Ψ(さい)のつづり -13ページ目
やりたいことがあって
やることも決まっていて
でも
その前に
片づけないと
いけないことが
たっぷりあって
片っ端から
片づけようとしたら
足を引っ張ろうと
邪魔がはいる
そんなこんなで
足踏み奉行
足踏み修行
わたしを
変わらせないように
変わるんだとしても
なるべく
邪魔して
ぎりぎりまで
遅らせてやろう
そう簡単に
やりたいことへ
向かわせてなるものか
あとまわし
あとまわし
こっちはいそがしいんだ
あとまわし
あとまわし
仕事をさっさと
喜んでやるのは
自分の時間の価値がわかっているから
お金のための仕事なら
効率がよくても
悪くても
入ってくるのが同じなら
ゆっくりゆっくりやればいい
余計な仕事は
あとまわし
あとまわし
敵っていうのは
こういうときに
わかるものだね
でも
本当の敵は
歯車じゃない
目の前にいる歯車は
単なる道具に過ぎない

ここから
はじめよう
とにかく
はじめてみよう
奥の
奥へ
引っ込んでいた
だれにも
知られない
わたしなら
安心安全かも
しれないけれど
叫んでも
だれにも届かない
いつまで
たっても
ひとりぼっち
だから
明るい世界へ
出ていこう
広い世界に出ていっても
もうちょっとやそこらじゃ
もみくちゃにされないから
わたしという
存在があることを
世界へ
お知らせしていこう
何があっても
大丈夫
エゴじゃないなら
大丈夫
何度でも
立ち上がり
そのたびに強くなる
実戦のたびに
強くなる
自分の軸を
ぶらさずに
肝を据えて

カラスが呼ぶ
漆黒の身体を
上下に震わせて
大きな口を開けて
精一杯叫ぶと
遠くで
別のカラスが応えて
一緒に飛びたつ
わたしも
付いていきたい
大きな羽を広げて
しばし
空で
会合を開く
最近はどう
ずいぶんと
過ごしやすいし
ごはんも豊富
カラスの季節到来だね
これからが
お楽しみ

どうしてなんだろう
人前で
ピアノを弾こうとすると
手が震える
別に
上手に弾こうとか
思っているわけではないのに
そもそも
そんな技量はなく
趣味としても
まだまだなのに
だからこそ
大舞台で
たっぷりとした
情感で
弾くことができる人を見ると
それだけで
尊敬する
魂の
広がりを
指先から
繊細に解き放つとき
そこには
きらきらとした
金の粉や
熱い
火花が散る
演奏全体を
心から
楽しむことができれば
もう
それは
競争ではなく
ひとつひとつの
異なった
時の
芸術
評価は
あとからついてしまうけれど
ただ
ただ
ブラボー
惜しみない
拍手を

あんなに
かたい絆だと思ったのに
蜜月は
長くは続かないもんだ
頭のおかしな人が
大声で
うそをわめきたてても
そんなことは
意にも介さないだろう
と楽観的にとらえていたけれど
意外や意外
そうではなかった
まじめな人ほど
頭で考える
確かにあの人は
頭がおかしいようだけれど
自信をもって
大声でわめきたてているからには
相手にもどこか
非があるんじゃないか
何かの
理由がなければ
あそこまで
騒ぎ立てることも
さすがにないのでは
そういう
正論の
さざ波が
その人の心の中で
広がっていく
疑り深いしみは
どんどん広がり
膜となり
信頼していたけれど
今後は
なるべく
関わらないようにしよう
そして
関わらないといけないときは
疑ってかかることにしよう
いとも簡単に
大声を出す人に
自分のものの見方を
操られていく
以前なら
愛想よく挨拶してきた
あなたが
わたしから
あからさまに
目をそらしたのを
気が付かないとでも
思うのか


