『キングスマン:ファースト・エージェント』ネタバレの感想スパイ映画でなく実在の悪人の架空戦争映画 | アンパンマン先生の映画講座

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映画の面白さやストーリーの素晴らしさを伝えるため、感想はネタバレで、あらすじは映画を見ながらメモを取って、できるだけ正確に詳しく書いているつもりです。たまに趣味のAKB48のコンサートや握手会なども載せます。どうかご覧ください。

 評価 3/5 ☆☆☆★★

 前2作作の『キングスマン』(2014年)も『キングスマン:ゴールデン・サークル』(2017年)も面白かったので「フォーラム山形」で字幕版を見た。前2作の前日譚で「キングスマン」の誕生の話と聞き、楽しみにしていたが、2020年9月25日の日本公開予定が2021年12月24日公開と、コロナ禍で1年3か月も延期されたのが残念である。

 まず、歴史上の有名人物が登場するのが面白い。英国王ジョージ5世とドイツ皇帝ヴィルヘルム2世とロシア皇帝ニコライ2世の3人が従兄弟だとは知らなかった。従兄弟同士で戦争していたとは、愚かだと思った。「闇の狂団」のプリンツィプがフェルディナント大公を暗殺するのは、歴史の教科書に出て来る第1次世界大戦の原因になった「サラエボ事件」ではないか!オックスフォード父子以外は、ほぼ史実通りらしく感心した。ラスプーチンがニコライ2世に影響力を持っていたのも、史実に近いらしく、怪演ぶりが見事。マタ・ハリが米国大統領を誘惑する話はあり得ないが、米国が参戦を渋っていた本当の理由だったら、と思うと面白い。

 この悪人逹を手玉に取る「闇の狂団」のボス「羊飼い」とは、どんな凄い悪人かと思ったら、モートンとは肩透かしだった。キッチナーは実在の人物だそうだが、この人は実在の人物なの?悪人逹が恐れるほどの迫力が感じられないので、もっと最狂の人物にすればよかったのに。例えば、最後に登場するヒトラーとか。でも途中で死ぬから駄目か?

 さて、オーランドが、世界中の使用人のネットワークを作って情報を手に入れる、と言う発想が面白い。オーランドが息子コンラッドにその組織を教え、父に飛行機の操縦を教えられ、ショーラに格闘技を叩きこまれていたので、彼がてっきりキングスマンの「ファースト・エージェント」になって、後半は彼が活躍するのかと思ったら、途中で死んでしまうので意外だった。

 オーランドが息子の死を基に、世界の平和のために、政治に影響されない、独自の諜報組織を作ると言う思想には賛同する。

 結局、キングスマンが設立して終わりで「ファースト・エージェント」は登場せず、題名に騙された気がした。原題を見たら『The King’sman』だけで「ファースト・エージェント」は無かった。やはり邦題に騙された。

 前2作のようなスパイ兵器は登場せず、残酷な場面はなく、色っぽい場面も無く、監督が変わったのかと思ったほど作品の風潮が違う。印象に残ったアクションと言えば、ラスプーチンのダンスのような剣術や、オーランド対モートンの剣術くらい。スパイ映画ではなく、第1次世界大戦の裏話の戦争映画だった。1・2作目より面白味に欠けるので、評価は「3」である。

 続編が作られるとしたら、ヒトラーが登場するのだろうか?2作目の続きなのだろうか?次回作こそ期待したい。