観るところが違うから。
『ボーッと観る会』、昼の部。
最後のシェアタイム。
観じたこと、何でもOK。
アメリカのAさんは?
「先ほど、保育園が夏休みに入ったと。」
ええ、9月までゆっくりされてるんですよね?
「去年までは、ゆっくりできませんでした。」
ほー。
「新学期に向けて、あれもこれもと。」
自分で仕事をつくってたんですね?
「ええ、何もせず休むことができなかったんです。」
日本人あるある。
罪悪感が生じるんですよね。
「けど、今年は。」
今年は?
「何もせず、過ごせてるんです。」
あら。
「人生初です。」
それはまた。
何かきっかけが?
「実は、娘なんです。」
ほー、お嬢さんが。
たしか高校生?
「はい、16歳です。」
伊代ちゃんもびっくり。
シュビドゥバなお年頃。
「私、長男には大らかなんですが。」
ですが?
「長女は、気になって仕方ないんです。」
ほー。
「すること、なすこと。」
「小言ばかり言ってしまいます。」
あら。
お嬢さんにだけ?
「そうなんです。」
「それが自分でも不思議で。」
なるほど。
過去記事のMさんを思い出すなあ~。
「自分でも考えてみたんです。」
どうでした?
「長男は、大胆すぎるぐらい活発なんです。」
ですよね。
お庭にハーフパイプ自作しちゃうぐらいですから。
過去記事でも。
「友達も多く、チャレンジ精神旺盛で。」
お嬢さんは?
「真逆なんです。」
ほー。
「内向的で、何もしないんです。」
あら。
「16歳ですよ。」
「家でじっとしてるなんて。」
「信じられません。」
ハイティーンブギも踊らなければ。
哀愁デートの気配もない。
センチメンタルジャーニーにも出かけない。
ギンギラギンのかけらもない。
そいつがお嬢さんのやり方。
「『何もしない』が許せない私だけに。」
だけに?
「十代で健康なのに。」
「何もしないで家にいるなら。」
「せめて部屋を片付けなさいとか。」
言っちゃいたくなりますね。
「二度と戻らない時間なのに。」
「もったいないでしょって。」
「読書しなさいとか、料理してみてはとか。」
充実した青春を送ってほしかったんですね。
「けど、何を言っても、見事にスルーで。」
わかり合えないと?
「『言い過ぎては、後悔』の繰り返しで。」
「どう向き合ったら、いいのかって。」
「わが子なのに苦手意識が。」
愛しい存在だけに苦しいですよね。
「その娘に言われたんです。」
何と?
「『マミーは、きれいだね』って。」
あら。
「は?ってかんじで。」
いきなり言われるとビビりますね。
「『マミーの顔に似たかった』って。」
Aさんに似てないんですか。
ってことは、ご主人に?
「ええ、そっくりです。」
「わが子ながら、美人かと。」
「私はお世辞にも美人とは言えませんが。」
素直に喜べなかったんですね。
「最初は、おだてられてるのかと。」
「もしくは、バカにされてるって。」
けど、本気だったんですね。
「どうやら魂レベルでの話みたいで。」
観じられてるんですね。
「見える」だけでなく、「見えない」も。
「私は心も顔も褒められるレベルではないのに。」
「小言ばかり言う私をそう思ってくれてるなんて。」
嬉しいじゃないですか。
「戸惑いしかなかったんですが。」
ですが?
「娘は、表面的なことしか観えていないと。」
「けど、そんな観方ができるんだなって。」
意識が外に向かないだけで。
内にある大切なモノを観じられてるんですね。
「時間の使い方や、幸せとはこうあるべきとか。」
「ジャッジして色々縛ってたのは、私のほうでした。」
まさに、お嬢さんが写し鏡に。
「スケジュール帳を埋めないと気が済まなかったですし。」
「『働かざる者、食うべからず』的な思い込みがありました。」
「それがモチベーションにもなりましたし。」
転機でしたね。
「だからこそ、いま、何もしないでいられるのかも。」
お嬢さんへの苦手意識も?
「おかげさまで、和らぎました。」
それは、何より。
であれば、これまでのわだかまり。
必然だったとも。
ピピッときたのが、こちら。
「〇〇様との対話 10の相談事例」
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> 素晴らしい運転手とは、
> 技術の卓越した人ではありません。
> 安全な運転を心がけていること、
> 日々クルマのメンテナンスを欠かさないこと、
> 精神状態を運転に反映させず、
> いつも落ち着いて運転をするように
> 心がけていること、
> こうした心の在り方、
> 意識が素晴らしいのです。
> そしてこのような意識は、
> 乗っているクルマがどんな車種の人であっても、
> 真似することはできます。
> 意識は身体能力の差異に左右されないからです。
プリウスと軽トラでは、
性能も得手不得手も違う。
しかし、運転手が人間であることは同じ。
同じ車でも運転の仕方は、人それぞれ。
荒い運転もあれば、丁寧な運転も。
そこに人が映し出される。
お嬢さんが「きれい」と感じたのは、
Aさんの運転。
肉体という車のね。
車の性能を比較することもできるが、
それだけでは寂しい。
プリウスに農機具は詰めないし、
軽トラは充電できない。
そこは、比べても仕方ない。
そういうもんだから。
生まれ持った個性として。
さて、あなたは。
これからの人生。
どんな運転を魅せますか?