その後、部活は終わり、今、私と亮君は部屋にいた。
今日はやけに疲れた。
原因は部活のせいだろうけど、亮君は澄ました顔で、みんなからもらった楽譜を見ている。
「本当に驚いたわ」
私がつぶやくと、それに反応するかのように亮君は笑った。
「なんかさぁ、バスん中で電話もらって、突然ひらめいたんだよね。俺もバンドに興味あったし、なんたってミサトちゃんとも一緒にいられるし」
「でも、ここまでやらなくったって・・・。それに名前も偽名でしょ」
「はははっ。あれはほとんどアドリブ。だって本名言うとちょっとやばい気がしてさ。だったら偽名だなってね」
そう言って、彼は大きく伸びをした。
「でもさぁ、俺の歌、結構うけてたじゃん。ホッとしたよ」
「だって、めちゃくちゃ上手だったもん」
そう言ったそばから、今も、あの時の感動が蘇ってくるよう。
彼の声は、すっと心に沁みこみ、それでいて情熱的。
「ミサトちゃんにもそう言ってもらえるとうれしいよ」
彼は嬉しそうに、また楽譜に視線を戻した。
「これから忙しくなるぞ!」
バスの時間がくると、彼は笑顔のまま、楽譜を大事そうに抱え、帰って行った。
これから先、どうなることやら。
不安もあったが、それ以上にワクワクした気持ちでいっぱいだった。
夕焼空を見つめながら、一人期待に胸膨らませていた。
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