アナ・ポリアトヴァ(サッシャ・ルス)KBGのスパイ。
オルガ(ヘレン・ミレン)KBGのアナの上司
アレクセイ・チェンコフ(ルーク・エヴァンス)KGBエージェント。
ワシリエフ(エリック・ゴードン)KGB長官。
レナード・ミラー(キリアン・マーフィー)CIAのアナの上司。
モード(レラ・アボヴァ)アナのモデル仲間。
ぺーチャ(アレクサンドル・ペトロフ)アナの恋人。
サミー(ジャン=バティスト・ピュシュ)モデルのスカウトマン。
オレグ(アンドリュー・ハワード)武器商人。
モスクワ、1985年。CIA女性工作員が「身元がばれた」と電話を受ける。
電話した男性、買い物中の女性、研究員、通訳、米国人女性旅行客を装ったCIA工作員も次々にKGBに連行される。大使館前で女性工作員が開門を待っていると、車が突っ込んでくる。CIAに9個の小包が届き、レナードが開けると、工作員の首が入っていて驚く。
(タイトル『ANNA』)
モスクワ、1990年。モデルのスカウトマンのサミーが、市場に美人がいると情報を受けて向かう。市場でマトリョーシカを売る女性に気づく。彼女は生物学科の大学生で、名前はアナ。サミーはアナに、モデルになってパリに来ないか誘う。
アナがパリのモデル事務所に着くと、サミーと社長のジョンも歓迎する。マネージャーが寮を案内する。モデル仲間のモードが力になると言う。
次の日、アナは初めての撮影で、様々な服を着て、ポーズを決め、深夜までかかり疲れて帰る。自分の部屋ではモデルが男を連れ込んでセックスしていたので、モードの部屋に泊まる。
事務所のパーティが開かれ、社長のジョンはアナに共同経営者のオレグを紹介する。オレグはアナを気にいる。2ヶ月後、パリのホテルで、オレグがアナを口説く。アナはオレグの本業を聞くと、武器商人だった。アナは洗面所からサイレンサー付きの拳銃を取り出し、オレグを銃殺する。
3年前。アナはモスクワでペーチャと暮らしていた。孤児のアンは彼に拾われ、暴力や性的虐待に苦しめられていた。アナはこの生活から抜け出そうとネットから海軍に応募する。
アンが買い物帰りに歩いていると、盗難車に乗ったペーチャとその友達に車に乗せられる。ペーチャ逹は、誘拐した米国人のカードで、ATMから金を盗む。パトカーが来て、仲間が射殺される。ペーチャとアン逹は車に乗り、猛スピードで逃走するが、車は横転する。
2人は家に帰り、アナは呆然と椅子に座る。ドアの裏にKGBのアレクセイが隠れていて、ペーチャを射殺する。アレクセイはアナが海軍へ応募したのを見て、KGBのスパイにスカウトする。アナは裕福な軍人の家に生まれ、チェスが得意で、頭が良い学生だが、両親が交通事故死し、どん底に落ちていた。アレクセイは、このクソみたいな生活を続けるか、新しい人生を歩むか、すぐに選べと言う。
アナは、どこに行っても結局一生飼い殺しされると、ナイフで手首を切る。アレクセイは5年で自由にすると説得する。アナは、KGBのスパイになることを決意する。
3年後、アナはCIAの取調室で、レナード捜査官からオレグ殺しの尋問を受ける。アナがホテルに出入りする場面をCIAが撮影していた。ホテル内の監視カメラの映像は消去されていた。アナはロビーで待っていたが、オレグが来なかったと証言する。
64日前、訓練を受けたアナは、KGBの正式のスパイになるため、アレクセイの上司オルガに会う。アレクセイは、アナは家柄が良く、チェスが得意で頭が良く、格闘技や射撃に優れ、訓練の成績も優秀だと報告する。オルガは断わるが、アナの知性と記憶力に驚き、試しに預かると言う。
アナはボスをフォークで突き刺して殺す。アナが携帯電話を持って外に出ると、時間切れでアレクセイの車は出た後だった。
KGBのオルガの部屋にアナが来て、男の携帯電話を机に投げる。アナは銃に弾が入っていないことを抗議するが、オルガは道具を点検しないのが悪いと言う。アナは二度とヘマをしないと誓う。
オルガはアナにアパートの部屋を与える。アナが部屋で資料を読んでいると、アレクセイから電話が来てディナーに誘う。アナは資料読みが忙しいので、またの機会にと断る。
モデルを出さしているサミーに、友人がイズマイロフスキー市場に行くと良いと教える。KGBの諜報員がサミーを見つけ、オルガは諜報員にアナの所へ誘導するように指示する。サミーはアナを見つけ、スカウトする。
アナがパリに来ると、KGBの諜報員がモデル事務所を監視する。アナは公衆電話でオルガに状況を報告する。オルガは、標的が来月パリに来ると教える。パーティの様子をKGB諜報員とオルガが隠しカメラで監視する。オレグがアナを気にいる。アナがホテルの部屋でオレグを射殺し、鞄から書類と携帯電話を奪い、護衛も射殺する。アナはサングラスを掛け、廊下でアナの替え玉の女性に入れ替わる。
アナは部屋で黒髪の女性に変装し、警備室の警備員を射殺して、監視カメラの映像を消す。
アナは黒髪の女性としてホテルを出て、替え玉がアナの振りをしてホテルを出る。アナはレナードの尋問を切り抜ける。
アナは公衆電話からオルガに、CIAはホテルの出入りをカメラで監視していたが、アナの説明を信じたと報告する。オルガは、CIAは疑っていると言い、日曜日にモスクワに戻るように伝える。
アナはモスクワのアパートに戻る。アレクセイがアナの部屋に来て、2人は激しくセックスする。
アナはオルガとアレクセイと一緒に、KGB長官のワシリエフに紹介される。アナは約束の5年後に自由にするように願うが、ワシリエフは一生KGBで働くのだと言い、アナに拳銃を向けKGBを辞める方法は1つだけだと脅す。ワシリエフはチェスをするように求めるが、アナはまたの機会にと断る。
アナはパリに帰り、モードが金をためて購入した家に行く。モードはアナを歓迎するが、アナは散歩に行く。アナは盗んだ携帯電話でアレクセイへ電話し、「私が自由になる道があったら、手伝ってくれる?」と頼む。アレクセイは「最善を尽くす」と答える。モードの家に帰ったアナが悩んでいると、モードが慰める。
ミラノ。アナと2人のモデルが撮影しているが、5時になっても撮影が終わらない。苛立ったアナはカメラでカメラマンを殴って馬乗りになり、カメラマンの顔を撮影する。
アナは急いでKGBの車に乗る。今回の標的はポーランド大使館のドイツ外交官のヴェルテンベルグ。彼の唯一の弱点は女だ。アナはオルガが待つホテルの部屋で黒髪のカツラを被り、娼婦に変装する。オルガは、鞄と鍵と書類と指紋を奪うように指示する。 アナは男の部屋に行き、バスルームからサイレンサー付き拳銃を取り出すと、護衛と男を撃つ。
部屋を出たアナは廊下で一息ついて、オルガの部屋に戻る。オルガはなぜ12分も掛ったか尋ねると、アナは抵抗されたと答える。アナは鞄を出すが、オルガが人差し指はどこだと尋ねる。指紋とは人差し指だった。アナは男の人差し指と、落とした腕時計を取りに部屋に戻る。
アナはオルガに男の人差指を持って来て、疲れたので家で休みたいと言い、涙を流す。オルガは1週間の休暇を与え、モードと旅行に行くように勧める。
アナとモードはホテルのプールサイドで日光浴をする。男が2人に声をかけ、モードが追い返す。
休暇が終わったアナは、鉄橋下のオルガが待つ車に乗る。アナはオルガに土産の絵葉書を渡す。オルガは仕事に戻れと言う。
3人の男を射殺し、金庫からフロッピーディスクを奪う。列車の車掌と軍人2人を射殺。
アナはエッフェル塔の前を歩き、
車で待つオルガにデータを渡す。オルガはアナを褒め、長官が会いたがっているので、来週モスクワに戻るように言う。
KGBの物置で、アナとアレクセイが激しくセックスする。アレクセイが先に廊下に出て、その後アナも出て、一緒に長官の部屋に向かう。
長官室でワシリエフとアナがチェスをし、脇でアレクセイが見ている。ワシリエフはアナに勲章を与えると言う。ワシリエフが王手をかけると、アナは詰みだと言い、ワシリエフを銃で射殺する。
半年前、娼婦姿のアナが、ヴェルテンベルグと護衛を銃で撃つが、空砲だった。アナはCIA隊員に捕まり、手錠を掛けられ、腕時計が落ちる。レナードが、KGBを裏切ってCIAのために働くか、怪しまれないように5分以内で選択するように迫る。レナードは3年で自由を与えると言う。アナは1年で自由になり、ハワイに住みたいと提案する。レナードは了承し、手錠を外す。アナが何故ばれたか尋ねると、レナードは、鞄の持ち方が違ったと教える。
部屋から出たアナは、廊下の壁にもたれて呼吸を整える。オルガがなぜ12分も掛ったか尋ね、アナは抵抗されたと答える。オルガは人差し指はと尋ねる。アナはレナード達がいる部屋に戻り、あの男の人差し指がいると言う。レナードはCIA隊員にヴェルテンベルグを押さえつけさせ、アナが指を切り落とす。指を見たオルガは満足する。アナは家で休みたいと言い、涙を流す。
アナとモードはプールサイドで日光浴をし、モードは先に部屋に帰る。アナは離れた部屋に行くと、レナードがいた。レナードはアナをクローゼットに入れ、様子を見に来たと言う。レナードは、ディナーの約束をしても実行できない。米国は君を守り抜くと言う。
外でアナとモードが食事をすると、離れた席でレナードが見ている。アナにモスクワのオルガから電話が来て、アナの様子を監視していると言う。
夜、モードが寝ると、アナは部屋を抜け出してレナードの部屋に行く。アナは「ディナーできないので代わりに寝て」と言って、服を脱いでレナードのベッドに入る。
アナが車に入り、オルガが休暇を楽しんだか尋ねる。
アナはホテルの部屋でレナードに会い、2人は激しくセックスする。部屋をCIAが監視していた。レナードはアナに、「CIAとKGBは互いに尊重してきたが、ワシリエフ長官になって関係が悪化した。5年前に9人の部下を失ったが、ワシリエフの指示だった。3年掛けて計画した作戦でワシリエフを暗殺し、秩序を取り戻す。成功すればアナはすぐハワイに行ける。」と話す。レナードもアナを脱出させるために、モスクワに行くと言う。レナードは鞄を持って出かける。
KGBの物置からアレクセイが出ると、アナは物置の隅から銃を取り出す。アレクセイとアナは一緒に長官の部屋に行く。ワシリエフとアナがチェスをする。アナは「詰み」と言って、拳銃でワシリエフを射殺する。アナは驚くアレクセイに銃を向けて伏せさせ、アレクセイの首に注射して眠らせる。
アナはワシリエフのパソコンにメモリを差し、データをコピーする。アナはアレクセイとワシリエフの銃を奪うと、部屋を出る。
KGB玄関前でレナードが車の中で、アナが出てくるのを今か今かと待つ。KGB警備員がレナードの車に駐車違反なので退くように言うが、外交官車だと言って粘る。
アナは軍人を避けて廊下を歩く。アレクセイが目を覚まし、麻痺した体を動かして、机の下の非常ボタンを押す。隣の部屋のワシリエフの秘書が非常ランプに気付き、ワシリエフが殺害されたのを知る。館内に非常ベルが鳴り響き、軍人がアナを探す。
アナは廊下で軍人を射殺しながら進み、資料室の軍人を射殺しながら階段を飛び降りる。地下通路を進むと多数の軍人に襲われるが、格闘しながら手持ちの銃や相手の武器を奪って倒し、出口に向かう。
閉まりかけたシャッターにボンベを挟み、軍人達と格闘しながら、シャッターの下をすり抜け、シャッターを閉める。
KGBの建物にサイレンが鳴り響き、KGB警備員に命令されてレナードはやむなく車を出す。レナードはアナを心配する。
家にいたモードに、CIAの部隊が入って来て銃を向ける。レナードはモードにアナの居場所を聞くが、モードは何も知らない。レナードは「アナから接触があったら連絡してくれ」と去る。
ニューヨーク。レナードをCIA職員が、ワシリエフ殺害作戦は完璧だったと褒めたたえる。KBGでは、長官を誰にするか思案中だと言う。レナードはアナの安否を心配する。レナードのポケベルに「月曜午後2時、パリ、モンソー公園、スナック・バー、アナ」と連絡が来る。レナードはアナが生きていたと喜ぶ。
レナードは公園に行く。CIA職員が公園のあちこちで見張り、ワゴン車の中から監視カメラの映像で警戒する。レナードが指定された店のテーブルに座ると、隣のテーブルにアレクセイが座っていた。アレクセイに、やはり公園を監視しているKGBのオルガが、CIAのレナードだと教える。異様な緊張がはしり、レナードはこの場から離れたいと連絡する。CIAの部隊が、レナードを救出に公園に入ろうとする。公園にアナが現れ、レナードは部隊を止める。
アナはアレクセイにキスし、レナードのテーブルに連れてくる。アナはレナードにもキスする。アナは2人にお別れに来たと言う。アナは、本当の自分が何なのか分からなくなったと言う。アナはアレクセイに、ワシリエフのパソコンのデータをコピーしたUSBメモリを渡す。レナードには、レナードと寝たときに鞄からコピーしたハードディスクを渡す。アナは「このデータを返すから、私を自由にして」と2人に言う。アレクセイは「半年経ったら使い物にならない。君の安全も保証できない」と言う。アナは「今まで自由が無かった。半年は永遠も同じ」と答える。アナはアレクセイに「私が自由になる道があったら、手伝ってくれると約束した」と言うと、アレクセイは「違う、最善を尽くすと言った」と答える。
レナードとアレクセイはデータを手に取り、アナを解放する。アナは「家族はこの2人だけ」と言って立ち去る。
オルガは監視所を出てアナを追いかけ、アナに銃弾を浴びせる。
銃声が響き、アレクセイとレナードはお互いに銃を向ける。レナードは「彼女を助けたい」と言うが、アレクセイは聞かない。
2人の周りに、待機していたKGB職員とCIA職員が集まる。一触即発の中、CIA部隊がレナードを連れていく。
アナはエッフェル塔の前を歩き、車で待つオルガにデータを渡す。オルガは運転手を車から出すと、アナにCIAと接触しただろうと言う。ヴェルテンベルグを撃って部屋に戻った時、腕に手錠の跡があり、その時腕時計を落としたと言う。ここだけの秘密にするので、計画をすべて話すように命令する。
アナはオルガに、レナードから聞いたワシリエフ長官の暗殺計画を話す。オルガは、作戦を実行したらアナに自由を与えると約束する。
アナはワシリエフ長官を射殺する。データをコピーし、脱出する。外に出たアナは、オルガの車で脱出する。
死んだはずのアナは茂みに隠れ、アナそっくりの死体と入れ替わる。レナードはワゴン車に戻って監視カメラから、アレクセイは監視所から双眼鏡で、警官がアナの死体を運ぶのを見る。アナは下水道で服を着替え、カツラを取ってスキンヘッドになると、川辺を歩く。
オルガがKGB長官の椅子に座る。
パソコンでアナの情報を見ると、アナからメッセージがあった。オルガがアナに、ワシリエフ長官を殺すように命じたとき、アナは保険のため隠し撮りしていた。アナは自由になるため、自分の情報を消すように求める。オルガは満足そうに「ビッチめ」と呟き、アナの情報を削除する。
(エンドクレジット)
(写真は「IMDb」より)