あおいとあさぎの旅行記 blue × blue journey

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カメラの蒼生≪あおい≫と一緒にまわった、ひとりとひとつの旅のきろく。

旅行記インデックス★

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◆2018.01◆ ◇沖縄の風と海◇

  1日目 その1~伝統と森~  その2~森の賢者~  


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日本列島が寒風に包まれる頃、太陽が変わらず穏やかに輝いて

空気を温め、頬を撫でる風も優しい沖縄

悠久なる南国の森が育む、琉球の賢者たち。

*その1~伝統と森~はこちら

 

沖縄本島・南部にあるガンガラーの谷を歩くウォーキングツアー。

この谷は、昔はすべて鍾乳洞に覆われていたのが、

水が流れ、壁が削られ、今の谷になったそう。

 

 太古の声。

 

たとえば、生い茂る木々の合間から覗く崖がその証拠。

岩場には無数の穴と尖りがあり、何万年もかけて鍾乳石が形成されているのが分かる。

はるか頭上にあるこの崖は、昔はこちら側とひとつなぎになっていたのだろう。

自然の大いなる力と、途方もない年月をかけて造られる形には感嘆しかない。

 

森の中には小さな川も流れています。

川沿いの道をずっと歩いていく。

 

水と命。 

 

生命が繁殖するには水は欠かせない。

すべての調和が森を作る。

亜熱帯の森は、やはり本州のそれとは少し雰囲気が違くて、

丸く大きな葉が競うように林立し、木々は曲がりくねり、より多くの栄養を吸おうと

枝からも根を伸ばす。

生きやすい分、生命力たくましいのです。

 

さて、道の先に、ひとつの洞窟がぽっかりと口を開けて待っている。

薄暗い中へ入るのに、石油ランプを渡されるほど。まるで冒険家。

中の天井は、鍾乳石でびっしり。ここにも永い年月の跡がある。

 

 残滓。

 

時の雫は地に落ちる前に固まって、営みの証を現代に引き継いでいく。

誰かが必ず見つけてくれると、予期しているように。

 

ここは「イキガ洞」と呼ばれていて、沖縄の信仰の場「御嶽」のひとつ。

ご神体は洞の奥にあります。

すごい…生命力を感じるものが…

でもよく考えると、人間も自然が造り出したものなわけだから、

この形になるのは何か重要な意味があり必然なのかもしれない、と思う。

何がいるのか確かめたい方はぜひ現地へ!

 

洞窟を引き返し、再び外へ。光がまぶしい。

さらに森の奥へと続く道を進んでいきます。

ずっと、自分より背の高い木々や岩壁に囲まれているなぁと

来た道を振り返ると、ここが谷の底であることが見て取れる。

 

谷を流れる川のように。 

 

大昔、ここを同じように、水が流れていったのだろう。

谷を削り、大地の肌を露出させ、巨大な空気の貯蓄庫を作る作業。

川の流れをそのままたどる道は、数万年前の時を連れてきてくれるようで、不思議。

 

そして、この谷の奥地に、森の賢者と面会できる場所がある。

下から見上げるその威光は、大主(ウフシュ)ガジュマルが持つもの。

 

 生きる英知。

 

高さ約20メートル、樹齢150歳と言われるガジュマルの大木。

森を見渡し、すべての命のやりとりを把握する、主であり賢者。

森に生きる知恵を、小さな者たちひとりひとりに授けてくれる。

 

崖上から祈りのような恵みのような、太陽光が降り注ぐ様子も

それが今もなお生き成長し続けるガジュマルを明るく照らす様子も

すべてが神秘的で壮大で、ただ息を呑む美しさでした。

 

結び、育ち、生きる。 

 

圧倒的な存在感、枝から幾重にも伸びる気根も、やがて束ねられてひとつになり

この木を形成する幹の一本となっていく。

命に永遠はないけれど、計り知れぬほど長い時を生き抜くと決めた覚悟のようなものが

力となって、空気を伝播する。

なんと力強く貪欲で、そして命に溢れている木だろう。

見上げてもその全容は知ることができない、太古の森に生きる大主。

未知の存在に、言葉で語り尽くせない感動がありました。

 

このあとは、谷をのぼって崖の上に出ます。

「ガンガラーの谷」の名前の由来も聞けますよ。

開けた土地に、一本の大きな樹。そこにスタッフさんたちが手作りした

ツリーハウスがあります。

見晴らしは最高です。

 

 遠く街と海。

 

市街地と、その先にかすかに見える青い水平線。

ここは太陽が強いからか、すべての彩度が高い。

はっきりとした森と海の色が、脳に鮮烈な印象を与える。

 

南国の花や葉っぱもそうですね。

生き残るために、目を奪うために、鮮やかな赤やピンクをしていることが多い。

丸みを帯びた葉の形もかわいらしいです。

 

華やぐ装い。 

 

ガンガラーの谷ツアー、ここで終わりではありません。

自然の神秘に触れたあとは、人間の進化にも触れることができる。

最後に再び、洞穴に入ります。

武芸洞と呼ばれるここは、

日本人の祖先たる「港川人」のお墓と思われる跡や居住跡があります。

 

 自然と同化していた頃。

 

まだ、人と自然が明確に分かれていなかった頃。

鍾乳洞の中に暮らす港川人は、小さなコミュニティを作って協力しながら生活していた。

およそ2万年前に存在したとされる、人類のルーツ。

死者を弔うという思想がこのころにもあったというのが、やっぱり人の脳は面白いと思う。

そして、自分のルーツかもしれないわけだから、その時代を生き抜いて

命をつないでくれたことに、感謝しかない。

 

およそ1時間半ほどのツアーは、生命の力強さと進化に触れて、

あっという間に終わってしまいました。

道はアップダウンもままありますが、それほど激しいわけではなく、

道も整備されているし、歩いては止まってガイドさんが解説してくれるので

普通に歩ける方ならば誰でも参加できると思います。

 

本州と少し違う、沖縄独特の風と強い光。

信仰の場と、生きようとする確固たる意志を持つ生命たちの姿を

目にするだけで、活力がみなぎってくる。

自然の神秘に触れ、森の賢者から知恵を授かりに、ぜひ訪れてみてください。

 

 

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