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ツアー2日目(12/9)から、深センのメイカー関連企業や施設の見学をしてまわりました。朝、ホテルのロビーに集合して、バスを貸し切って見学先の会社にGO!
最初に訪問したseeedstudioは、設計、製造、販売を行っている中国の企業です。開発者向けの電子モジュールやキットの開発、基板の製造や樹脂・金属パーツの加工・製造、そのほか他メーカーの製品を代理販売したりしています。事務所があるビルにはマーケティング・総務部門、調達部門、R&D部門、製造部門が同居していました。日本のメイカーと関わりのあるところでは、個人で作ったロボットとして有名なRAPIROの中国での販売をseeedが請け負っているとのことです。
「ドリーマーからハードウェアメーカまで」。seeedはアイデアのみのドリーマー(夢想家)から、量産を行うハードウェアメーカーまで全てのレイヤーのメイカーに対してサービスや製品を提供しています。アイデアだけでお金も技術もない人をドリーマーと呼ぶところがなかなか秀逸。seeedはプロトタイピング~量産~販売まで相談に乗ってくれるとのことなのですが、やはり個人~少人規模メイカーの小ロット生産の相談に乗ってくれることが、大きな特徴と言えるでしょう。
通常、量産を行っている工場は小ロットの生産を依頼しても相手にしてくれません。1000個程度の小ロットだろうが数万数十万単位の大ロットだろうが、工場側の準備の手間は大きくかわらないので、小ロットの生産では効率が悪いからです。しかし深センにはgoogleに登録されているだけでも10000以上の工場があり、急に生産量を減らされてしまった、生産品の切り替え時など、どこかに余剰が存在します。seeedはそれを上手く利用して、少量生産に対応しているとのことでした。ネット上では知りえない人脈など、深センのインフラを上手く活かしていることが製造に関するseeedの強みの1つと言っていいと思います。
生産ラインでは、請け負った製品の製造を行っているようでした。ここは日本のメーカーと比較すると品質についての考え方がかなり違うようで、ゴミやほこり、静電対策等は十分にとられてなさそうでした。日本の製品だと、製品の箱のなかに髪の毛が1本入っていただけでも大問題になります。そのため、組み立てラインでも作業服・帽子の着用はあたり前で、入口でエアシャワーを浴びてホコリを落とす場合もありますが、seeedの組立ラインでは外部の僕等人間がそのままの格好で入って、製品に手を触れたりしても特に注意されないという状態でした。
日本のような品質を求めると、設備や作業手順も増え、教育にも時間がかかるためコストに跳ね返ります。品質は落として、スピードとコストをとるという方針なのかもしれませんね。不良品が出たら交換で。実際、seeedの基板製造サービスは日本にあるサービスに比べてかなり安いです。
生産ラインの見学後、R&D部門を見せてもらいました。キットやモジュールの開発が彼ら自身の主な製品ということで、それらを使った作品が廊下に飾ってありました。工作室には、CNCや3Dプリンタなどの各種工作機械が設置されており、試作品の試験なども行っていて、これらの部屋も自由に見学させてくれました。
seeedは単に製造だけでなく、Rapiroのように中国での販売代行のみ行ったり、時に中国内でのパテントガードの支援もしてくれたりと、協業の体制についても柔軟にしてくれるようです。仕事のやり方に日本と異なるものがあったり、エンドユーザー向けの製造については品質の問題があったりするものの、特に個人やスタートアップのメイカーにとって小ロットの生産に応じてくれたり、技術・ビジネス面のアドバイスをしてくれるのはとても貴重だと思います。
しかし最も印象に残ったのは、平日の業務中に30人近い人数で押しかけていったのにも関わらず、嫌な顔一つせず、オフィスも製造・開発現場も自由に写真撮影させてくれるオープンさ!これがオープンソースハードウェア企業を標榜し、製品の設計情報を公開している彼らの姿勢なのだ!と、社員の多くが20代で構成され、服装もオフィスもオシャレな彼らに新時代の風を感じずにはいられませんでした。
その4につづく
※他のツアー参加者が書いたブログはこちらから
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