『翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて』ネタバレの感想 関西・埼玉ネタをうまく使って面白い | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 4/5 ☆☆☆☆★

 前作『翔んで埼玉』(2019年)は、東京都・神奈川県が埼玉県・千葉県に通行手形を発行し、差別するなどの圧政を強いているという発想が面白かったので、続編が楽しみだった。主要登場人物はほぼ同じだが、麻美麗が千葉解放戦線のアワビとサザエに「阿久津はどうした?」と聞くと、2人が慌てふためいたのが面白い。我々の世界では伊勢谷友介が大麻所持で逮捕されて本作に出演していないが、あの世界でも阿久津が何か犯罪を行ったのだろうか?

 本作では、埼玉県人の団結を作るため、麗は「越谷に海を作る。白い砂を和歌山県白浜の海岸から運んでビーチがある「しらこばと水上公園」を造る」と宣言する。わざわざ遠くまで行かなくてもいいのにと思うが、本作の舞台を関西にするための理由付けであろう。調べたら「しらこばと水上公園」は我々の世界にも存在しており、ホワイトビーチの砂はオーストリアの海岸だそうで、本作よりも上を行っていた。

 麗たちが白浜に行くと、大阪の植民地になっていた。関西では大阪府・兵庫県・京都府が和歌山県・滋賀県・奈良県に通行手形を発行し、差別するなどの圧政をしており、関東と似た構図になっていた。さらに「大阪都市構想」に失敗した大阪知事は「日本大阪植民地化計画」を進行させているのも面白い。粉物を食べると大阪化されると言うのも、ありそうで怖い。

 大阪府知事は犯罪者や他県人を「甲子園球場に放り込んでおけ」と言う。また、大阪知事私邸が芦屋市にある。我々の世界では甲子園球場がある西宮市や芦屋市は兵庫県であるが、あの世界では大阪府が領地を広げたのか?その甲子園球場の地下には、犯罪者や他県人が強制労働させられている粉物製造工場があるが、『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)の様なシュールな工場になっているのが面白い。

 滋賀県・奈良県・和歌山県は、琵琶湖の水を止めると言う反乱を起こす。麗の父親は埼玉デュークだったが、母親は滋賀のジャンヌ・ダルクだった。都合のいい設定だが、麗が幼い頃に過ごしたマイアミ・ビーチの思い出は、実は琵琶湖畔のマイアミ浜だったのも面白い。

麗が「人が住める土地があったのか!」と驚くほど滋賀県の陸地は狭く、都市が水没し、県民が彦根城に避難すると言うのも面白い。軍勢を水増しするために「とび太」の看板を使うもの感心した。

 水門で出身者対決が行われるが、奈良県の「せんとくん」はゆるキャラだし、京都府の「桓武天皇」は歴史上の人物だし、他に有名人はいないの?神戸市長役の藤原紀香が、両親の出身地の和歌山県のフルーツ大使をしていたとは、よく調べたものだと感心した。

 大阪府知事は関東に粉をばらまくため、通天閣をミサイルにして発射する。通天閣をロケットに見たてる発想は現地でもあるとか。迎撃ミサイルの行田タワーも、田んぼアートを見るためだけに建てられたのではないはず、という言葉に説得力がある。

 現代パートは前回の菅原家が登場しないのが残念だが、今回は滋賀県ゆかりの人物が必要なためだろう。熊谷市で行われる都市対抗綱引き大会を舞台にして、浦和市と大宮市の対立、熊谷は暑いので弁当が腐ったり、熱中症になったり、収斂火災を起こしたりと、埼玉ネタを使っているのも感心した。

 武蔵野線は、埼玉県人の横の広がりを強めるためだったとは知らなかった。しかも路線図を見ると京葉線と繋がって、ちゃんと東京ディズニー(ネズミー)ランドに行けるではないか!ただ、我々の世界では全線開通は40年も前だが。「日本埼玉化計画」は着々と進んでいるらしい。恵方巻きなど関西の文化も全国に広まっているので、「日本大阪植民地化計画」も進んでいる気がする。

 関西や埼玉の地方ネタをうまく取り込んで、面白い映画だった。また是非続編を作ってほしいが、今度は東北ネタをお願したい。評価は「4」である。