【連載24】高次脳機能障害・胡椒や唐辛子の減りが異常に早い…それも症状の一つだった!


「逆境のトリセツ」とは・・・
右足と脳機能を失っても、挑戦し続ければ道は開ける。
人生の目標を実現していく、夫婦の起死回生ストーリー。
実在する谷口正典と、妻益村泉月珠のノンフィクション小説です。

✅幻冬舎ゴールドライフオンライン連載中

 

 

夫は、自分は何でもできると思い込んでいるところがあった。

 

プライドが高く、自分が納得しないと動けなかった。

 

さらに、段取りが苦手なので、初めてのことは、どのような順番で何をしたら良いのかわからず、嫌がることが多かった。

 

「私が会社に行っている間に一人でいると危険じゃない。B型支援施設に行ってほしいよ」

 

と懇願した。

 

「絶対行かない。俺は、絶対嫌だ」

 

の一点張りだった。この一件以来、夫は、できると思っていた自分が、ひとりよがりで、思い込みだったと言われて、プライドも自信もなくしていった。

 

しばらくしてから、夫から話があると言われた。

 

「B型支援施設に行く代わりに資格取得をするための勉強をしようと思うんだけど、いいかな」

 

「目標がほしいのはわかるけど、それって頭が疲れない?」

 

「疲れないように休憩しながらやるよ」

 

夫の焦りが手に取るようにわかった。このまま進めることが良いことかはわからないけど、自らやりたい、と言い出したこのことを素晴らしいと思おう。

 

「何をするかわからないけど、挑戦すると言う人を止める権利はないよね。協力するよ」

 

私には、決めていたルールがあった。

 

・逃げない

・挑戦する人を止めない

 

資格を取りたいと目標を自ら発した夫をサポートしてみることにした。

 

「ところで何の資格をとるの?」

 

「行政書士」

 

「え!? それって、相当勉強しなきゃだめでしょ」

 

「勉強するよ」

 

この話を聞いたとき、合格・不合格よりも、目標を見つけることが大切で、合格は二の次なのかもしれないと思ったのだった。

 

「資格取得のための教室があるみたいだね。一緒に見に行ってみようか。申し込みまで私が立ち会えば、二度目に教室に行くことはできるよね」

 

初めての行動が難しい夫と一緒に教室を見に行った。

 

リアル教室とオンラインがあり、申し込み方法を確認してパンフレットをもらって帰った。

 

ここまでは、順調に進んでいるように見えた。しかし、後日、思いもしない出来事が起こった。

 

※本記事は、2022年10月刊行の書籍『逆境のトリセツ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。

 

 

 

 

 

 

【連載23】高次脳機能障害・胡椒や唐辛子の減りが異常に早い…それも症状の一つだった!


「逆境のトリセツ」とは・・・
右足と脳機能を失っても、挑戦し続ければ道は開ける。
人生の目標を実現していく、夫婦の起死回生ストーリー。
実在する谷口正典と、妻益村泉月珠のノンフィクション小説です。

✅幻冬舎ゴールドライフオンライン連載中

 

 

話し合い

高次脳機能障害の症状とプライド

 

「同じ思いをしている人がいることを知っただけで、本当に救われます」

 

私は、孤独から解放され、涙を流した。

 

「高次脳機能障害と言っても、原因も違えば、脳の損傷箇所によっても症状が違うからね」

 

この言葉にはっとした。私は、夫の異変を高次脳機能障害と思っていたが、高次脳機能障害にも、様々な症状があったのだ。ちょうどその頃、高次脳機能障害であることを認定して、精神障害者手帳を発行してもらうために書類をまとめようとしていた。

しかし、この会に参加したことで、この後、どうして良いかわからなくなってしまった。

 

「高次脳機能障害の症状がよくわからなくて……」

 

家族会の代表に相談したところ、高次脳機能障害の症状について、項目ごとにきれいにまとめられた冊子を手渡された。

 

「この冊子に症状が書いてあるから、見てみるといいわよ」

 

その冊子を開いてみると、遅刻のこともお金のことも書いてあった。それだけでなく、食事では、同じものばかり食べる。お腹が空くと二人前や三人前食べ切れないのに頼んでしまう。ドレッシングや醤油などの量を調整できない、などと書かれている。こんな日常のことも障がいの一つなんだと知った。

 

「確かに、うちは、胡椒や一味唐辛子の減りが異常に早いんです。そう言えば、シャンプーの減りも異常に早い。これも症状なんですか?」

 

「それは症状ですよ」

 

「この冊子に書かれている内容ですが……、夫は、ほとんどの項目に当てはまっていると思います」

 

家族会の代表は目を丸くした。

 

「仕事はどうですか? なかなか周りの理解を得られないんじゃない?」

 

心配して声をかけてくれた。

 

「そうなんです。仕事が続かないんです。なんとなく見た目はできそうに見えるので、次々と仕事を任されて、結局、パニックを起こしているみたいなんです」

 

「そうでしょうね。難しいと思いますよ。ここには、B型支援施設もあるんですよ。見てみますか?」

 

「はい、見学させてください」

 

早速、別棟の部屋に案内されて、夫と二人で見学することになった。そこでは、高次脳機能障害の当事者が、名刺交換やコミュニケーションをとる練習をしていた。一通り見学を終えて、お礼を言って外に出た途端、夫は私にお願いするように言ってきた。

 

「ここは違うと思う。ここには、行きたくない。絶対行かない」

 

「え? まだ見学しただけじゃない」

 

「俺は、あんなんじゃない」

 

と断固拒否の姿勢を顕にした。

 

 

 

 

 

【連載22】「優しい夫は戻ってこないのでは…」同じ症状に悩む人々の「家族会」への参加を決めた日


「逆境のトリセツ」とは・・・
右足と脳機能を失っても、挑戦し続ければ道は開ける。
人生の目標を実現していく、夫婦の起死回生ストーリー。
実在する谷口正典と、妻益村泉月珠のノンフィクション小説です。

✅幻冬舎ゴールドライフオンライン連載中
https://renaissance-media.jp/category/gr781




「家族会ですか?」

「この障がいは、『生活障害』といって、家族の前で症状は出ますが、入院中や医師の目の前では、症状が起こらないし問題なく見えます。病院での検査結果が良かったとしても、日常生活が送れない、難しいこともあります」

「ここに解決の糸口があるかもしれませんね。行ってみます」

選択肢はもう残っていなかった。すでに臨月になろうとしていた私は、動くのが辛くなり始めていたものの、子どもが生まれてからよりは動きやすい! と、意を決して家族会に参加することにしたのだ。

高次脳機能障害の症状とプライド

夏の暑い日、大きいお腹を抱え大粒の汗をかきながら、夫と一緒に高次脳機能障害の患者や家族が参加する会合に出席した。

「こんにちは」

恐る恐るドアを少し開けて会釈をして顔をあげると皆さん、ニコニコしていて、アットホームな雰囲気。

「どうぞ、どうぞ、中に入ってください」

ちゃきちゃきと動いている家族会の代表と思われる女性から声をかけられ中に入った。代表の娘さんが高次脳機能障害だと言う。そこには、私と同じように悩み苦しんでいる家族がいた。机と椅子がロの字に並べられ、障がいがあるようには全く見えない人たちが並んでいた。

「大雨で土砂災害があったとき、夫が一人で出て行ってしまって、行方不明になったんですよ。それで、見つかったときは、パトカーで帰宅したんですよね」

ご高齢の奥様が隣のご主人の話をされた。

「お金を全部使ってしまうから三百円を毎日持たせることにしているんです」

なんだか、私の悩みがちっぽけに見えてきた。こだわりが強いという話もあるが、夫と似ているようで、似ていない。

「夫は、十五年前に事故に遭って、脳挫傷と二週間の意識不明の重体で、三か月くらい前から、二重人格のようになったんです。近くの病院に行ったら、そんなアニメのようなことはないって言われてしまって……。誰もわかってくれないって、すごく悲しかったんです」

「それは大変でしたね。性格が変わったようになることありますよね。でも、医者じゃあ、それはわからないですよ。日常生活の中で気がつく障がいだから。だから家族会でこうして話をしているんです」



「優しい夫は戻ってこないのでは…」同じ症状に悩む人々の「家族会」への参加を決めた日
https://renaissance-media.jp/articles/-/14020

 

 

 

 

 


「逆境のトリセツ」とは・・・
右足と脳機能を失っても、挑戦し続ければ道は開ける。
人生の目標を実現していく、夫婦の起死回生ストーリー。
実在する谷口正典と、妻益村泉月珠のノンフィクション小説です。

✅幻冬舎ゴールドライフオンライン連載中
https://renaissance-media.jp/category/gr781

✅前回は・・・
【連載20】これが俺の高次脳機能障害の症状だった
https://blog.ameba.jp/ucs/entry/srventryupdateinput.do?id=12817370814


話し合い 崩壊寸前の家族

しばらく実家にいた夫は、猛省して帰ってきたはずだった。

しかし気がつけば、大声で怒鳴り散らし、

 

目はギラギラ、

 

濃い味つけが大好きなマイケルがリビングに居座るようになっていた。

 

「おい! こんなもん食えるか、食わない」

「食べないなら出て行けばいいじゃない。反省全くしてないじゃない」

私への対応は、乱暴な言葉で、何でもあしらうような返事になっていった。

 

私もいらつきで酷い言葉になっていった。

 

マイケルには記憶がないし、その記憶を継続することもない。

 

マイケルと会話をしても何も進展しないことがわかった。

「言い返しても仕方ないか……」

誰も返事をしてくれるわけではなく……

「私が結婚したのは、マイケルじゃない」

独り言で自分に言い聞かせる。

そう、マイケルと呼び始めた理由は、

 

私の精神状態を安定させるためだった。

 

夫だと思ったら、離婚しかない、と思ってしまう自分に対して、

 

何か良い方法があるのではないかと自分に言い聞かせるためだった。

 

だから、呼び名は、同じ「ま」がつく外国人を選んだのだ。


今までは、夫が疲れたときや夜だけ、

 

夫の身体を乗っ取るかのように現れていたマイケルが、

 

最近は、毎日現れるようになってきていた。

 

さらに、少しずつ居座る時間が増えてきた。

 

夜だけでなく、夕方や午後からと長くなりはじめていた。


「誰だよ、このコップ置いたのは。置いている位置が違う。布巾はこの位置じゃない」

キッチンに立った夫は、

 

見えたものを片っ端からすべて言って歩きはじめた。

 

小さなこだわりを積み上げていき、

 

自分が心地良い居場所と時間を確保していく。

 

超超超性格が悪いマイケルがいた。


優しく、ひたむきにがんばる夫の姿、

 

素直で周りを笑顔にさせてくれる夫が好きだったのに、

 

もう前のような優しい夫は戻ってこないかもしれない。


悪い方に考え始める自分がいることに気がついた。

 

どんどん孤独という黒いモヤモヤが大きくなり、

 

私は、イライラすることが多くなっていった。



中学生の息子にとっては辛い出来事だった。

 

学校を休みがちになり、さらに家の中が殺伐とした空気となった。

 

妊娠中の私には、もう限界だった。


このままでは家族が壊れてしまう。

 

マイケルが長時間出現するようになったこと、

 

いやいや、夫の高次脳機能障害の症状が長時間出るようになったことを

 

脳神経外科の黒木先生に相談した。


「どんどんと症状が悪化していて、このまま症状が進行すると本人がいなくなってしまうのではないかと思います。治す方法はないんでしょうか」

黒木先生からは解決方法の言葉ではなく、一枚のパンフレットを手渡された。 

「ここに行ってみてはどうでしょう。同じ症状がある患者さんやその家族が集まる会です。これに参加してみたらどうでしょうか」

続く・・・

「優しい夫は戻ってこないのでは…」同じ症状に悩む人々の「家族会」への参加を決めた日
https://renaissance-media.jp/articles/-/14020

 

 

 

 

8/27(日)13:00-
ゆめのたね「ラジオ甲子園」の表彰式でした。
審査員務めさせていただきます。

君は、高校生?
と言ってしまうほど素晴らしい作品に
驚きました!

写真準備中のものです。








#ゆめのたね
#ゆめのたね放送局 
#ラジオ甲子園
#表彰式
#審査員
#逆境のトリセツ 
#谷口正典 

 

8/31▶9/11 『益村司が描く蘭陵王展』が宮島口で開催

宮島にお越しの際は、宮島口旅客ターミナル

「はつかいち・みやじま情報センターへ」

 

■絵画展のご案内

『 益村司が描く蘭陵王展 』
―美しすぎる武将による勝鬨(かちどき)―

■期間:8/31(木)▶9/11(月) 10時~19時

入場無料
最終日10時~16時
■会場:はつかいち・みやじま情報センター
    廿日市市宮島口旅客ターミナル2階
■主催:廿日市市


「舞楽蘭陵王」パリ国際サロングランプリ受賞

 

今回の個展では、パリ国際サロングランプリ受賞「舞楽蘭陵王」も展示しています。

 

 

 

【お知らせ】

広島市の画家 益村司氏、宮島にゆかりの作品を廿日市市へ
広島市西区在住の画家、益村司(ますむらつかさ)氏(75)が、8月31日(木)に宮島にゆかりのある作品を廿日市市に寄贈します。寄贈される作品は、G7広島サミットで首脳のパートナープログラムとして披露された厳島神社の「蘭陵王(らんりょうおう)」をモチーフにしたアクリル画で、2018年にフランスの「ル・サロン展」でメンションを受賞した作品です。

 


■日程
1.益村司寄贈作品の除幕式を宮島町内で実施
・日時:8/31(木)10:00~
・会場:TOTO宮島おもてなしトイレ
・住所:廿日市市宮島町536-1
■寄贈作品について
・作品名:舞楽 蘭陵王
・作者: 益村司
・受賞年:2018年
・受賞名:「ル・サロン展」メンション受賞 
※ル・サロン展とは、フランスの歴史ある公募展です。

 

▼TOTO宮島おもてなしトイレ

 

 


********

 

▼実は、画家・益村司氏の作品をデジタルLINEを担当したのは私です!
▼蘭陵王 LINEスタンプ

https://store.line.me/stickershop/product/16604556/ja?from=sticker


 

広島観光大使をしている谷口正典です。

来週から、宮島で舞楽「蘭陵王」の絵画が展示されます。

宮島にお越しの際は、「TOTO宮島おもてなしトイレ」へ行ってみてください!

 

【お知らせ】

広島市の画家 益村司氏、宮島にゆかりの作品を廿日市市へ

広島市西区在住の画家、益村司(ますむらつかさ)氏(75)が、8月31日(木)に宮島にゆかりのある作品を廿日市市に寄贈します。寄贈される作品は、G7広島サミットで首脳のパートナープログラムとして披露された厳島神社の「蘭陵王(らんりょうおう)」をモチーフにしたアクリル画で、2018年にフランスの「ル・サロン展」でメンションを受賞した作品です。

 



■スケジュール
1.益村司寄贈作品の除幕式を宮島町内で実施
・日時:8/31(木)10:00~
・会場:TOTO宮島おもてなしトイレ
・住所:廿日市市宮島町536-1

■寄贈作品について
・作品名:舞楽 蘭陵王
・作者: 益村司
・受賞年:2018年
・受賞名:「ル・サロン展」メンション受賞 
※ル・サロン展とは、フランスの歴史ある公募展です。

 

▼TOTO宮島おもてなしトイレ

 

 

 

********

記念絵画展を実施

********

 

『 益村司が描く蘭陵王展 』
―美しすぎる武将による勝鬨(かちどき)―
8/31▶9/11 10時~19時入場無料
初日13時~19時 最終日10時~16時
廿日市市宮島口旅客ターミナル2階
はつかいち・みやじま情報センター
主催 廿日市市

********

 

▼実は、画家・益村司氏の作品をデジタルLINEを担当したのは私です!
▼蘭陵王 LINEスタンプ

https://store.line.me/stickershop/product/16604556/ja?from=sticker