日本の護符文化/著者不明
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『日本の護符文化』
記述の分量は多いですが一部の論文を除いては、あまり魅力がない。そんな印象ですね。
護符の分類の説明がされている箇所もある。
宗教学の分類では、災難を除ける保護的・予防的なものをamulet、幸いをもたらす招福的なものをtalismanとして区別するが、両者の区別は明瞭でないことが多く(23ページ)
という説明がされてある。基本的な説明であるから特に感想は書けないですね。
H・バイロン・エアハートの論文はそれなりに魅力があり、面白かった。
エアハートは守り札を神仏をミニチュア化したものと捉えているようだ。それから日本の家屋は聖なる属性を帯びた場所。という観察もしていたと思う。
家屋が聖性を帯びている場所という、文化的な感覚は日本に独自の感覚ではないですが、現代に生きている感覚として、家屋に聖性を持たせているのは日本人ぐらいなのかもしれない。
家が聖なる属性を帯びているが故の利点や弊害、というのも多くあるのでしょうね。その問題は研究すれば面白いだろう。日本人はプライベートとパブリックという概念を理解しないというのか、リアリティを感じていない。家が聖性を帯びているのもその問題と関連しているのかもしれない。
日本の家屋は神や仏の居所である。(72ページ)
と観察している。
エアハートの論文とは別の論文の話題に移りますが、キリスト教やイスラームの聖地巡礼は往復運動、になるのに対して、複数の聖地を持つインドや日本では聖地めぐりは円運動を描くように行われるという観察もある。
『日本の護符文化』ではウケモチの神を養蚕を象徴する女神と解釈していますが、その解釈には正当性があるのだろうか、疑問に思いました。ウケモチの性別はよくわからないとしておくのが妥当だと思いますが。どうなんだろう。
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