『THE BATMAN ザ・バットマン』ネタバレの感想 バットマンとリドラーは紙一重? | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

評価 4/5 ☆☆☆☆★

バットマンが好きで、映画は全部見ているので「フォーラム山形」で字幕版を見た。予告編で「『ジョーカー』の衝撃は序章に過ぎなかった」と大々的に宣伝していたので、てっきり『ジョーカー』(2019年)の続編かと思ったら、全く別の映画だった。

 今回の悪役のリドラーは『バットマン・フォーエヴァー』(1995年)にも登場していたが、ジム・キャリーが演じて、ふざけたイメージだった。今回は冷酷な殺人犯で良かった。もう一人の悪役はペンギンだが、『バットマン リターンズ』(1992年)のペンギンは、ロケット弾で武装したペンギンを使ってバットマンを殺そうとする、かなり危険な人物だった。今回のペンギンはナイトクラブの経営者で、貫禄不足である。キャットウーマンが登場するが、こちらも『バットマン リターンズ』と『ダークナイトライジング』(2012年)にも登場した。今回も魅力的なキャラクターだった。このようにバットマン・シリーズで有名なキャラクターが登場するのも、楽しみの1つである。

 今回、リドラーは、腐敗した市長や警察の悪事を暴いて殺害する。バットマンは、リドラーが残した暗号クイズを解く事によって、この腐敗した政治を暴いていく。

 バットマンは両親が殺された「復讐」のために、悪人を退治して犯罪を減らそうとしている。リドラーは政治家や警察の悪事を暴き、悪人を殺す。バットマンが行っている「正義」と、リドラーが行っている「悪事」は紙一重。バットマンは、リドラーと同類とも言えるのが怖い。

 またブルースの父トーマスが遺した、孤児院建設のための10億ドルが孤児のためには使われず、腐敗した金持ちの間で分配され、現在の悪人が私腹を肥やしていた。さらに、古い孤児院で劣悪な環境で孤児として育ったエドワード・ナッシュトが、リドラーになった事も分かる。トーマスが腐敗政治の元になっていた事や、リドラーを誕生させる原因になってと言うのは怖い。

 このように、全体を通して重厚なテーマで物語が進む。雨が降り続く場面も、陰鬱なイメージを醸し出すのに貢献している。バットマンとセリーナの恋も良かった。

 しかし、リドラーがバットマンと面会するためにわざと捕まった、というのがよく分からない。あっさり捕まったので、偽物かと思った。その後の作戦遂行を、SNSでリドラーに影響を受けた若者たちが、堤防を爆破して市民を殺すと言うのもよく分からない。

 しかも3時間と言う長い上映時間で、スカッとするようなアクションもほとんどなく、単調な場面が続くのが難点である。

 さて、最後にリドラーが捕まって精神病院に入れられるが、リドラーに話しかける人物はジョーカーらしい。3部作になるそうなので、次回はジョーカーの登場か?だが、声の主はバリー・コーガンなので、ホアキン・フェニックスのジョーカーでないのが残念。評価は「4」である。

 原題は『THE BATMAN』。