そんな状態になることも想定できたが、それでも少し意外な展開になった。
讃岐も金沢も守備的な構えから試合を始めていた。
少し面白かったのは金沢。
19位の讃岐に対して、自分たちのやり方を少し変えて臨んできた。
前節の金沢は、中央からやや左サイドで3CBと2VOでビルドアップを開始して相手を引き寄せておいてVOを経由して逆サイドで待機させている右WBの小島雅也へと展開し、小島がフリーな状態でクロスを上げやすい状況を作っていく。
しかし讃岐戦ではそんな状況にはなかなかならなかった。
5-4-1で構えて縦に速いカウンターを狙っているように見えた。
一方の讃岐は思いがけずボールを握らせてもらえる場面が多かった。
これまでの讃岐なら、守りを固める相手の周囲を横パス、横パス、バックパス…みたいな、まるで怖さのない時間帯が続くのが常だったが、この日はそうでもなかった。
うまくパスを繋いでいた。
練習の成果なのか、リーグ序盤のパスサッカーよりも精度が上がっているように感じられた。
ズッドォォォーーーン!!
5分、こぼれ球に反応してミドルシュートをぶっ放したのは奈良坂巧!
金沢のGK上田樹の正面だったが強烈なミドルシュートだった。
187㎝の長身DF・奈良坂巧だけに、未だ誕生していないJ初ゴールはヘディングだろうと誰もが思っているだろう。
でも案外と足で決めてくるのかもな…と思わせる良いシュートだった。
この試合は観戦記泣かせの展開だった。
互いに後方からそれなりに繋いでゴールに迫りながらも相手の守備の前にインターセプトされていく。
なかなかシュートシーンに辿り着けない。
緊迫した展開ではあったが、それを言語化するのは至難の業。
讃岐サイドの話でいけば、攻撃面では2VOが良かったと思う。
敢えて選んだのか、長谷川隼がベンチ外だったので必然的にそうなったのか。
そこはよくわからなかったが前川大河と吉田陣平はよくボールも奪えていたし、縦に刺す意識も高かったと思う。技術のある2選手らしいプレーだった。
守備面では内田瑞己と宗近慧だったか。
対人守備の強さは際立っていたように思う。
しかしこの序盤、シュートまで持っていくことができていたのは金沢な方だった。
20分、前川大河の縦パスを引っかけた金沢はこぼれ球を梶浦勇輝が回収して縦パスをマリソンに刺す!
マリソンはさすがのキープ力を見せつけながら梶浦へスルーパスを放つ。
これが通った!
梶浦はテクニカルなドリブルで讃岐守備陣2名を振り切りシュートにいく!
しかしここに宗近慧が身体を投げ出し、素晴らしいシュートブロックでこれを阻んだ。
2本のコーナーキック(CK)を耐えた讃岐は反撃に出たいところ。
23分に右サイド中央あたりからスローインを得て赤星魁麻へスロー。ここで相手守備陣と混戦となり、こぼれ球を内田瑞己が拾って赤星魁麻にスルーパス!
赤星魁麻が抜け出す!!
………かと思われたが井上竜太のカバーが間に合いシュートにいかせてもらえなかった。
讃岐はこんなシーンが何度かあった。
この日は飲水タイムが設けられた。
飲水タイム明け、金沢は最終ラインからボールを繋ぎ、様子を窺う。
中央のCB山本義道からのパスを右WBの小島雅也が受ける。小島は梶浦へパスを出す。
梶浦からマリソンへスルーパスが出る。
これはオフサイド…
………はない?オフサイドはないの!?
マリソンが抜け出す!
そのままシュート!!
ここはなんとか奈良坂巧のシュートブロックが間に合ったか、CKとなる。
1本目のキックは赤星がヘッドで再びCKに逃れる。
同じく右からのCKを同じくキッカーを務めた大山啓輔が蹴る。
金沢は総得点29点のうち10得点がセットプレーから。長身CBも満遍なく得点している。
非常に危険なセットプレーだ。
大山の蹴ったボールは伸びて…ファーサイド!
そこにはドフリーの小島雅也だっ!!
強烈なヘディングシュートぉ!!
これを横っ飛びで今村勇介が食い止める!
しかしボールがこぼれている!
詰めてきたのは梶浦勇輝だ!
シュートぉーーーっ!!
しかし!
これも体勢を崩しながら懸命に今村が守るっ!!
こぼれたボールを奪い合いながら…ボールはゴールキックとなった。
おおおぉぉぉ…
どよめく場内。
そしてその奮闘を讃えるように今村勇介のチャントが響き渡る。
いーまむーら オーオー
今村勇介ーっ
オレらのゴール
守れよ勇介ーっ!
DFやGKの選手チャントが試合中に流れる展開は好ましくない展開。
でも、いいプレーを選手チャントで讃えるのはとても良い!
さぁ、反撃しよう!
<つづく>
※読みやすさを考慮して、選手名は敬称略としました。ご了承ください。
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