なぜ、あの人は、肩が痛くて眠れないのか? | まなブログ

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脈の変化でカラダの声を聴く『脈ナビ』による施術、セミナーをご案内しています。
大阪府堺市で鍼灸院を開業しています。
日々の気づきをつづります。

窓際で寝てるから。

 

 

 

コンコン。

 

 

「朝から、ごめんな。」

 

 

ん?

 

7時5分。

 

誰だろ?

 

門はまだ閉めてる。

なのに、庭に入って来るのは?

 

パジャマ姿のまま、ドアを。

 

・・・あー、Mさん。

 

向かいのおじさん。

70代後半。

 

よく野菜をくれる。

食べきれないほどに。

 

どうしました?

 

 

「右肩が痛くてな。」

「寝られへんかってん。」

 

 

あら。

いつから?

 

 

「昨日夜から。」

 

 

ほー。

 

 

「横になってから、疼くように痛みだして。」

 

 

ふむふむ。

 

 

「激痛になっては、マシになって。」

 

 

波が周期的に?

 

 

「あまりにも痛くて、朝まで一睡もできへんかった。」

 

 

それは、ツラい。

 

 

「よっぽど夜中にお願いしようかと思ってんけど。」

 

 

朝まで待ってくれたわけですね。

 

 

「早いうちから、ごめんな。」

 

 

いえいえ、じゃあ、早速。

施術ルームに。

 

 

「じゃあ、こちらの椅子に。」

 

 

最近ね。

もう使わないの。

施術ベッド。

 

 

右肩ですよね。

どんな動作をすれば痛いですか?

 

 

「いや、動かさなくても痛いんや。」

「動かしても、これ以上腕が挙がらんし。」

 

 

なるほど。

五十肩ぐらいの可動域。

 

これまで同じような症状には?

 

 

「右肩は、初めてやな。」

 

 

ほー。

 

 

「肩甲骨の内側あたりは、あるけど。」

 

 

過去に病院には?

 

 

「整形外科に行ったけど。」

 

 

けど?

 

 

「レントゲンに異常なし。」

「電気あてて、湿布もらって。」

「ああ、痛み止めも。」

 

 

なるほど。

そうだろうなあ~。

 

昨日の夜からですよね。

いつもと違うことは?

 

 

「いつもと違う・・・ああ。」

 

 

ああ?

 

 

「寝る場所、変えたわ。」

 

 

というと?

 

 

「暑いから窓際に。」

 

 

最近、真夏日を超える暑さ。

夜も蒸し暑い。

 

2階で寝起きされてるMさん。

窓全開で、お布団を窓際に。

冷房は、使いたくないと。

 

 

「ああ、やっぱり涼しいなって。」

 

 

風も入ってきますし。

2階だし。

 

しかも、昨晩から雨でしたよね。

 

 

「そうそう、寝る前あたりから、ポツポツと。」

 

 

気温が一気に下がりましたね。

 

 

「そやねん。最初は涼しかったのに。」

 

 

のに?

 

 

「途中から寒いぐらいあったわ。」

 

 

それでも、20度以上あったといえ。

昼間の30度からの20度。

相対的に寒く感じます。

 

 

さらに。

雨で湿度も急上昇。

 

 

外傷でも、運動痛でもない。

となれば?

 

冷えと湿度。

東洋医学でいう「寒邪」と「湿邪」。

 

 

試しに。

 

手のひらをこすり、Mさんの右肩に。

 

 

「うわー、あったかいわ~。」

 

 

寒邪の症状は、温めるとマシに。

 

湿邪は、じっとり同じ場所に。

痛みが周期的に。

「土」の波のようにね。

 

ちなみに、「風邪(ふうじゃ)」は、

患部があちこち移動します。

風っぽいよね。

 

 

反応からも、どんな邪気にやられたか?

ある程度、アタリがつきます。

 

で、邪気がわかると、経絡が。

 

寒邪なら、腎経。

湿邪なら、脾経。

 

反応が出ている経絡も想定されます。

五行色体表が役立ちます。

 

いちおう、知っておくと便利。

 

 

しかーし。

 

 

学んできた知識も。

いまのわたしは、使わない。

 

 

・・・ああ、施術後の説明用には使うかな。

 

 

納得してもらうためにね。

 

なぜ、こうなって?

これから、どうなるの?

 

知りたいよね。

不安だから。

 

正体がわからないとね。

よろしくない妄想がふくらむから。

 

 

東洋医学っぽい言葉を使うと。

なんか効いたような気がするし。

 

病は、気から。

 

その気になるの、大事。


 

いまは、直観。

 

Mさんの右肩を意識しながらも。

全体視野で広く観る。

右肩だけにフォーカスしない。

 

 

(どこに触れたらいい?)

 

 

自分に問う。

 

 

(・・・うん、ここか。)

 

 

気になる部位に触れる。

これを何度か繰り返す。

 

経絡の理論など、一切使わない。

 

ツボみたいな点もあれば。

手のひら全体で包む面の時も。

 

なぜ、この部位か?

なぜ、親指で押すのか?

なぜ、手のひらで包むのか?

 

一切、知らない。

知る必要もない。

ただそうしたいから、する。

 

お客さんにすれば。

いい加減なコト、この上なし。

 

 

私も最初はコワかった。

何の根拠もないのだから。

 

けど、このスタイルにしてから。

 

施術効果もあがり。

施術時間も短く。

施術ベッドも不要に。

 

 

しかも、共感できるの。

 

相手の痛みが軽減したか?

相手のカラダに気が流れたか?

 

自分の感覚として観じる。

「共感覚」ってやつかな。

 

 

私自身、特に修行もしてないので。

この「共感覚」は、誰にでも備わってる。

人類の初期設定としてね。

 

できないのはね。

どうしても根拠を求めてしまうから。

 

直観なんて、あやふやなもの。

そんなものにまかせられない。

 

見立てどおり、コントロールしたい。

その不安があるうちは、難しいかも。

 

思考から感覚に。

主役が代わらないとね。

 

 

・・・ああ、Mさんだったね。

 

 

患部である右肩を意識するとね。

左の「合谷(ごうこく)」が気になったの。

 

この施術スタイルにしてからね。

患部と対側にツボを取ることが多いなって。

 

鍼灸理論の手法に。

 

「巨刺(こし)」 → 左右

「道刺(どうし)」 → 上下

 

っていうのがあってね。

 

例えば、患部が右肩なら、左肩に治療点を取りなさい。

患部が下半身なら、上半身に治療点を取りなさい。

 

陰陽バランスを取る理論だね。

 

4,000年前のおじちゃんもね。

最初は、直観でやってたのかもね。

経験としての事例を重ねるうち、

共通項として法則を見出していった。

 

だって、最初から法則があるわけじゃないものね。

 

 

最近はね。

直観に従って施術した後でね。

 

 

(・・・ああ、あの理論って、これか。)

 

 

後づけで、既存の理論とつながったり。

 

こういう体験を重ねるとね。

このスタイルでイイよねって。

さらに、思えるよね。

 

 

はい、Mさんの左手の合谷。

どれくらいの強さで押すかもお任せ。

直観にね。

 

これまでは、遠慮なく、押す。

 

 

「うわーっ」

 

 

叫ぶMさん。

 

痛いだろうなあ~。

合谷って、武道でも急所だし。

しかも、邪気がたまりやすいから。

 

痛いのは、邪気に触れるから。

 

丹田入れてるから、全体圧。

力で押すと、局所圧。

 

「痛い」にも種類がある。

 

局所圧は、効かない。

ホントに痛いだけ。

 

全体圧は、どこを押されても

全身に響く。

 

ほとんど1分以内に痛みが消える。

邪気が抜けた証拠。

 

 

「あれ・・・痛くなくなったわ。」

 

 

はい、わかってますよ。

もう少し続けますね。

 

合谷だけでなく。

腕全体に気が通る。

すると、Mさんの左腕が軽くなる。

 

なるような気がするってこと。

 

気の世界は、主観の世界だからね。

それでいいの。

 

実際、Mさんも腕が軽くなるから、不思議。

 

 

・・・はい、左腕、軽くなりましたよね?

 

 

「うん、よお腕回るわ。」

 

 

で、右肩はどうですか?

 

 

「あれ・・・マシになってる。」

 

 

ですね。

 

最初の痛みを「10」としたら?

 

 

「6か7くらいかな。」

 

 

ですね。

私の感覚とも一致。

 

 

じゃあ、次は、どこかな?

 

もう一度、自分に問う。

 

 

・・・左の「髀関(ひかん)」か。

 

 

股関節あたりの胃経のツボね。

 

 

はい、丹田入れて、親指で。

 

 

「うわーっ」

 

 

はい、やっぱり痛いね。

けど、合谷よりマシだな。

 

 

「・・・あっ、もうなくなった。」

 

 

合谷で全身の気がめぐってるから。

痛みもマシだし、抜けるのも早い。

30秒ぐらい。

 

 

はい、Mさん。

右肩の痛みは?

 

 

「あっ、もうほとんど痛くないわ。」

 

 

うーん、けど、まだ1か2は残ってますね。

 

Mさんの右肩に意識を向けるとね。

スッキリまでいかない。

少しモヤッと。

 

私の感覚ね。

 

 

「いや、寝られへん時の痛みに比べたら。」

「治ったも同じやわ。」

 

 

いえいえ、治ってませんから。

また、冷やしたら、疼きますよ。

 

今日は、昼過ぎまで雨ですし。

再発しやすいです。

 

 

「ぬくめたら、ええんやな?」

 

 

そうそう、温めてください。

蒸しタオルでも何でもいいです。

 

 

・・・じゃあ、最後に立ってもらえすか。

 

 

腰が鉄板のように固い。

ああ、肩にも板が。

 

手のひらで触れて、ボー観。

 

瞑想状態で「我」が薄くなるほどにね。

勝手に気がめぐります。

 

私も、Mさんも。

 

だから、施術するとね。

私も元気になるの。

 

一方的に与える行為ではない。

気の循環だから。

 

腰と肩がほぐれるとね。

全身に気がめぐります。

 

触れるか触れないかぐらいのタッチだけどね。

Mさんのカラダがゆらゆら揺れ出します。

まるで、空気が入った等身大の人形のように。

 

はい、これで祝開通。

 

今日のところは、このあたりで。

 

 

「もう一段、肩が軽くなったわ。」

 

 

ですよね。

 

けど、治ってませんからね。

今日は、冷やさず、おとなしくされてください。

 

 

「ありがと。」

「ほんま助かったわ。」

 

 

はーい、お大事に。

 

 

夕方、帰宅すると。

玄関の前に、カゴ。

食べきれないほどのトマトが。

 

好きだけど。

 

さて、どこに配るか。

 

 

本州も梅雨入り。

 

晴れ間は、真夏。

夜に雨でも降ると、相対的な冷えが。

 

湿度もあがると、寒邪と湿邪が。

気力が落ちると、やられちゃいます。

Mさんみたいな「痺症(ひしょう)」に。

 

 

蒸し暑いけど。

窓開けて寝るのも、ご注意を。

 

ああ、過食すると、湿邪にやられやすいですよ。

梅雨どきは、特に。


 

久しぶりの鍼灸師っぽい記事。

たまには、イイよね。

 

 

 

今日は、ここまで。

また、明日。

 

 

 

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