11月6日、奈良。




お昼近く、晴れ渡ってきました。
薬師寺にお参りします。

空が青い。



まずはこちらでおきよめ。
休ヶ岡八幡宮。


だーれも居なくて、せいせいしたお宮さん。



この社殿の左奥を抜けていくと、、

塔が。
相輪が二つ、見えます。




右、東塔、左、西塔。



金堂。
裳階をつけた美しい姿です。



朱の色が褪せた東塔。



この色褪せた、寧ろ渋い美しさの東塔以外は、全て災害、兵火によって消失していたのでした。

昭和の後半、堂塔の再建を発願した薬師寺は、百万巻のお写経勧進を始めます。
広く民間にお写経を募り、納経して貰うことによって資金を集め、それで全てを賄い、金堂、西塔、回廊など諸堂を再建したのでした。



NHKの、プロジェクトX、あれで、この金堂再建の様子を放映していましたね?
棟梁は法隆寺宮大工の西岡常一でした。
(私は彼の、「木のいのち木のこころ」という作品を読んだことがありますが、いやー、凄い方です。)
この再建は、1300年前の様式を、一からではなく、ゼロから手探りで再現するという、不可能への挑戦でした。

そして、西塔も、西岡によって、東塔に倣って再建されます。

私が中学、高校の修学旅行で訪れたとき、この西塔の基壇のあたりの窪みの水溜まりに、丁度東塔の相輪が映っていたものでした。
(金堂がどうだったかは全く覚えていない(笑))


丁度、西塔の内陣が特別公開中で、中に入ることができました。


例えば京都の東寺などは、五重塔の内部は大日如来を初めとした仏像群が心柱を取り巻く訳ですが、この三重塔の内部は、心柱を取り囲むレリーフの劇場のような設えになっています。
釈迦の後半生をブロンズの群像で、ぐるりと一周して説明する形になっています。


ただひとり、悠久の時を越えて今もそこにある東塔。

 


東塔と西塔の真ん中奥に位置する、金堂。
ご本尊、薬師さまと、日光、月光両菩薩がおわします。



外からちらっと見えます。
勿論、中へ入ってお参りしました。




鴟尾が輝いています。




食堂は、平成29年に落慶したばかりということでした。
外側は白鳳建築のようなつくりですが、内部は、コンサートが出来そうな、そんなモダンなつくりです。
ここには、中国から日本、飛鳥から平城京薬師寺まで、仏教が伝来する様子が、壁画によってぐるりと描かれていました。 




薬師寺は広いので、食堂を一番奥にした白鳳伽藍を出て、一旦道路を渡り、玄奘三蔵院伽藍へ入っていきます。

玄奘三蔵院伽藍の塀脇のポスト。
風景に溶け込むように、奈良の努力がわかります。



玄奘塔。
晴れた青空に、なんて綺麗なのでしょう。



「不東」と書いてあります。



遠い遠い西の国、天竺まで、経典を貰い受けに行く旅、どんなに厳しい苦難の旅であっても、その志を全うするまでは、決して東には向かうまい。
玄奘三蔵の強い決意のことばです。

大唐西域壁画殿には、その名の通り、「大唐西域壁画」が奉納されています。
平山郁夫による、玄奘三蔵の「不東」の旅のシルクロードが描かれています。
私は、平山郁夫の絵が好きで、彼のラピスラズリの青に凄く惹かれているのですが、ここにその色の心が描かれていました。
平山郁夫は広島の画家ですが、青は瀬戸内の海の色と聞きます。
被爆体験のある彼は、この深い青に、魂の平安、その祈りを込めたのではないでしょうか。

この壁画を見たのは2回目ですが、今回も、心に響くものがありました。

ここから、食堂に描かれていた壁画へ、仏教伝来のストーリーが繋がっていくのですね。






相変わらず、じっくり鑑賞ペース(のんびり、のろのろ、とはあえて言いませんがキラキラ)、前日はお寺二つ、このペースだとこの日も…にやり汗