マサチューセッツ工科大学(MIT)数学科教授のジェラルド・ランボー(ステラン・スカルスガルド)は、学生たちに代数的グラフ理論の超難問を出す。
優秀な学生たちが正解出来ず四苦八苦する中、いとも簡単に正解を出す者が現れた。その人物は学生ではなく、MITでパートの清掃員として働く孤児で、幼い頃に義父に虐待され心に深い傷を負った青年ウィル・ハンティング(マット・デイモン)であった。
ランボーはウィルの数学に対する天才的才能を見抜き、それを開花させようとするが、ウィルは喧嘩をしては鑑別所入りを繰り返す素行の悪い青年だった。
そんなウィルの心の拠り所は親友のチャッキー(ベン・アフレック)と、その不良仲間のモーガン(ケイシー・アフレック)、ビリー(コール・ハウザー)。彼らはハーバード大学の学生の溜まり場のバーに行っては、同大学の学生をからかったり、ウィルの天才的頭脳でやり込めたりして、貧しい境遇の憂さを晴らしていた。
ランボーはウィルを更正させるために、様々な心理学者にウィルを診てもらうが、皆ウィルに良い様にあしらわれる。ランボーは最後の手段として、学生時代の同級生で大学の心理学講師のショーン・マグワイア(ロビン・ウィリアムズ)にウィルのカウンセリングを依頼する。
しかし、ショーンは最愛の妻に病気で先立たれたことから孤独に苛まれていた。事情を知らないウィルは当初ショーンをからかっていたが、やがて互いに深い心の傷を負っていることを知り、次第に打ち解け、カウンセラーと受診者という関係を越えて、互いの尊敬と友情と信頼を育んでいく。
さらに、ハーバード生の溜まり場で知り合った同大生のスカイラー(ミニー・ドライヴァー)との恋愛を通じて、ウィルは自分の将来を真剣に考える人間へと徐々に成長していく。
この映画はまだ無名の若き日のマット・デイモンがオリジナル脚本を書き、友人のベン・アフレックが途中から協力したということを、自称映画ファンながら、恥ずかしながら全く知らなかった。
しかし、当時27歳のマット・デイモンや25歳のベン・アフレックが脚本を書いたとは信じられない程、見事なまでの傑作である。
先ずは、主人公のウィル(マット・デイモン)の青春成長物語として素晴らしい。マット・デイモンも初々しくてとても良い。
次にウィルとチャッキー(ベン・アフレック)の友情物語として素晴らしい。ウィルの才能を慮って、敢えてボストンからもっと広い世界に送り出そうとするチャッキーの男気。
ウィルとショーン(ロビン・ウィリアムズ)の師弟と年齢差を越えた友情とお互いのリスペクトの物語として素晴らしい。ウィルは最初はショーンを小馬鹿にしているが、やがてショーンの誠実な人柄、亡くなった妻を未だに愛している優しい心に触れ、やがてショーンを尊敬し、何でも打ち明ける様になっていく。
ピーター・ウィアー監督の「
いまを生きる」(1990)でもそう感じたが、ロビン・ウィリアムズは本当に素晴らしい俳優だ。2014年、63歳の若さで自殺してしまったことが悔やまれてならない。
最後に、ウィルとスカイラー(ミニー・ドライヴァー)のラヴストーリーとしても素晴らしい。決して美人ではないが、包容力のあるスカイラーを愛する様になったウィルの映画の最後での決断が男らしい。
また、メイン ストリームではないが、ショーンとランボー(ステラン・スカルスガルド)の友情(の復活?)もある。
その、マット・デイモンも今やジェイソン・ボーンであり、ベン・アフレックはバットマンであり、2人共ハリウッドを代表する大スターに成長した訳だが、そろそろ1回原点に立ち返って、2人でまたこの「グッド・ウィル・ハンティング」の様な人々の記憶に残る青春映画を作ってくれないだろうか。
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:マット・デイモン、ベン・アフレック
キャスト:
ウィル・ハンティング:マット・デイモン
ショーン・マグワイア:ロビン・ウィリアムズ
チャッキー・サリヴァン:ベン・アフレック
ジェラルド・ランボー:ステラン・スカルスガルド
スカイラー:ミニー・ドライヴァー
モーガン・オマリー:ケイシー・アフレック
ビリー・マクブライト:コール・ハウザー
上映時間:2時間07分
米国公開:1997年12月5日
日本公開:1998年3月7日
第70回アカデミー賞:助演男優賞(ロビン・ウィリアムズ)、脚本賞(マット・デイモン、ベン・アフレック)
第48回ベルリン国際映画祭:銀熊賞(貢献賞)
鑑賞日:2017年7月13日
場所:TOHOシネマズ新宿
【いつものオマケ、お時間のある方、ご興味のある方はどうぞ】
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