海から立ち昇る潮とともに、ちょっと異国の匂いを感じる街。
海軍・米軍の基地があり、日本の守備を任されている街。
それが神奈川・横須賀です。
*その1~猿島~はこちら 。
今回は横須賀の街中で出会った名物たちを紹介。
海と人々の生活を感じて。
まずは、見ているだけであのスパイシーな香りが鼻を突く、
国民食的なこの食べ物!
海兵さんの金曜日。
横須賀三大グルメの一つ、「横須賀海軍カレー」です!
小麦粉を練ったルウは、とてもシンプルで素朴な味付け。
食後のブラックコーヒーも含めて、明治時代の海兵さんが
食べていたものをそのまま再現したのが、ここ
「横須賀海軍カレー本舗」のカレーです。
何日、何か月と長い時を海の上で過ごす海軍のみなさん。
毎日まわりは一面の海で、過ごしているとだんだん時間の感覚が
なくなっていくんだそうです。
そこで、今日が何曜日かを思い出すために、
「金曜日はカレーの日」と決めて、毎週その日には
いつも同じカレーを食べることにしたとか。
これで海兵さんの1週間が保たれていたんですね。面白い。
カレーでお腹を満たしたあとは、海辺にある三笠公園へ。
ここには、あの東郷平八郎が指揮したとされる戦艦「三笠」が
威風堂々、港に停泊しています。
旗艦。
明治時代にイギリスで建造されたそうですが、
明治にこんな立派な戦艦があったのか、と息を呑むほど。
(この公園にあるのは、記念艦なので本物ではないと思いますが)
主砲は房総半島まで届き、その船首はまっすぐ皇居を見つめているそうです。
この頃は天皇のために戦っていたんですもんね。
この公園から、猿島行きの定期便が出ています。
島から帰ってきたあとは、海沿いを歩いて、フランス式庭園が楽しめる
ヴェルニー公園へ。
横須賀の港を一望できる公園です。
ベンチと街灯。
緑の芝生の前に、規則正しく並べられたベンチ。
目の前は横須賀港。
曇りがちなこの日は、対岸の埠頭も霞んで見えました。
海風が髪をばさばさと揺らします。
バラの名所でもあります。
さすがフランス式。
ほぼ咲き終えて、少しだけ残ったうちの一輪が、まっすぐに海を見つめる。
青い水面に赤い花を。
何かに、誰かに手向けているようにも見えました。
公園の端まで来ると、視線の先には軍港が。
今度は本物、実際に今も活躍している軍艦の姿を捉えます。
平和の中で。
右に小さく写っているのが軍艦です。
色のない、余計なものを削ぎ落とした、
何物をも寄せ付けない完璧さと冷徹さ。
もし、戦いのために海へ赴くことがあったとしても、
その冷静さは失われないんだろうなと思います。
今はただ静かに。
テレビ画面では何回か見たことがありますが、
目の前で、生で見るのはやはり迫力が違います。
この上に立って生きる人々と、国を守るための装備を
体内に蓄えながら、静かに出港のときを待っているような。
本当は、自分たちがいない世界が一番なのだとも分かりつつ。
彼らが海を渡るとき、その思いはとても複雑なものなんでしょうね。
公園で風に吹かれながらゆっくりと時間を過ごしたあとは、
横須賀米軍のみなさん御用達、買い物ストリートへ。
通称「どぶ板通り」です。
ジャパニーズ・アメリカン。
日本とアメリカの文化がほどよく混ぜ合わさった
横須賀の街、そのものを表すようなこの通り。
店先には大仰な看板やミリタリーなジャケットが並び、
夕暮れが近づくと、店名をかたどったネオンが輝きはじめます。
通りを示す、この幕のデザインもとてもかわいい!
浮世絵と港のモチーフが見事に融合しています。
ここの通りでは、横須賀三大グルメその2、「横須賀ネイビーバーガー」が
食べられるカフェがたくさんあります。
ハンバーガーといえば、アメリカ!
この日はカレーのあとだったのでさすがに手は出ませんでした(笑)が、
次に横須賀を訪れる際にはぜひ食したいと思います。
口が裂けそうなほど大きなバーガーに、思いっきりかぶりつきたいです。
代わりに、メルキュールホテル1階にあるラウンジで
横須賀三大グルメ最後のひとつ、「横須賀チェリーチーズケーキ」
をデザートにいただきます!
恋する味。
白く雪が降り積もったかのようなチーズケーキのてっぺんに、
赤くて丸い大粒のチェリーが乗っています。かわいい。
チーズの味がとても濃くて、チェリーのほのかな酸味と甘みが
まろやかなクリームチーズの中でひときわ輝きます。
この組み合わせは間違いないです。
なぜにチーズケーキが三大グルメ?かと言うと、
横須賀の米軍基地が、本場ニューヨークのチーズケーキを
プロデュースして、そのレシピを提供してくれたんだそうです。
日本の象徴、「桜=チェリー」を上にトッピングして
日米友好の証にしたとか。
つまり、日本とアメリカの架け橋です。
そんな風にして誕生したチェリーチーズケーキ、
これから来る希望や恋の予感を覚える素敵な味です。
たくさん紹介したいことがありました。
街自体はそれほど大きくはないですが、
ぐるりとまわると、海のそばで暮らす国際色豊かな人々の
生活や風土が感じられる、海軍の街。それが横須賀。
特色の強い、おもしろい場所です。