「今ね、夕日が沈むところ」
「へー、いいね、ロマンテックで。俺もそんな感動がほしいよ」
「だったら、違う感動をあげるわ」
「えっ?」
彼が驚く声が聞こえる。
私は今日あった話を、すべて亮君に話した。
話し終わったあとも、しばらくは彼は無言のままだった。
「・・・亮君?」
余りに返事が返ってこないので、心配になって彼の名前を呼んでみる。
「・・・あっ、ご、ごめん・・・。なんかさぁ、うれしすぎちゃって」
彼の感動が、電話を通じて伝わってくる。
だよね!本当にみんないい生徒たち!私もすごく感動してる。
「ありがとう、ミサトちゃん。また俺からも電話するけど、よろしく言っといて」
「うん、わかった」
電話を切った後もしばらく屋上から景色を眺めていた。
太陽が姿を消し、だんだん辺りが暗くなりはじめた。
そのせいか、風が少し冷たく感じられる。
「亮君了解ですって」
私が部室に戻ると、みんなは練習の手を止め私の方を見た。
「いったいいつまで話し込んでんだよ」
「本当だよな。電話かけに行ったっきり戻ってくる気配なしだもんな」
口をひらけば、文句が飛び出す。
そんなつもりなかったんだけど・・・・。
ただ、電話の後景色を眺めてたから・・・、って、ここでそんなこと言ったって、誰が信じてくれるだろう。
「ちっ、違うわよ。私はただ・・・」
言い訳しようとする私の言葉を遮って、みんなが言う。
「いいって。いいって」
うーーーん、なんか変なかたちで納得されてしまったような・・・・。
私は冷や汗をかきながら、一人動揺していた。
~ 蒼井りんこ完結作品 ~
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