「う、うん。本当にかっこいいよね。凄く女の子に人気ありそう」
すると亮君は、私の方を見て少し微笑んだ。
もう、私ってば、なに言ってんだろう。
内心ハラハラ、ドキドキして、妙に落ち着かない。
もう、なんでよ。
亮君に「ここへ来て」なんて一言も言ってませんからね。
おまけに、いきなり「ヴォーカルやりたい」だなんて。
本当にそんな話、一言も聞いてませんから。
なんで亮君がうちの学校の部活に・・・?
「こうして話してても決まらないんで、良かったらこれから一曲歌ってもらえる?」
「いいですよ」
亮君の返事を聞くと、彼らは立ち上がった。
それから、なにやら相談を始めた。
どうやら歌える曲を選曲しているようだ。
私は今まで一度も亮君の歌声を聞いたことがなかった。
ここでそのチャンスに恵まれることは、ある意味うれしかったが、それでも彼がこのバンドのヴォーカルになることは、別の意味で恐怖も感じていた。
今までY高で、他の生徒に二人の関係が知られないよう、どれだけ細心の注意を払ってきたことだろう。
このU校へ来て、やっとそのことから解放されたと思っていたのに。
これではまた振り出しに戻ったと同じことになる。
なんでわざわざこんな危険を冒してまで、ヴォーカルになりたいなんて亮君は思ったのだろう。
ましてや彼は受験生。
いくらエリートだからと言っても、こんなことしてていいの?
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