半径一メートル以内の王様 | 井蛙之見(せいあのけん)

井蛙之見(せいあのけん)

毎日、いい音楽を聴いて、好きな本を読み、ロードバイクで戯び
楽しく話し、酒色に耽り(!)、妄想を語り、ぐっすり眠る。
素晴らしきかな人生!
井の中の蛙 大海を知らず 
されど、空の蒼さを知る
(五十路のオッサン、ロードバイクにハマる。)

イヤホンをしながらとかゲームをしながらの食事に対して、回転率が下がるから
遠慮してほしい、というラーメン屋さんの記事が「賛否両論」らしい。

町中華など、以前から、注文したものが来るまでの待ち時間に
雑誌や新聞、漫画本などを読むのは別に不思議ではない。
待つ時ばかりか、食いながらでも漫画を読む奴はいたが別に
どうということはなかった。
カフェや居酒屋など「ゆったりした時間を過ごしていただくための場所の提供」
をしている飲食店なら、別に構わないのだが回転率で稼がないといけない
ラーメン屋さんでこれはさすがにキツいだろうと同情する。

元プロレスラーの川田さんの事例はもっと悲惨である。
10人くらい女の子が来て380円のスイーツ一つ頼んで
それを10人で食べて、ラーメンは注文しなかったらしい。
「有名人の」川田さんとしゃべりたかったかららしいが
もう気の毒としか言いようがない。
うちの近くのたこ焼き屋さんも100人ばかりの女の子が並んで
いたことがあったから、さぞ儲かっただろうとあとで店主に聞いたら
同じような状況だったらしい。

(もっとも、「推し」のたこ焼きは自撮り必須のアイテムなので

買いはしたが、人数分パックで売れたわけではなく、何人かで

一パックということらしい。)
地元出身の推しのアイドルがこの店を紹介したことで「聖地巡礼」の地となり
店前に貼ってある写真とか持ち歩いているアクリルフィギュアなどと
店前で一緒に自撮りをするのが目的らしい。
つまり、「たこ焼き」など実はどうでもよくて聖地での
自撮りとSNS発信が主旨の目的来店である。
これで評価のみが爆上がりならいいが、少し気に入らないことがあるから
とマイナス評価された日には目も当てられない。

A〇AZONなどに象徴されるように「商売を成功させるにはユーザーの都合に合わせていく、
欲しがるものを提供していく」といった会社は成功を収めている。
ナンでも手元で操作出来て、注文すれば自分の手の届くところに運んでくれる。
半径1メートル以内で生活することができるようになったせいで
それが当たり前だと思い込んでいる。
どこへ行っても公共性などおかまいなしで自分の家と同じ振る舞いをする。
また、それができるようになった。
半径一メートル以内なら誰でも王様だ。

アナタに迷惑なんてかけてないでしょ?

なんでも自分の思い通りになると思っているらしい。

そうでなければ他人のせい。

もうどうにでもしやがれ、という気分。