『時をかける少女』アニメ版(2006年)ネタバレの感想 タイムリープを使った青春映画 | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 

評価 4/5 ☆☆☆☆★

 筒井康隆の『時をかける少女』(1967年)を原作にした作品は、NHK少年ドラマシリーズ『タイム・トラベラー』(1972年)が一番思い出深い。大林信彦監督、原田知世主演の『時をかける少女』(1983年)は主題歌もヒットした。本作『時をかける少女』(2006年)は初のアニメ化である。さらに本作の主人公紺野真琴の声優である仲里依紗が主演で、実写版の『時をかける少女』(2010年)も作られている。何度も映画化されているのは原作が面白いからであろう。

さて、本作は主人公の紺野真琴が原作の主人公の芳山和子の姪である事と、タイムリープ以外は、ほとんど原作との関係はない。本作の和子が「高校の時に初めて人を好きになったが、大人になる前に駄目になった。いつか戻って来ると言っていたけど、こんなに時間がたった」と話す。その好きになった相手は、深町一夫(ケン・ソゴル)に違いない。ケン・ソゴルは未来に帰る時に、周りの人々の自分に関する記憶を消した。それでも和子が薄っすらとケン・ソゴルの事を覚えているのは、よほど思いが強かったと思われる。ケン・ソゴルは和子に「和子の前にいつか再び、別の人間として現れて再会する」と約束していたのに、まだ現れない(20年くらい?)とは和子が可哀そうである。

今回はタイムリープするのに「ラベンダーの香り」が関係ないのは残念である。代わりにジャンプするとタイムリープできる演出は、躍動的で良いと思う。大きくジャンプするほど遠い過去へタイムリープできるのか、プールの高飛び込み台の上からジャンプするとは面白い。

千昭はそのタイムリープの能力を悪用されないか、寝られないほど心配だったと言っていた。『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』(1989年)では、ビフが未来のスポーツ年鑑によって、試合の賭けに勝って大儲けをしていた。なのに真琴は、小テストで100点を取る、他人に油を跳ねさせる、飛んでくる男子生徒をよける、妹に食べられる前にプリンを食べる、カラオケを何時間もやる、ゆっくり寝るなど、自分の楽しみだけに使っているのが、微笑ましい。

和子は「真琴が良い目を見ている分、悪い目を見ている人が居るんじゃないの?」と言う。実際に、油が跳ねるのを真琴の代わりにさせた高瀬は、いじめの対象になる。消火器が功介に当たるのを防ぐと、消火器は友梨に当たる。自分が良くなれば、他人が悪くなる事もあるようで、使い方が難しい。また、千昭の真琴への告白を、無かった事にするのも良くない。

その後、真琴はタイムリープを使って、功介と果穂の中を取り持とうとするが、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014年)や『コンティニュー』(2021年)のように、何度も失敗しながら成功させるのが面白い。また、ブレーキが壊れた自転車に乗った2人が、踏切で事故に遭うのをどうやって防ぐか、ハラハラした。

 千昭は「未来で、待っている」と真琴に囁いて未来に帰ったが、2人はいつ会えるのだろう?2人の再会を期待しよう。

 SFと言うより、タイムリープを使った青春映画と言え、なかなか面白かった。評価は「4」である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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