『万引き家族』ネタバレの詳しいあらすじ(改訂) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 2022年6月11日に「土曜プレミアム」で『万引き家族が放映されるの、参考のため、2018年6額に掲載した『ネタバレの感想」を大幅に加筆改訂して再掲載する。

監督:是枝裕和  2018年

主な登場人物(俳優)役柄

柴田治(リリー・フランキー)信代の夫。東京の下町に暮らす日雇い労働者。

柴田信代(安藤サクラ)治の年若い妻。クリーニング店工場のパート従業員。

柴田亜紀(松岡茉優)信代の妹。JK見学店に勤務し「さやか」という源氏名を使用している。

柴田祥太(城桧吏)治の息子。学校には通っておらず治とタッグを組んで万引きをしている。

柴田初枝(樹木希林)治の母。年金受給者であり、夫とは離婚している。

柴田譲(緒形直人)亜紀の本当の父親。初枝の元夫と後妻との間の子。

柴田葉子(森口瑤子)亜紀の本当の母親。

柴田さやか(蒔田彩珠)亜紀の本当の妹。高校2年生。

ゆり/りん/北条じゅり(佐々木みゆ)治が連れて帰ってきた少女。両親から児童虐待を受けている。

北条保(山田裕貴)ゆりの父。希とゆりに対しDVを働いている。

北条希(片山萌美)ゆりの母。保からDVを受ける一方でゆりに対しネグレクトをしている。

JK見学店 店長(黒田大輔)亜紀が勤務する性風俗店の店長。

4番さん(池松壮亮)亜紀が勤務する性風俗店の常連客。

クリーニング店 店主(清水一彰)信代が勤務するクリーニング店の店主。

根岸三都江(松岡依都美)信代が勤務するクリーニング店の同僚。

山戸頼次(柄本明)柴田家の近隣にある駄菓子屋の店主。

前園巧(高良健吾)警察官。

宮部希衣(池脇千鶴)警察官。

 

 柴田治と息子の祥太がスーパーに来る。治が買い物をしている間、祥太はDバッグに商品を落として入れる。さらに治が店員の視界を遮って祥太が品物を入れる。2人は金を払わずに店を出る。

 (タイトル『万引き家族』)

 治と祥太は商店街でコロッケを買って家に向かう。祥太はシャンプーを忘れた事を思い出す。途中の裏道の、アパートの1階のベランダで幼い女の子が寒さに震えていた。前も見た治は「コロッケ食う?」と誘い、自宅に女の子を連れて帰る。

 家には治の母親の初枝、妻の信代、彼女の妹の亜紀(松岡茉優)も一緒に暮らしていた。信代は「食べたら返してきな」と言うと、治は「外は寒いんだよ」と反対する。女の子は「ゆり」5歳と名乗り、うどんとコロッケを食べる。ゆりの腕の火傷に気づいた初枝がシャツをめくると、体は傷だらけだった。

 治と信代が寝ているゆりをおんぶしてアパートに返しに行くと、ゆりの母親が「産みたくて産んだわけじゃない」とわめき、夫婦喧嘩をしていた。二人はゆりを連れて家に戻る。

 翌朝、ユリはオネショをしていた。治は日雇いの工事現場へマイクロバスで行く。

 信代はクリーニング店の工場へ出勤する。商品のポケットに入っていたネクタイピンを貰う。

 不動産屋が、家の立ち退きを依頼に来る。初枝は一人暮らしをしている事になっているので、祥太はゆりを連れて、こっそり外に出る。祥太は学校に通っておらず、「勉強のできない奴が学校に行く」とゆりに教える。

祥太はゆりを連れて駄菓子屋の「やまとや」に行き、店主の目を盗んでお菓子とシャンプーを万引きする。

 信代は休憩時間に、他の店員と同僚の悪口をする。

 治は建設現場で働く。

 祥太とゆりは廃車の中で過ごす。ゆりには火傷の痕があったが、「ママは優しいよ」と話す。2人は家に帰る。

 夕食時、亜紀は「誘拐じゃない?」と尋ねるが、信代は「いなくなって、せいせいしているだろう」とゆりを返しに行く気はなかった。皆で麩の鍋を食べる。初枝は寝る前に、オネショをしないため塩を舐めると良いと教える。治が工事現場で足を怪我して、同僚に抱えられて帰ってくる。1ヶ月くらい仕事ができないが、労災が出るだろうというので信代は喜ぶ。

 次の日、祥太はスーパーでカップ麺とお菓子を万引きし、路地で盗んだお菓子を食べながら、ゆりに「そのうち教えてやる」と言う。初枝と亜紀は銀行のATMで、大事な定収入の年金を下す。帰りに初枝と亜紀が食堂で食事しながら、亜紀のアルバイトの話をする。

 信代は、クリーニング店の経営が苦しく、勤務時間を減らされた。治の怪我は労災が下りなかった。初枝の月6万円の年金では、生活が苦しい。初枝が買い物から帰って来る。

 亜紀は「さやか」の名前で風俗店「JK見学」で働いていた。亜紀は常連客の4番さんに、マジックミラー越しに胸やパンツを見せる。

 初枝はパチンコ屋に行き、客の玉を盗んでパチンコをする。

 治と祥太とゆりは釣具店に行く。治が店員と話している間に、ゆりが入口の防犯センサーの電源を切り、祥太が2本の釣竿を持ち出す。治は「焦らず、店員が減るのをじっと待つ」と、祥太に万引きの極意を教える。ゆりが邪魔だと言う祥太に治は「ゆりはお前の妹だ」と言う。祥太は反発し、出て行く。

 家に帰った治は、釣り竿は4~5万円になるので、働きに出なくていいと喜ぶ。信代は亜紀に金を入れて欲しいと言うが、初枝はそういう約束だと庇う。初枝はゆりに服を縫う。初枝に亜紀が膝枕すると、初枝は「嫌な事があっただろう」と当てる。

ゆりは玄関で祥太の帰りを待っていた。信代は「産まなければよかった」と言う母親の元には返さない、と治に言う。

 治が探しに行くと、祥太は廃車の中にいた。治は、ユリが祥太を心配していると教える。祥太はまだ「おじさん」と呼ぶので、治は祥太に「いつか父ちゃんと呼んでほしい」と言う。2人は家に帰る。

帰り道、祥太は国語の教科書の、小さい魚が大きな魚をやっつける「スイミー」の話を治にする。空き地で二人は追いかけっこする。

 信代は洗濯物を庭に干す。テレビで「荒川区で、5歳の女の子の北条じゅりちゃんが行方不明」というニュースが流れる。両親の北条保と希は、2ヶ月以上も「親戚の家に預けた」と嘘をついていたが、不審に思った児童相談所が警察に連絡したのだ。「ゆり」がテレビに写っていると、祥太が信代と治に教える。ニュースを見た治はまずいと思い、「一人で帰れるよね?」とゆりに尋ねるが、信代は「ここにいるよね」と留める。信代は「ゆり」の呼び名を「りん」に変え、髪を短く切る。ゆりも気にいる。

 祥太もりんに、この家にいるように励ます。信代は「産みの親は選べないが、家族はこうやって自分で選んだ方が、絆が強いんじゃない?」と初枝に話す。

 夏、治は怪我が治っても仕事がなかった。家にいる治に亜紀が「信代といつしてるの?」と尋ねる。治は「股間で繋がっているんじゃない。心で繋がっているんだ」と答える。「どこで繋がっていると思っている?」と治が尋ねると、亜紀は「お金。普通は」と答える。

 衣料品店に初枝と信代がりんを連れて行く。試着室に大量の服を持ち込み、信代が服を買ってやると言うと、りんは「後で叩かない?」と尋ねる。

 りんは買ってもらった水着を着て、信代と一緒に風呂に入る。信代はりんに腕のアイロンの火傷を見せると、りんも同じだと自分の火傷の跡を見せる。りんは信代の火傷の後を撫でる。

 祥太は国語の教科書の「スイミー」を、治に読んで聞かせる。小さな魚たちが団結して、意地悪な大きな魚をやっつける話だった。

 信代は庭で、りんが来た時に着ていた服を燃やす。信代はりんに「お母さんがりんを好きだから叩くと言うのは嘘。好きだったらこうする」と言って、強く抱きしめる。

 ゆりは祥太を「お兄ちゃん」と呼び、公園でセミの幼虫を見て遊ぶ。駄菓子屋の「やまとや」で祥太が店主から見えないように立ち、ゆりにお菓子を万引きさせる。2人が店の外に出ようとすると、店主が祥太に「妹にはさせるな」と言って、お菓子を2個渡す。

 クリーニング店の経営が苦しくなり、店主が信代ともう一人の店員根岸三都江に、どちらかが首になるので相談するように言う。三都江が「譲ってくれたら、ニュースの女の子と信代が一緒にいたのを黙っておく」と脅すので、信代はしぶしぶ承諾する。

 初枝は別れた夫の実家に行き、月命日だと言って仏壇にお参りする。初枝が、夫の息子の柴田譲と妻の葉子、次女のさやかに会う。長女の亜紀の近況を聞くと、両親は「外国に留学して戻ってこない」とごまかす。亜紀は、本当は初枝の家にいた。譲は初枝にお金を渡す。

 亜紀は「JK見学」で、4番さんをトークルームに誘う。彼の拳の怪我を見つけた亜紀は「誰を叩いたの?」と尋ねると、彼は自分を指さす。亜紀は自分も同じだと言って、4番さんを抱きしめる。4番さんは聾唖者だった。亜紀は抱きしめながら「あったかいね」と言う。

 夏、治と信代は下着姿でそうめんを食べる。信代はクリーニング店を首になったと、教える。治は、昔みたいに飲み屋を開こうかと話す。夕立が降って来る。信代は治を押し倒してキスする。二人は下着を脱いで愛し合い、裸のままでタバコを吸ってくつろぐ。そこに夕立に降られた祥太とりんが帰って来る。二人は慌てて服を着て誤魔化す。

 初枝と信代がトウモロコシを茹でていると、亜紀が帰って来る。初枝が「何か良いことあったね」と当てる。亜紀は客と良い事があったと教える。治は祥太とりんに手品を見せる。祥太は治に、駄菓子屋の店主から「妹にはさせるな」と言われた事を教える。

 隅田川花火大会が始まる。見えないが、一家は空を見上げながら、花火の音だけを楽しむ。

 一家は電車で海に行き、海水浴する。治は、亜紀の胸を見ていた祥太に「おっぱい好きだろう」とからかう。波打ち際で治、信代、りん、祥太、亜紀が手をつなぎ、一緒にジャンプする。それを見ていた初枝は「ありがとうございました」と呟く。

 次の朝、りんの乳歯が抜ける。祥太が「丈夫な歯が生えますように」と歯を屋根に投げる。

 初枝が死んでいる事に亜紀が気付く。治は葬式代をどうするか悩む。亜紀は初枝の髪をとかして最後のお別れをする。治は床下を掘って初枝を埋め、祥太に「ばあちゃんは最初からいなかった。俺たちは5人家族だ」と打ち合わせする。

 風呂に入った治が「またこんなことをするとは」と言うと、信代は「あの時とはずんぶん違うよ」と答える。治は「ばあちゃんは幸せだった」と言う。

 信代と祥太がATMで初枝の年金を下す。祥太は「ばあちゃんの金なら悪くないね」と言う。信代が「万引きは?」と聞くと、祥太は「店に置いてあるものは、まだ誰の物でもないと父ちゃんが言っていた」と話す。信代も「店が潰れなきゃいいんじゃない」と答える。

 帰り道、ラムネを飲みながら、祥太は信代に、治が「父ちゃん」と呼ばれたがっているが、呼べないと教える。家に帰った祥太は、ラムネのビー玉を懐中電灯の光に当てて眺める。それを見たりんは「宇宙が見える」と言う。

 治は、初枝が夫の実家から貰って貯めていたお金を見つける。

 治と祥太は駐車場に行き、治が車を物色する。祥太は「人の物じゃないの?」と言う。治は祥太に見張るように言い、車の窓をハンマーで割ってバッグを盗む。祥太は「僕を助けた時も、何か盗もうとしてたの?」と尋ねる。治は「お前を助けようとしていた」と答える。

 祥太とりんが駄菓子屋に行くと、店主は亡くなっていた。

 りんをスーパーの外で待たせ、祥太が万引きしようとすると、りんが入って来て万引きする。それを見た祥太は、店員の気を引くため、わざと見つかるようにミカンの袋を万引きして逃げる。高架道路の歩道で店員に挟み撃ちされた祥太は、下の道路に飛び降りる。

 治は警察に呼ばれ、祥太について聞かれて、あいまいに答える。信代も来て、警官に母親かと聞かれる。2人は保健証を取りに戻るとごまかして、立ち去る。

 その夜、治は「祥太は後で連れ戻す。」と言って、一家は夜逃げする。道路に出たところで警官に見つかる。

 警察署では、前園巧と宮部希衣が一家を取り調べる。りんは海水浴に行った絵を描き、宮部は「何人で行ったの?お祖母ちゃんはいた?」と尋ねる。

 祥太は病院のベッドで、前園にどこで暮らしていたか質問され、「車の中で。一人で」と答える。宮部は「彼らは夜逃げするところだった。本当の家族だったらしない」と話す。

 前園と宮部は亜紀に、治の本名は榎勝太、信代の本名は田辺由布子で、夫婦でないと教えられる。そして、治は信代の前の夫を刺して殺して埋めている、と教える。

信代は、治が信代の夫を殺したのは正当防衛だと話す。

 治は、じゅりは「誘拐でない。腹を空かせているのを見かねて、信代が連れて来た。保護している」と言う。前園は「そういうのを誘拐と言うんです」と言う。

 じゅりの両親はアパートの前で報道陣に、質問される。

 亜紀は初枝と暮らした動機を聞かれ、初枝から誘われたと話す。宮部に「それは優しさじゃない。夫を奪った家族から金をもらっていた」と聞かされ、亜紀はショックを受ける。宮部は「お祖母ちゃんはいまどこにいるのかな?」と聞く。

 家の前では、報道陣が「床下から初枝の死体が発見された現場です。家族に成りすましていた人たちが、何のために集まっていたのか、謎に包まれたままです」と報じていた。

 信代は「一人で掘って、一人で埋めた」と言う。宮部が「死体遺棄は重い罪です」と言うと、信代は「捨てたんじゃない。誰かが捨てたものを拾ったのです。捨てた人は他にいるんじゃないですか」と答える。

 前園に「子供に万引きを教えたのは、後ろめたくなかったか?」と聞かれた治は「他に教えられることが何もないからです」と答える。「男の子に、何で本名のしょうたとつけたのか?」と尋ねられると、治は口ごもる。

 前園は祥太に「施設に行って6人の子供たちと暮らす。そこから学校に通う」と教える。祥太はりんの事を尋ねると、「本当の家族に戻った」と教える。祥太は、本当の家族の事は何も覚えていないと話す。

 じゅりは家で、ビー玉を光にかざして遊ぶ。母親の顔に傷があり、じゅりが触ると母親が「あっちにいってて」と言い、「ごめんなさいは?」と聞く。じゅりが答えないと、母親は「服を買ってあげるからここに来なさい」と言う。じゅりは要らないと言う。

 宮部は信代に、じゅりが戻りたいと言っていた事を教える。宮部が「子供には母親が必要だ」と言うと、信代は「母親がそう思っているだけだ」と答える。宮部は「子供二人は、あなたの事を何と呼んでました?」と尋ねると、信代は涙を拭き「何だろうね」と答える。

 亜紀は空き家になった信代の家に帰る。戸を開いて中を眺める。

 治と祥太は、海岸で釣りをする。

 2人は信代に面会する。治が、罪を被ってくれたことを謝ると、信代は「前の事があったから、お返しだ」と答える。祥太は「僕が掴まったからだ。ごめんなさい」と謝る。信代は「祥太を拾ったのは、松戸のパチンコ屋。車は赤色のビッツ。習志野ナンバー。その気になったら、本当の親を探せる」と教える。信代はそれを言うために、治に祥太を連れて来るように言ったのだった。信代は「うちらではだめなんだよ。この子には」と治に話す。

 治と祥太は、治のアパートで夕食にカップラーメンを食べる。祥太は施設に帰らず、泊まって行くと言う。雪が積もり、二人で雪だるまを作る。一緒の布団に寝ながら、祥太は「僕を置いて、逃げようとしたの?」と治に尋ねる。治はそうだと言い「父ちゃんじゃなく、叔父さんに戻る」と言う。

 次の朝、祥太が施設行きのバスに乗る。走るバスを、治が祥太の名を呼びながら追いかける。祥太はしばらくしてから後ろを振り返り「父ちゃん」と呟く。

 じゅりはアパートの通路で、初枝に教えてもらった数え歌を歌いながら、ビー玉で遊んでいた。荷物に登って通路の壁の上から外を見ると、何か見気付いて微笑む。

(エンドクレジット)

(写真は「Yahoo!映画」「IMDb」より)