観客を引き付け、スタジオポノックとはどんな会社なのか印象付ける大事な場面であるが、作画は上手で、動きもいいし、スリルがあって最初の見せ場として上々である。赤毛の魔女も美人であり、意志の強さも分かり、いい主人公だと思った。ところが、魔法が解けて髪の毛の色が変わり、主人公ではなかったのが残念。この赤毛の魔女は将来のシャーロット叔母さんであるが、印象が違い過ぎると思った。

 さて、次に登場するメアリが本当の主人公である。失敗ばかりで、これもジブリ作品でもよくある設定である。メアリは赤毛を気にしているが、実はシャーロット叔母さん譲りだった。メアリが「夜間飛行」の花の力で、一時的に魔法を使えるようになり、偶然魔法大学に入学することになる。校長自ら校内を案内するとは、校長は閑職なの?それに新入者名簿はないのか?正門の掲示板に、約束第1項「不法侵入者は変身の刑に処す」と書いてあったが、校長自身が不法侵入者を見破れず、セキュリティーが甘すぎでは?なお、他にも幾つか約束事項が書いてあったが、どんな内容なのか気になる。

 さて、この大学では秘密裏に動物を使った変身魔法の実験を行っていた。メアリがピーターの住所のメモをマンブルチュークに渡すとは、軽率すぎでは?そのためピーターが捕まり、実験体にさせられる。でも、メアリが実験室に助けに来たときは、ピーターは拘束されておらず、自由に動き回っていたがなぜ?

 メアリは「全ての魔法を解く呪文」で、変身させられていた動物たちを元の姿に戻す。何とも便利な魔法である。動物が脱走した時は余りにも動物の数が多く、こんなに実験室の檻に閉じ込められていたの?

 なお、箒小屋の管理人のフラナガンは、メアリが危機になると箒を持ってきたり、箒の柄を修理したりと手助けする。大学の職員なのにメアリを助けて、マンブルチューク校長に叱られないの?フラナガンはネズミのような姿をしているが、他にも変わった姿の職員や生徒がいるのだろうか?見たかった。

 ところで、フラナガンもマンブルチューク校長も、黒猫のティブを「エメラルドの瞳を持つ使い魔」と呼んでいたので、きっとメアリが絶体絶命になった時に使い魔としての正体を現して、メアリを助けるのだろうと思っていたが、全くそんな場面はなかったのが残念。

ピーターが変身魔法の実験体になった時、てっきり他の動物のように変な姿になるのかと思ったら、ぶよぶよの液体のような物の中で、ピーターの姿のままでいたのが意外であった。再び「全ての魔法を解く呪文」でピーターは助かる。

 マンブルチューク校長とドクター・デイは生きていたけど、メアリに報復に来たり、また変身魔法の実験を始めたりしないのだろうか?メアリはシャーロット叔母さんを受け継いで魔女になるのかと思ったら、「夜間飛行」の花が無くなり、魔法の力を失うのが残念。普通の人間が一番いいと言う事か。

 メアリの成長が描かれストーリーも良かったが、盛り上がりに欠けるので評価は「3」である。スタジオポノックは、これからもどんどんアニメ映画を製作してほしい。