blog no.760

 

タイトル :  ドラマ  獣になれない私たち(2018) を観て

観た日:251213~251220
放映日:181010~181212(全10話)
放送・制作局:日本テレビ

その他の情報:脚本:野木亜紀子。出演:新垣結衣・松田龍平・田中圭・黒木華・菊地凛子・松尾貴史・田中美佐子。2018。上映時間600分。

評価:★☆☆☆

当作は「本音を隠して生きる男女が出会い、弱さを認め合いながら成長していく姿を描いた大人の恋愛ドラマ」である。



深海晶(新垣)は、IT企業で営業アシスタントとして働く女性である。周囲に過剰に気を遣い、上司や同僚の無理な要求にも応え続けることで心身ともに疲弊しているが、恋人の花井京谷(田中)に対しても本音を言えず、常に「理想的な自分」を演じてしまう。一方、会計士の根元恒星(松田)は人当たりは良いが心を閉ざし、他人と深く関わろうとしない冷めた男である。晶と恒星はクラフトビールバー「5tap」(松尾)で偶然出会い、互いの弱さや孤独をさらけ出すことで徐々に心を通わせていく。晶は仕事や恋愛において限界を感じながらも、周囲に振り回される自分を変えられずに苦しむ。恒星もまた、過去の傷から人を信じることを避けてきたが、晶との交流を通じて少しずつ心を開いていく。二人は衝突を繰り返しながらも、社会や人間関係の中で「獣のように自由に生きる」ことを模索し、自分らしい生き方を探していく。

当作は、現代社会に生きる男女の不自由さと本音を描いた意欲作ではある。新垣結衣と松田龍平の演技は繊細であり、登場人物の孤独や葛藤を的確に表現している。しかし物語は冗長であり、登場人物の関係性が複雑に絡み合う一方で展開の緊張感に欠ける部分がある。社会批判的要素と恋愛要素の融合は試みとして興味深いが、視聴者に強い共感を呼ぶにはかなり散漫である。総じて、テーマ性は鋭いが構成面に課題を残す作品である。

当作は、Hulu などで鑑賞できるが、あまりお勧めはしない。

 

 

最後まで読んでくださって、誠にありがとうございました。

 

今後とも、どうぞよろしくお願いします。

blog no.759

 

 

タイトル :   刑事ジョンブック:目撃者(1985)  を観て

 

観た日:251219 金
放映日:251027 月

放送局:BS101

その他の情報:米。監督:ピーター・ウィアー。出演:ハリソン・フォード、ケリー・マクギリス、ルーカス・ハース。1985。上映時間113分。

★ロードショー時に新宿で観た記憶は間違いない。しかし、タイトルだけが頭から離れず、内容は失念して40年もの月日が流れてしまった。今回NHK-BSで放映されたので、観直すことにした。

少年が見たのは、警察内部の闇に潜む殺人の瞬間であった。孤独な刑事ジョン・ブックは、純粋なアーミッシュの村に母子を守るため身を隠し、暴力を拒む人々の中で自らの信念を試される。都会の腐敗と田舎の静謐、愛と義務、暴力と非暴力が交錯する中、彼は命を懸けて真実を暴き、少年と母を守り抜こうとする。




アーミッシュの少年サミュエル(ハース)はフィラデルフィア駅で殺人事件を目撃する。捜査にあたった刑事ジョン・ブック(フォード)は、犯人が警察内部の汚職刑事であることを突き止めるが、命を狙われる。ブックは少年サミュエルと母レイチェル(マクギリス)を守るためアーミッシュの村に身を隠し、彼らと共に生活する中で文化の違いに直面しながらも絆を深める。やがて悪徳警官たちが村に迫り、ブックは孤立無援の状況で戦い、手傷を負いながらも事件を解決する。

アーミッシュ➡ 近代文明をできる限り排し、伝統的な共同体生活を守り続けるキリスト教の宗教集団。彼らは「現代を拒む人々」と見られることもあるが、実際には宗派ごとに柔軟な対応をしており、完全に閉ざされた社会ではない。

当作は、殺人事件の目撃者となった少年を守る刑事の物語で緊張感に満ち、腐敗した警察組織との対立構造が明快である。しかしながら、物語の展開はやや予定調和的であり、サスペンスとしての驚きや意外性に欠ける部分がある。アーミッシュの生活描写は丁寧であるが、文化的対比が説明的に過ぎ、ドラマとしての自然さを損なう場面も見受けられる。なお、ハリソン・フォードの演技は力強く、孤立した刑事像を説得力あるものにしているが、恋愛要素は唐突でもあり、物語全体の緊張感を削ぐ要因となっている。映像美や静謐な村の描写は評価できるものの、サスペンスと人間ドラマの融合は必ずしも成功しているとは言えない。

 

 

最後まで読んでくださって、誠にありがとうございました。

 

今後ともよろしくお願いします。

 

blog no.758

 

 

タイトル :   トゥー・ウィークス・ノーティス(2002)  を観て

 

観た日:251218 木
放映日:251210 水

放送局:BS101

その他の情報:米。監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。主演:サンドラ・ブロック、ヒュー・グラント。2002。上映時間101分。

評価:★☆☆☆

正義感に燃える熱血派の女弁護士と、仕事上の対立関係にあったハンサムで優柔不断な御曹司がいつの間にか恋に落ちてしまうロマンティック・コメディ。主演は当作で製作もこなしたサンドラ・ブロック。



ニューヨークの弁護士ルーシー・ケルソン(ブロック)は、社会正義に情熱を注ぐ理想主義者である。彼女は歴史的建物の保存を訴える中で、大手不動産会社の若き社長ジョージ・ウェイド(グラント)と出会い、顧問弁護士として雇われることになる。しかしジョージは優柔不断で自己中心的な性格であり、ルーシーは法律業務よりも彼の私生活の世話に追われる日々を送るようになる。やがて疲弊したルーシーは「二週間後に辞める」と退職を宣言し、後任探しを始める。ジョージは彼女を失いたくないと感じつつも、新しい弁護士を迎え入れるが、ルーシーとの距離が縮まるにつれて彼女の存在の大切さに気づいていく。ルーシーもまた、彼の人間的な魅力に惹かれ始め、互いに衝突しながらも心を通わせていく。最終的に二人は別れを選ばず、愛情を認め合うことで新たな関係を築くのである。つまり、当作はアメリカの制度である「退職予告」(Two Weeks Notice:二週間前の退職予告)を意味するタイトルを持ち、理想主義の弁護士と奔放な社長が衝突と葛藤を経て恋に落ちるロマンティック・コメディである。

当作は、サンドラ・ブロックとヒュー・グラントという人気俳優を揃えたにもかかわらず、作品としての完成度に疑問が残るロマンティック・コメディである。物語は弁護士と不動産会社社長の恋愛模様を描くが、筋立ては予定調和的であり、展開に新鮮味が乏しい。アメリカンジョークが飛び交いついていけない。また、コメディとしての軽妙さも充分に発揮されず、笑いの要素は薄く、人物描写も類型的である。主演二人の掛け合いは一定の魅力を持つものの、キャラクターの深みや関係性の説得力に欠け、観客を強く引き込む力が弱い。結果として、スター俳優の存在感に依存した凡作にとどまり、ロマンティック・コメディとしての記憶に残る強さにも欠いている。

 

 

この鑑賞で、今年の映画鑑賞本数は172本となりました。

 

 

最後まで読んでくださって、誠にありがとうございました。

 

今後ともよろしくお願いします。