【あらすじ:以下HPより引用】
岡田トオルは妻のクミコとともに平穏な日々を過ごしていたが、猫の失踪や謎の女からの電話をきっかけに、奇妙な出来事に巻き込まれ、思いもよらない戦いの当事者となっていく――。
トオルは、姿を消した猫を探しにいった近所の空き地で、女子高生の笠原メイと出会う。トオルを“ねじまき鳥さん”と呼ぶ少女と主人公の間には不思議な絆が生まれていく。
そんな最中、トオルの妻のクミコが忽然と姿を消してしまう。クミコの兄・綿谷ノボルから連絡があり、クミコと離婚するよう一方的に告げられる。クミコに戻る意思はないと。
だが自らを“水の霊媒師”と称する加納マルタ、その妹クレタとの出会いによって、クミコ失踪の影にはノボルが関わっているという疑念は確信に変わる。そしてトオルは、もっと大きな何かに巻き込まれていることにも気づきはじめる。
何かに導かれるようにトオルは隣家の枯れた井戸にもぐり、クミコの意識に手をのばそうとする。クミコを取り戻す戦いは、いつしか、時代や場所を超越して、“悪”と対峙してきた“ねじまき鳥”たちの戦いとシンクロする。
暴力とエロスの予感が世界をつつみ、探索の年代記が始まる。“ねじまき鳥”はねじを巻き、世界のゆがみを正すことができるのか? トオルはクミコをとり戻すことができるのか―――。
【感想】
村上春樹の長編第8作。
読み出すと面白くて、最後まで出来るだけ早く読み終りたくなるが、読後感はすっきりしないのが同氏の作品の特徴のひとつ。この作品も例外ではない。
「羊をめくる冒険」()でも、十五年戦争とその背後にある悪の存在が描かれていたが、
今回は十五年戦争中のノモンハン事件(満洲国対モンゴルの戦争、事実上は日本対ソ連)が大きなテーマとなり、近代から現代まで日本🇯🇵に巣食う巨悪、絶対悪との闘いが主人公を突き動かしていく。
村上文学は、本作より大きくグレードアップした感じがする。
著者:村上春樹
題名:ねじまき鳥クロニクル
単行本発行日:1994年4月12日(第1•2部)、1995年8月25日(第3部)
文庫本発行日:1997年9月30日
発行元:講談社(講談社文庫)
読了日:2021年6月26日
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