Ψ(さい)のつづり -6ページ目
ピアノが弾けたらいいな
そう思っていたけれど
楽譜のとおり
押せればいいわけではない
石の上にも三年って
思っていたけれど
まじめにお付き合いして
三年経っても
ほとんど進歩しない
かたい
自分の
ピアノの音に
心底
がっかりしてしまった
近所迷惑だし
鳥さんや
ねこさんにも
騒音だし
もう
弾かない
そう決めて
三月たった
でも
下手っぴだって
なんとか
弾くことで
癒されていたんだなあ
また
弾いてもいいのかな
今度は
がちがちで
指が痛くなるような
弾き方ではなく
もっと肩の力を抜いて
またはじめよう

お日さまが元氣いっぱいな
真昼には
鳥たちはしばし休憩
セミはちょっと
火傷しそうな感じで
じりじりうたい
お日さまを
さらに盛り上げる
ねこは
夜に活躍するため
充電中
ああ
平和かな
平和だな
風鈴の音が
きこえる

ここは
ふかいなのか
毎日
毎日
おもいがけないものが
胞子で埋まっていき
やがて緑色に芽吹く
ずっとここにあった
古いダイニングテーブルも
ひのきの無垢材でつくってもらった棚も
掃っても
アルコールで
拭いても
この
原始のいきものを
一掃することはできない
だって
どんな空氣の中にも
目にはみえない形で
存在しているんだから
寒い季節の
お正月の鏡餅にだって
みかんにだって
すきあらば
喰らいつく
湿度や
温度があれば
こわいものなし
それは
もしかしたら
世界で
一番
強いいきものなのかもしれない

みんみんゼミが
うまれて
大きな声で
みんみんみん
きたきた
夏本番
夏休み
すいかに
入道雲に
麦わら帽子
夜になり
家の中に
突然
きたきた
クワガタ君
え
どこから入ったの
ここでいいの
昆虫ゼリーはないよ
明日までいたら
買ってくるね
朝にはいなくなっていて
どこからか
出ていったんだね
よかったよかった
昆虫ゼリーより
断然
無添加の
天然の木の蜜でしょ
そりゃそうだ
いつでも出入り自由
またいらっしゃい

わたしはころもを
脱ぎ捨てて
違うころもを
まとっても
自分だって
わかるけれど
他の人にも
わたしだと
わかってもらえるだろうか
だって
にゃんこやわんこの
色が
かわってしまったら
きっと
どのにゃんこやわんこか
わからなくなってしまうから
だから
当たり前に
まとってしまっている
ころもや
髪型や
話し方
姿勢
注文するもの
などなどを
取り替えてみたら
きっとおもしろいことが
待っている
ころもは
お金を出したり
お裁縫でつくったりできる
髪型は思い切って
変えたつもりが
いつもマイナーチェンジの
自己満足だから
大胆に切ってしまおう
そのうちまたのびるし
平安時代ではないんだから
誰も出家したとは
思わないだろう
話し方や姿勢は
美しくして
お店選びも
注文するものも
違うところ
違う料理を
いただいてみる
だから
もう
ええかっこしいと
ほんわかな
わたしは
お休みしよう
案外
これで
古い
自分に
おさらば
できたら
もっと
楽しい


