Ψ(さい)のつづり -11ページ目
時間を
追いかける
時間を
巻き戻すことはできなくても
あの場所にいけば
あのときの時間が
流れていて
あのころの
わたしが
待っている
いまは
ずっとずっと
いいよ
いまは
もっともっと
たのしいよ
でも
いまも
あのころの
こころの
よじれは
覚えているし
息ができないくらいの
かなしみも
くるしみも
覚えているよ
ちゃんと
記憶としては
残っているけれど
それは
いまは
もう
わたしを
直接
苦しめることは
ない
だから
なかったことに
する必要はないんだよ
だって
あったことに
大切な意味が
あるんだから
残っていても
それを
冷静に
扱えるように
なるときが
きっと来るから
だから
泣かないで
いいえ
そうじゃない
たくさん
泣いて
いいんだよ
いまがどうなっているのか
伝えることはできないけれど
あのころの
続編は
もっとよくて
これから創り出す
未来は
さらによくなる

ぞうさんの
お鼻が長いのは
知っていたし
タイのぞうさんの
背中の
籠に乗せてもらったことは
あったけれど
ぞうさんに
ごはんをあげられる日が
くるとは
思っていなかった
らくだ
ろば
うま
たくさんの動物に
乗せてもらったけれど
ご褒美の
ごはんは
あげるようになっていなかったから
さぞかし
働き損だいっ
と
思っていたに
違いない
ごめんね
ぞう
らくだ
ろば
うま
きっとそのあと
ごはんは飼い主から
もらっていたはずだけど
乗せてもらった
わたしから
あげられたら
よかった
ぞうさんの
お鼻は
お鼻だから
中が
ふたつに
分かれている
ぞうさんの
お鼻は
お鼻だから
ちょっと荒い
鼻息も
そのふたつに分かれた
お鼻の先から
出てくる
ぞうさんのお鼻は
お鼻だけど
水を飲むとき
かけるとき
そのお鼻をストローみたいにするから
中に
水が残っている
それとも
ひょっとして
鼻水かも
とにかく
にんじんや
バナナを
あげたら
手に水がつく
それを知ってか知らずか
手の平を頂戴の形にするときみたいに
お鼻の先だけ
上に返してお皿みたいに
する新時代仕様の
ソーシャルディスタンスぞうさんも
いてくれて
ごはんが
あげやすい

生きとし生けるものが
同じ空の下で
毎日
励ましあう
空飛ぶ鳥も
地を歩くカニも
瞬間移動できる猫も
川に泳ぐハヤも
その川に落ちていく
どんぐりも
お寺のお線香のけむりさえ
なにひとつ
無駄なものはなく
毎日が
毎日が
まったく
違う日々で
ありながら
かならず
呼応しあって
活かしあっている
当たり前なんて
なにひとつなく
知らず知らずのうちに
お互いの存在が
お互いを補い合っている
自分の意図でありながら
世界を織りなす糸
自分の意思でありながら
世界を築く石
自分の希望でありながら
世界の喜望

急な
さよなら
突然の
方向転換
もったいない
そう
思えるのかしら
石の上にも3年
さらに八の字
無限大
これからも
同じ道を
いくならば
大きな
困難は
すくないのかもしれない
けれど
わたしにとっては
すでに
過去完了形
現状維持の
現在完了形は
もう
おしまい

おもえば
遠くへきたもんだ
11年前
初心者マークで
びびりびりびり
どきどきどっと
やる氣だけ
ぱんぱんぱかぱんに
膨らませ
やあやあやあ
われこそ
人のお役に立ちましょうぞ
と
うぶな心意氣で飛び出した
それから
とおせんぼ
よこやり
あしひっぱり
上下左右
東西南北
ありと
あらゆる
ところから
つぎからつぎへと
あらわれる
ものを
かわしかわし
とんで
はねて
くぐって
障害物競走を
走ってきましたとさ
故障しないで
ここまでこられたのは
天のかみさまの
おみちびき
たくさんの学びを
ありがとうございます


