【 “平” 衛兵・ジェームス(仮名)の場合】
やれやれ。
今日も一日、無事に終わった。
花火か?と思っていたら実験失敗の爆発だった、などはもう日常茶飯事で住人も慣れっこだ。
研究するなかで、便利な魔術を発見することもあるだろう。
(なにしろ、世界が “緑” になる魔術だもんなぁ・・・)
しかしだ。
「衛兵さんに協力してほしい実験があると言われて・・・」
なんだろう。
身に覚えがありすぎるこの感じ。
「協力したら私が燃えた!!」
あー・・・。
「なんなのだ!!アイツは爆弾マニアなのか!!しかも!!」
その後の展開が分かっちゃったかも。
「私が緑になってしまったぞ!!」
なんてこった!!衛兵さんも実験台に・・・。
「しかも、そのあと馬やら犬やら・・・何がしたかったのだ・・・」
う~ん・・・俺にもよく・・・。
「まあ、実験協力の対象が私たち衛兵だからいいのだが、その事があってフローズン・ハースで同僚に愚痴っていたら」
はあ、愚痴っていたら?
「同僚には実験台仲間だから同情してもらえたが、その場にいた客に大爆笑されてしまったぞ!!」
笑いを提供できたんだから、いいじゃないですかー。
「全然よくないぞ!!衛兵の威厳がガタ落ちだ・・・(涙)。お前、アークメイジだろう。なんとかしてくれ!!」
「ジェイ・ザルゴは爆弾マニアではないよ」
(ぜってー嘘だ)
「でもおかしいな。そんなに燃えるような呪文の組み合わせはしてないはずだけどな」
そうなんですか?
「うん。過去の実験失敗のデータを元に呪文を組み直したから、そんなにすごい爆発じゃなかったはず・・・そういえば、報告に来たときの衛兵さん、鎧と兜から煙が出てたな」
「う~ん、何がいけなかったんだろう」
「もしくはニャン吉に・・・」
やりません。
「なぜ嫌がるんだ。仕方ないな、また衛兵さんに頼もう」
俺には・・・俺には二人の暴走を止められない!!
貴方の犠牲は決して忘れない・・・。
「ギャァァァァァァッ!!」
「あれ?おかしいぞ。ジェイ・ザルゴの計算では、髪の毛だけ燃えるのではなくて、あくまで炎のマント・・・」
「どうしてくれるのだ!!私の髪の毛がアフロではないか!!」
「それはとてもいいヘアスタイル・・・」
「ちっともよくないぞ!!私の毛髪量でなぜこんなにデカいアフロになるのだ。まさかの巨大アフロに兜が脱げて何処かへ飛んでいった!!」
「タムリエル中の頭髪にお悩みの男性諸君に需要が・・・」
「あるわけないだろう!!」
衛兵さん・・・貴方達は住人と大学のために、体と頭髪を張っているのですね(涙)。
フッ、今日は俺が一杯付き合いますよ・・・。
※次は何の実験を手伝わされるのか。
衛兵さん達は知らなかった。
住人が密かに賭けをして楽しんでいることを。
ちなみに、今回はフローズン・ハースの一室を研究施設として私物化している、魔術師のネラカーの一人勝ちだった。