「走れ歌謡曲」と八代亜紀さん | ざんくのリアル小説

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「一人じゃないんだ日野ファミリー」

『日野ミッドナイトグラフィティ 走れ!歌謡曲』。

 

おいらが大学受験の時に・・・

高校生の頃だね。

 

SONYのスカイセンサーという

高性能なラジオで

深夜放送を聴きまくっていた頃。

 

セイヤングやオールナイトニッポン、

パックインミュージックの終わった午前3時から始まる

文化放送の「走れ歌謡曲」を聴くのが

毎日の楽しみであった。

1968年11月~2021年3月まで放送されていた長寿番組である。

 

主に、深夜、全国を走っている

長距離ドライバーが聴いていて、

ハガキはもちろんなのだが

各地のドライブインから

公衆電話でメッセージやリクエストをかけてくる。

 

昭和の時代、

一番リクエストが多かったのが

八代亜紀さんの曲だったと思う。

菅原文太&愛川欽也さん主演の大人気映画

「トラック野郎」シリーズの影響もあったと感じる。

携帯電話がない時代なので、

車内で聴くラジオとカセットテープの音楽が

大切な(相棒)だった。

 

おいら、

1970年頃放送された

全日本歌謡選手権という流行歌歌手の

オーディション番組を欠かさず見ていた。

新人はもちろんだけど、

芽の出ないプロ歌手が再起をかけて出場する、

アイドル発掘「スター誕生」や「君こそスターだ」とは

全くコンセプトの違う

「ここで落ちたら人生終わり!」みたいな

熾烈極まりないオーディション番組。

審査委員の淡谷のり子先生の厳しさは一際であった。

他の審査員が歌のうまさを絶賛していた五木ひろしさんに

「あなたの歌は下品で、嫌い!」というような感じで

はっきりと言っていた。

 

このオーディションからメジャーデビューし

一躍スターダムにのしあがった八代亜紀さん。

 

デビュー前

バスガイドをしていたの経験の成果か、

長距離ドライバーの心を掴んだ。

 

昭和の演歌は

薄幸な女の情念、心情をテーマにした作品が多い。

特に、不倫関係でドツボにハマっていく

水商売の女性が主役に描かれる。

歌手本人の性格は無視され、

時代が望む(男に尽くすけなげな女)という

都合の良い歌詞の曲がよく売れた時代。

おもしろい時代であるが、

そういう時代のニーズを作家と一緒に掴み、

バスガイドの後の銀座のクラブ歌手という経験も

十分に生かされたのだと思う。

作家人の「阿久悠&浜圭介」先生たちも、

一番脂が乗っていた時期でもある。

 

バラエティで拝見した八代亜紀さんは

実にあっけらかんとして

明るい方であった。

その、実生活とスター歌手とのバランスは

もう一つの才能「絵画」が保ってくれていたのであろう。

テレビや雑誌でしか見たことはないが、

一貫して写実的な中に優しさと、夢と、希望が溢れている。

ブルーカラーがお好きであったようだ。

 

昨夜、八代亜紀さんの歌声を子守唄に

寝ようと思ったら、

あったはずのCDやレコードが見つからない。

う〜ん💦

やっと見つかったのはカセットテープだけであった。

デッキがないよ😭

 

晩年、クラブ歌手時代のレパートリーの広さもあって

音楽家小西康陽さんによってプロデュースされた

2012年に発売されたジャズアルバム『夜のアルバム』は

世界発売とともに、その年の日本のジャズアルバムセールスの

1位に輝いた。

ジャズシンガーという内容では無かったけれど、

ジャズというのは自由な音楽、心で感じるもの。

ハイエンドオーディオ雑誌の推薦版になっていたのも

大きいだろうね。

 

 

ちょうど少し大きめの余震で揺れた直後の

ニュース速報。

相次ぐ青春時代のスターの予期せぬ訃報に、

寂しさが募るばかりだよ。