『万引き家族』ネタバレの感想 家族の愛情とは何か考えさせられた(再掲) | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 2022年6月11日に「土曜プレミアム」で『万引き家族』が放映されるので、参考のために公開当時2018年6額に掲載した「ネタバレの感想」をさう掲載する。
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 評価 4/5 ☆☆☆☆★
 まず、血縁関係のある家族は本当に幸せか、と考えさせられた。本名北条じゅり(本人によればゆり)は両親から虐待を受け、体中に傷や火傷の跡がある。初枝が「服を買ってあげる」と言うとじゅりは「ぶたない?」と聞き返す。家で母親に叩かれていたのだろう、実に不憫である。
 刑事は「本物の家族と暮らすのが幸せだ」と言っているが、本当だろうか。寒空の中、ベランダに出されていたじゅりを可哀そうに思って連れ帰った治の方が、よっぽど優しいと思った。最初は「返してきなさい」と言っていた妻の信代も、その後母親の虐待を知り、じゅりに「好きだから叩くと言うのは嘘だ。」と言って抱きしめる場面は、信代がじゅりを本当の娘のように愛情を注いでおり、涙が出てきた。
 終盤になって、治と信代は夫婦ではないことが分かる。治は信代の元夫を殺して埋めたらしい。治は、初枝婆ちゃんの子供ではなかった。息子の祥太も、どこかの車の中から二人が拾って来たらしい。亜紀は、初枝の別れた夫の孫で、家に居づらくなって祖母のところに来たらしいが、血縁関係はない。結局、「柴田家」の誰一人血縁関係はなかった。血縁関係はなくても「家族の絆」はあって、愛情で結びついているように思える。貧しいからと言って万引きを肯定するわけではないが、ぎりぎりの生活を通して、万引きと言う副業で「家族」が深く結びついていたように感じる。
 亜紀が勤める風俗店の常連客「4番さん」は、障害なのか口がきけず、亜紀の膝枕の上で愛情を感じて泣いていた。亜紀は自分の身の上と重ねたのか、「4番さん」を強く抱きしめる場面も感動した。
 祥太がスーパーの店員に捕まった事によって、一家のウソが次々とばれて行くが、じゅりがスーパーで万引きして店員に見つかるのを防ぐため、祥太がわざと捕まったのだ。祥太がじゅりを妹と認めた愛情が一家をバラバラにした原因だとは、また悲しい。雑貨屋の店主は、祥太が店で万引きを繰り返していたのを知っており、祥太にお菓子を渡して「妹に万引きさせるんじゃないぞ」と忠告したのに、残念である。
 治は祥太に「お父さん」と呼んでほしかったらしい。祥太が施設に帰るバスを治が追いかけ、しばらくして振り返った祥太は、きっと心の中で「お父さん」と呼んだのに違いない。
 親の元に返されたじゅりは、再び虐待を受け、ベランダに出される。最後に、ベランダの外を見たじゅりは何かに気付いて微笑む。何を見たのか明かされないまま映画は終わったが、「家族」の誰かが迎えに来たのだろうか。いや、きっと迎えに来たと思いたい。せめて明るい終わり方になったと思おう。
 深いく暗い内容だったが、愛情や家族について考えさせられた。評価は「4」である。