Ψ(さい)のつづり -56ページ目
最後の炎を燃やして
夏が
秋に
主役の座を
譲る
たくさんいた蚊は
まだまだいるけれど
たくさんいた
蜂は少しずつ
活動を減らして
引退の準備をしている
季節のサイクルを
何度も
何度も
体験できる
人間は
なんて
幸せな
種族なんだろう
こうやって
巡る季節を
もっともっと長い間
廻ている
木々は
どっしりと
落ち着いていて
気候の変動に
一喜一憂したりしない
太陽は
休むことなく
世を照らし
夜には
月が日々
形を変えて
楽しませてくれるし
金星や木星のような惑星や
もっと遠くの
恒星の星々が
きちんと
姿をみせてくれるのだから
なんの心配もなければ
孤独もない
せっかく
動き回ることができる
足が与えられているのに
それがために
じっとできないのなら
それがために
思考が定まらないのなら
それは
葦ではなく
ただの
浮草

森を歩いていたら
思いっきり
顔丸ごと
蜘蛛の巣に
ひっかかった
あわてて
後ずさったから
頑丈な
巣は
あんまり
壊れなかったみたいだけど
蜘蛛ごと
巣を頭に
乗せちゃうところだった
ごめんごめん
ちゃんと前をみないとね
あなたたちは
最先端の糸と
編み方で
ぼんやりしている
虫がひっかかるように
つくっているんだから
そりゃあ
巨大な
顔がひっかかったら
驚くでしょうよ
ごめんごめん
そのあと
森を抜けて
人の世界に戻って
しばらくたったあと
頭にこつんと
何かが当たったような
衝撃があった
あれ
やっぱり蜘蛛をつれてきちゃったのかな
と思ったけれど
蜘蛛はやっぱりいなかった
不思議な衝撃は
その後も
何回かあって
それはきっと
ぼんやり
ぼやぼやは
厳禁
っていう
理解で
よろしいでしょうか
蜘蛛さん

10年ひと昔
というけれど
かつて知っていた場所へ
行くと
ことごとく
以前より
栄えていたり
美しくなっていたり
異臭を放つどぶ川だった水が
きれいになっていたりする
この國は
戦後に復興して
発展して
バブルがはじけたときに
おわったかにみえたけれど
それからも
たゆまず
休まず
そこからが
踏ん張りどころとばかりに
着々と進化
してきたことを知る
かつてのおもかげも
残しつつ
成長していくエネルギーは
どこからくるんだろう
世界を少しでも
良くしたいと願う
ひとりひとりの
想いが集まり
目に見える形を
成したのだろうか

地下鉄が
地上に出たり
もぐったりしてから
本格的に
地上に出ると
ゆうえんちが
あって
そこでは
所狭しと
ジェットコースターや
小さな観覧車が
ひしめき合い
まばゆい
非日常を
醸し出していた
こんなところ
と
冷ややかな一瞥をくれて
次の駅まで
進むと
わたしの
にくき
学校があった
もう昭和じゃなかったけれど
学校は嫌でも
行かなきゃいけないし
辞めちゃいけないものだった
何度も
辞めようとしたけれど
許されなかった
それは
わたし以外のだれかの
自慢の種だったから
人が
どんなに憧れる学校でも
自分が好きじゃなきゃ
意味がない
消え入りそうな自分で
もがき続けた
わたしに
久しぶりに
会いにいった
あのころ
あおのころの
苦しさや
憤りに
耐えてよかったんだよ
なんて
言うつもりはない
けれど
すべてが余すところなく
いまの
わたしを構成している
それは
すべてが
わたしの
愛してやまない
一部分になっているってこと
そういう風に
いまは
なったってこと
それから
ゆうえんちが
いまも変わらない光を
放っていることに
ほっとしたような
懐かしいような
気もちになれたってこと
それはいま
はっきりと
言えるんだ
そういう時が
いまあるのは
あのころが
あったからなんだよ
気休めにきこえるかもしれないけれど
ありがとう
本当に
ありがとう
愛しているよ
ずっとずっと

からすがなくから
起きましょう
からすは
なんとなく
お寝坊さんな
イメージだけど
朝も
きちんと
早起きです
かーかーと
からすが
呼ぶから
外をみたら
電柱のてっぺんで
待っていた
起きたか
起きた
お待たせしました
意外と早かったね
今日も
一日
よろしくね


