遠い世界にはねていけ

 

うさぎはわたしに

 

言いました

 

あなたじゃないから

 

ずっとうさぎ跳びではねられない

 

でも

 

スキップくらいなら

 

できるかしら

 

ふん

 

好きにしろ

 

こっちは

 

瞬発力はあるけど

 

持久力はないんだぞ

 

だから

 

はね続けるのは

 

うさぎだって無理さ

 

じゃあくたびれたら

 

つかまっちゃうの

 

そんなあほうじゃないさ

 

そんなことになる前に

 

さっさと方向を変えたり

 

穴に駆け込むのさ

 

つねひごろから

 

穴はたくさん用意してあるんだぜ

 

そうなのね

 

えらいわ

 

けれど

 

わたしは穴を持っていないわ

 

そうだな

 

逃げ込むための穴もなけりゃ

 

飛ぶこともできないもんな

 

ただ

 

人間はそうそう襲われないだろ

 

せいぜい

 

熊くらいなもんさ

 

あいつは鈴を鳴らして

 

近寄るな

 

って合図を送っておけば

 

大丈夫

 

わかったわ

 

じゃあ

 

また

 

いつか会いましょう

 

達者でな

 

ここいらに来たら

 

その足音でわかるから

 

探さなくてもいいぜ

 

会いに来てやるから

 

そうなの

 

わたしが歩いても

 

足音なんて全然しないけど

 

そんなことはない

 

一キロ先から聞こえてくらあ

 

どしんどしんって

 

うさぎの耳は

 

だてに長いんじゃないんだぞ

 

わかったわ

 

きっとね

 

元氣でね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大地に

 

足をつける

 

勇氣を出して

 

靴を脱いで

 

靴下を脱いで

 

裸足になって

 

地を触ってみる

 

草は湿っていて

 

ひんやりと

 

くすぐったい

 

歩いてみると

 

足の裏に直接

 

土と草の

 

香りが

 

入ってくる

 

酸素をいっぱい含んだ

 

青や茶色の香り

 

木の根っこの香りもある

 

でも

 

氣をつけて

 

ガラスが潜んでいるから

 

氣を抜いてはだめ

 

いつも靴に

 

守られている

 

柔な足は

 

ガラスを踏まなくても

 

すぐに

 

傷つくから

 

五感はいつも

 

研ぎ澄ませて

 

大地とひとつになって

 

大地の心と

 

わたしの心が

 

足を通じて

 

いま

 

繋がっている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吹けよ吹け

 

 

飛ばせ飛ばせ

 

古い価値観を

 

新しい

 

世界を

 

切り拓くため

 

新しい時代を

 

加速するため

 

ここではない

 

はるかかなたへ

 

わたしは

 

飛んでいかない

 

ここにいて

 

この世界を

 

刷新する

 

だから

 

どうか

 

風よ吹け

 

はるかかなたからの

 

風を

 

この世界へ

 

招き入れて

 

 

 

 

 

 

きんもくせいが

 

今年も

 

そっと

 

花をつけた

 

満月を含んだ

 

神聖な

 

香りをまとって

 

近くで

 

その懐かしい

 

香りに包まれようとすると

 

さっとどこかへ

 

行ってしまうけれど

 

離れようとすると

 

どうぞ

 

と香りを

 

差し出してくれる

 

この季節に

 

生きる幸せを

 

味わう

 

わたしと

 

金木犀

 

ずっとずっと

 

一緒にいたいけれど

 

ほんの一瞬なんだね

 

まるで

 

流れ星のように

 

でも

 

毎年

 

帰ってきてくれる

 

あなたの香りで

 

忘れてしまった

 

大切な

 

何かを

 

思い出せそうな氣がする

 

何かの

 

約束か

 

誰かからの

 

メッセージか

 

いまという

 

かけがえのない

 

ギフトを

 

受け取る

 

最後の機会

 

 

 

幼いころ

 

車に乗せられると

 

酔ってしまって

 

ぐったりしていた

 

外をみるといいとか

 

窓を開けて外の空気を吸うと

 

いいとか

 

いわれたけれど

 

さほどの

 

効果はなかった

 

ぐったりしながら

 

見上げた空には

 

お月さまがみえて

 

車が走っても

 

走っても

 

お月さまは

 

ついてくる

 

道をまがっても

 

とまっても

 

ずっと

 

同じ距離感でいて

 

こちらをみている

 

別に自分の用事でなく

 

車に乗せられていただけだったから

 

いくらでも

 

お月さまと

 

見つめあえた

 

気分がよかったら

 

にらめっこでも

 

じゃんけんでも

 

できたんだろうけど

 

普段は

 

元気いっぱいの

 

わたしの鎮静