二日連続で合格結果の通知です。といっても、実は、昨日、二つの合格通知が来たので、「合格通知⑤」を送らせていただきましたが、続いてもう一つ紹介です。
「合格通知④」でも書きましたが、LSEは、全英ランキングで、ケンブリッジ、オックスフォードについで、イギリス3番目の名門校。19キャンパスあるロンドン大学郡の中ではトップ校。
今回の合格者は社会人の方です。既に10年以上の就業経験があります。今回合格した大学院では、「マネジメント=Management」を専攻する予定です。学部のGPAは3.2前後。このプログラムに出願した理由は、組織の効率的な経営を勉強するためです。
この方は、国内外の大企業、中小ベンチャー企業で働いてきた経験があり、起業の経験もあります。その中で、組織のあり方について、様々感じることがあったようです。そして、将来的にやりたい仕事は、ファームのマネジメントと考え始めたようです。
ビジネススクールで勉強できることは様々あります。Marketing, Management, Finance, Insurance, Risk Management, Accounting, Property, Intellectual Property等。そうした中、なぜマネジメント=Managementを選んだのかというと、ぶれない組織を作ることが一番重要だと感じたからです。
「ぶれない組織」というのは曖昧な言い方かもしれませんが、彼が感じた問題ある組織は以下のようなものです;
1.大企業:マネジメント(=経営陣)と社員の心が離れている
社員は、あくまでマネジメントの駒でしかなく、経営陣は「社員を育てる」というよりは、「社員を使う」ことを優先する。その社員のキャリアパス等は特に考えてなく、会社のために駒になればよい。社員ができないこと、理解できないこと等も分からない。経営陣は社員がどう思うかよりも、社員がどう動くかしか考えてない。そのため、しっかりした考え方の社員は辞めていってしまう。残るのは駒として使える社員のみ。
2.ベンチャー企業or中小企業:経営陣の考え方がコロコロコロコロ変わる
勢いのあるベンチャー企業というのは、起業してから一人の強いリーダーシップにより機能している場合があります。そうすると、そのリーダーが引っ張って行く必要があるのですが、日本のベンチャー企業で見られるのが、そのリーダーがある分野においてのみ、優れており、その仕事で起業して成功するとある程度の大きさの会社になったとしても、その分野のスキルはずば抜けているかもしれませんが、自分とは違うスキルセットを持っている人間、もしくは、自分が得意な分野が、苦手としている人間の気持ちが分からない。そして、その状態のまま、直感にまかせて会社経営しようとするので、社員からはコロコロコロコロ方針•方向が変わり、振り回されているようにしか見えない
1に関してですが、この方が今いる会社は、大企業ですが、一人一人のキャリアパスを考えているシステムが整っているようです。上司との1対1の30分ミーティングというのが、2週間に一度あり、その中で、将来的にどのような仕事をしたいのか、どういうキャリアパスで進んで行きたいのかを話す時間を取っていることです。会社都合だけで、社員を配置するのではなく、社員の希望と会社の方向性がずれないように、様々な社内プログラムや制度で調整しているようです。外資系の会社なのに、社員の平均就業期間は10年以上のようです(通常、外資系コンサルや金融では3~5年で、転職することにより、キャリアアップしていく人が多い)。
2に関してですが、この方は現在大企業勤務の傍ら、自分のビジネスも持っています。そして、この方が今まで見てきたベンチャー企業等は、ある特定の分野で優れた人間が、「俺にできるから、他の奴もできるはず」という感じでの人のマネジメントしかしてない組織が多いとのことでした。例えば、外資系金融などで勤務した人で、比較的、若い内から高収入になりやすい営業やトレーダー等で成功し、起業資金を貯めた後に、その資金をもって、自分でビジネスをやる人がいます。
ところが、こういう人は営業やトレーディングがずば抜けて優れている人が多いのですが、自分よりできない人の気持ちが分からない場合が多いです。プロ野球選手とかでも、選手時代は輝かしい成績を出していても、監督になった瞬間全くだめ監督というのもよくいますが、それと同じようなものです。そして、ついていけない社員がやめていく。社員はマネジメントがなってないからやめていっているのに、経営者は「根性ない奴だ」という解釈しかできない。そういう組織を見てきたので、自分のビジネスでは、立上げ当初から「ファーム•マネジメント」を意識し、ぶれない経営をしているようです。
そして、最終的な目標は、大企業のマネジメントポジションにつくことか、それとも起業したものを成功させることなのか、どちらかという訳ではなく、両方でマネジメントしていくということです。この方の中では、よくある「起業vs企業」の二元論というのは、意味がなく、両方できる人間になりたいと思っており、大企業でマネジメントレベルに上がって行くことと、自分で始めた事業を大きくしていくことの両方で上に上がって行こうと考えているようです。
組織の中で一番重要な要素と考えるマネジメント機能を第一に意識して、ぶれない経営を、現在ご自身が身を置いている二つの組織(企業と起業)で、今から10年位かけてかためていくつもりのようです。
そして、大学院を今回受験したのも、世界のトップスクールで行われている教育を受けることにより、さらに自分自身を高めて行く目的のようです。
こうした話を書くと、「理論と現場のビジネスは違う。所詮ビジネススクールは教科書」という人もいるかもしれません。確かにそうだと思います。
歴史の話で二つあげますと、司馬遷の史記に出てくる戦国時代の趙vs秦の「長平の戦い」で趙の大将になった趙括は、兵法書を丸暗記して、応用せず兵法通りに動いたため、40万の軍勢を一気に失い敗戦しました。「丸暗記するだけで、その応用を知らない」という例として後世に語られています。もっと有名な所ですと、「泣いて馬謖を斬る」の故事成語等もそうですね。
しかし、この方はそうした心配はないと思います。おそらく、頭でっかちのBook Smartになることはなく、理論を応用した経営を企業と起業の両方でできると思います。
小さい組織にいても、大きい組織にいても、普段から組織の問題点はなんなのかを常に考え、大学院で学んだことも組織経営に生かせることと思います。1や2の例にあるような経営陣にはならないように心がけているようです。
どのように応用していくか楽しみです。今シーズンの出願対策講座でも、是非、色々話してもらいましょう!