
ビチェ村には小学校と幼稚園がある。
ただし、離島でかつド田舎の村なので小学校の先生がなかなか赴任してくれない。
ということで、「先生が決まらないので、1年間休校です」。
こんな感じ。
幼稚園の先生は、正規の教員ではないけれど、両親が教員で知識もある村人レリーシがやってくれている。
ビチェ村の幼稚園に通う子供たちは15人ほど。
授業の一部は英語でやっているし、アルファベットや簡単な足し算も勉強している。もちろん歌やおゆうぎで心得るべきことも覚えている。
さて、こんなゆったりした南国の幼稚園で、終業式を前に「試験」を行うという。日本でも幼稚園で試験なんてあんまり聴いたことがない。
で、レリーシが私と相方に「試験監督をやってくれ」と頼みに来た。
現地のマラボ語が話せない私ができるのか?と心配したけれど、おもしろそうなので引き受けることにした。
一人4~5人の子供を受け持つ。
テストはレリーシが作ったプリント。もちろんコピー機などないので人数分手書きだ。あぁ、これだけでも先生の苦労がよく分かる。
まず子供たちを自分の前に座らせプリントを渡す。質問は英語で書かれているので、理解できない子供には説明する。
Aから順番に並んだアルファベットの抜けている欄を埋める、とか、指定されたアルファベットで始まる言葉を書くとか、書かれたマルの個数を数字でかくとか、一桁の足し算とか・・・・。
子供たちは本当に額に汗を浮かべて必死に鉛筆を動かす。
不安になって隣の子の答案を覗き込もうとしたり、口頭では合っているのに、数字を書くと間違っていたり・・・。
数字の書き方も個性的。
子供たちの脳みそは、結構ミラクルである。
ここでは能力というものは勉強の点数だけではない。
それに勉強だけできても、生きていくのは難しい。
海で魚が取れる。森を知っている。畑仕事ができる。料理ができる。
それぞれの子供たちが自分らしさを満喫している感じ。
最後まで問題を解かせるのに苦労し、試験官が3人必要だったことがよく分かった。
この試験結果は終業式で父兄たちの前で発表される。
試験が終わって海や浜で走り回っている子供たちのおでこには、「あほ」と文字が浮かび上がっている。
純度100%のアホはいいなぁ。平和だなぁ。