うつびより1(うつの始まり) | うつ病 闘病記

うつ病 闘病記

34歳でうつ病を発症し、壮絶なシングルマザー年月を経て、うつ病を繰り返しています。その中で、うつ病の体験を元にうつから解放される為に何かに気付いたり、生きる糧になればと願っております。


窓際の前から3番目。


力なく顔を伏せて、身体ごと机の上に
預けるような形で丸くなっていた。


4-2と表示されている教室の中には
数十人の子どもがひしめき合っていた。


私には、子ども達の会話としてではなく、賑やかしい騒音として
耳の奥に詰まるような異物で、脳まで到達するような勢いの圧迫感だった。


思わず両耳を両手で塞ぐ。



数分経った頃、ある人物が教室に入って来た。
色白の丸い顔に四角い黒ぶち眼鏡をかけ、髪の毛は、耳下まで緩くパーマをかけていた。
色白が一層引き立つ白いブラウスに、紺色のタイトスカートを履いた中年の女教師が、腕の脇に教科書と大きな定規を挟んで、訝しげに教室に入って来たのだった。



ガラガラガラ


『おはようございます』


大きな声が教室内に響く中、その賑やかしい騒音の異物が、一瞬にして消えた。



ピリピリと張り詰めた空気が漂う。



まるで、押入れに隠れて息を潜めているかのような、静寂に包まれる。


『出席を取ります』


私が、全身の力を出して、身体を起こし、四角い黒ぶち眼鏡の奥の瞳を凝視することなく、背後の黒板を見据え、何とか、朝礼と言う儀式をやり過ごした。


そして


『授業を始めます』


終始、無表情な仮面を被ったような眉間に皺を寄せた教師が、淡々と進めて行く。


『今日は、〇〇ページから』


と言う頃には

窓から入る朝陽が眩しく、一気に机の上に上半身を委ねた。

『あぁ駄目だ』

『だるい』

『重い』

『しんどい』


私は、暗闇の中へと入って行った。


起き上がれない…。



話が耳に入って来ない…。


私と言う人間が砂のようにサラサラと流れ落ちていく


変わりに、『うつ』と言うしずく💧が私の体内に滴り初めていたのだった。




続く