blog no.770

 

 

タイトル : 恋愛適齢期(2003) を観て


観た日:260327 金
放映日:260224 火
放送局:BS101

その他の情報:米。監督・脚本:ナンシー・マイヤーズ。出演:ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン、キアヌ・リーヴス。2003。上映時間128分。

評価:★★☆☆

共にアカデミー賞受賞経験を持つ名優ジャック・ニコルソンとダイアン・キートンの豪華共演による中年男女のラブ・コメディ。



音楽業界の大物ハリー(ニコルソン)は、若い女性ばかりと付き合う独身主義者である。ある週末、恋人のマリン(アマンダ・ピート)とともに彼女の母エリカ(キートン)の別荘を訪れるが、そこで突然心臓発作を起こしてしまう。医師ジュリアン(リーヴス)の判断により、ハリーはしばらく別荘で静養することになり、エリカと同居生活を送ることになる。最初は互いに反発し合っていたハリーとエリカであるが、生活を共にするうちに、二人は思いがけず心を通わせていく。しかし、エリカに好意を寄せる若い医師ジュリアンの存在が、ハリーの心を揺さぶる。自分の年齢や生き方と向き合わざるを得なくなったハリーは、初めて“本気の恋”に戸惑いながらも、エリカへの想いを確かめようとする。恋愛に臆病になった大人たちが、再び愛する勇気を見つけていく姿を、ユーモアと温かさを交えて描いた作品である。

当作は、大人の恋愛を軽やかに描くロマンティック・コメディであるが、その魅力の多くはジャック・ニコルソンとダイアン・キートンという二人の存在感に依存している作品である。物語は“年齢を重ねても恋は訪れる”という普遍的なテーマを扱っているものの、展開はやや予定調和であり、観客が驚くような深いドラマ性には乏しい。ナンシー・マイヤーズ監督らしい上質なインテリアや洗練された生活描写は心地よいが、同時に“理想化された大人の恋愛像”に寄りすぎており、現実味よりもファンタジー性が勝ってしまう場面が多い。特に、ハリーの変化が急速で、長年の生活スタイルをあっさりと転換する描写には説得力が乏しく、キャラクターの内面が十分に掘り下げられているとは言い難い。とはいえ、キートンの感情表現は圧倒的で、彼女の存在が作品に温度と奥行きを与えている。全体としては、軽やかで心地よい大人向けの恋愛映画であるが、深いテーマ性を求める観客には物足りなさが残る作品であるといってよい。


この鑑賞で、今年の映画鑑賞本数は9本目となりました。

 

最後まで読んでくださって、誠にありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

blog no.769

 

タイトル : 愛と哀しみの旅路(1990) を観て


観た日:260325 水
放映日:260303 月
放送局:BS101

その他の情報:米。監督・脚本:アラン・パーカー。出演:デニス・クエイド、タムリン・トミタ、サブ・シモノー。1990。上映時間133分。

評価:★☆☆☆

第2次世界大戦を背景に、アメリカ人男性と日系女性との恋愛を描いたメロドラマ。



1930年代末のアメリカ。労働運動の弾圧が強まる中、映画館で働く白人青年ジャックは、日系アメリカ人の女性リリーと出会い、互いに惹かれ合う。しかし当時の反日感情や異人種間交際への偏見、さらにはリリーの家族の反対もあり、二人の関係は困難に満ちていた。それでも二人は愛を貫き、やがて結婚し、娘を授かる。しかし1941年、真珠湾攻撃をきっかけに情勢は一変する。日系アメリカ人は敵性外国人として扱われ、強制収容所へ送られることになる。ジャックは家族と共にいたいと願うが、白人である彼は収容の対象外であり、家族と引き離されてしまう。リリーと娘は荒涼とした収容所で不自由な生活を強いられ、ジャックは遠く離れた場所で、彼女たちを取り戻す方法を模索し続ける。戦争が家族を引き裂き、愛を試す中で、三人は再び一緒に暮らせる日を信じて耐え抜こうとする。歴史の激流に翻弄されながらも、家族の絆を守ろうとする姿を静かに描いた作品である。

当作は、日系アメリカ人強制収容という重い歴史的事実を扱いながら、その核心に充分迫りきれていない作品である。アラン・パーカー監督は社会派の題材を得意とするが、本作では歴史の痛みよりも恋愛ドラマの比重が大きく、結果として強制収容の悲劇が“背景の一部”として処理されてしまっている。物語の中心に据えられるのは白人男性ジャックの視点であり、日系コミュニティの内部にあった複雑な葛藤や、アメリカ社会に根付いた差別構造は充分に描かれない。歴史映画としての深度も不足し、題材の重さと語り口の軽さが噛み合っていない。収容所の描写も、実際の過酷さに比べて抑制されており、観客が歴史の残酷さを実感するには物足りない。家族の絆や愛の強さを描こうとする意図は理解できるが、その温かさが逆に歴史の厳しさを欠いてしまい、作品全体が安全な方向へと丸め込まれている。結果として、当作は“戦時下ロマンスに社会問題を添えた作品”にとどまり、歴史の真実を深く掘り下げる映画としては力不足であると言わざるを得ない。


この鑑賞で、今年の映画鑑賞本数は8本目となりました。
 

 

最後まで読んでくださって、誠にありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。

blog no.768

 

タイトル : マイ・インターン(2015) を観て


観た日:260324 火
放映日:251222 月
放送局:BS101

その他の情報:米。監督・脚本:ナンシー・マイヤーズ 。出演:ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ。2015。上映時間121分。

評価:★★☆☆

ファッション・サイトの若い女社長が、カルチャーのまるで違う70歳のインターン(に戸惑いながらも、次第に奇妙な絆が芽生えていくさまを描いたハートフル・コメディ。



70歳のベン・ウィテカー(デ・ニーロ)は、妻に先立たれ定年後の生活に物足りなさを感じ、シニア向けインターン(見習い社員)制度に応募してファッション系スタートアップ企業で働き始める。彼の上司となるのは、若くして会社を急成長させたCEOのジュールズ(ハサウェイ)。最初、ジュールズはベンを扱いにくい存在と見なすが、ベンの誠実さ、礼儀、観察力、そして豊富な人生経験が周囲の信頼を集め、次第に彼女自身も心を開いていく。仕事と家庭の両立に悩み、会社の舵取りにも迷いが生じていたジュールズは、ベンの落ち着いた助言や温かい姿勢に支えられ、自分の進むべき道を見つめ直していく。世代も価値観も異なる二人が、互いに影響を与えながら成長していく物語である。

当作は、世代を超えた交流を温かく描いた作品であり、ロバート・デ・ニーロの落ち着いた存在感が物語を支えている点が大きな魅力である。一方で、物語は全体的に予定調和であり、登場人物の葛藤が深掘りされないまま解決へ向かうため、ドラマとしての緊張感は弱い。特に、主人公ジュールズが抱える仕事と家庭の問題は、現代的なテーマでありながら、表層的に処理されている印象である。ベンの助言が万能すぎるため、物語が都合よく進み、リアリティよりも“理想的な関係性”を優先した構成になっている。とはいえ、作品全体に漂う優しさや、世代間の価値観の違いを肯定的に描く姿勢は心地よく、軽やかなヒューマンドラマとしては充分に楽しめる。深い問題提起よりも、安心感や癒しを求める観客に向いた作品であると言える。

 


この鑑賞で、今年の映画鑑賞本数は7本目となりました。

 

最後まで読んでくださって、誠にありがとうございました。

今後ともよろしくお願いします。