サザエさん―面白い落ち(139)

 

世の中には、思わず家を飛び出して見たくなる、子供にはわからない物?がある。

 

朝日文庫版31巻〔69頁〕・昭和40年

『サザエさんのお父さんが机の前に座り、巻紙を手にして、筆で何やら書いています。傍にワカメちゃんがやって来て、お父さんの着物の襟口を掴んで引っ張り、「おミコシがとおるよみにいこうよ~」とダダをこねています。同じ部屋に、マスオさんがいます。マスオさんは、寝転んで本を読んでいます。傍にカツオ君がやって来て、本を持っているマスオさんの手を引っ張っています。マスオさんは「つまんないよ」と断っています』

『大人が一緒に行ってくれないので仕方なく、カツオ君とワカメちゃんは、二人だけでおミコシを見に行きました。老若男女ならぬ、老若女女がおミコシを担いで練り歩いていました。カツオ君とワカメちゃんは、それを見て、ちっとも楽しくないのか「ほんとだ・・・・」とがっかりした様子です』

『カツオ君とワカメちゃんは、本当にがっかりした様子で、家の玄関に戻ってきました。カツオ君がが大きな声で「おんなだけのミコシだった」と言いました』

『巻紙に何かを書いていたお父さん、寝転んで本を読んでいたマスオさんは、あっという間に家から飛び出して行きました』

 

女衆だけが担ぐお神輿、何処かで見たような気がします。

浅草だったでしょうか?

女の人だけが担ぐと言うので見に行った訳ではありません。

たまたま、行ったら、そうだった、と言うことだったと思います。

良いものでした。

 

女の人達が担ぐお神輿、子供達には魅力がないのでしょうか?

カツオ君とワカメちゃんは、ハッピとフンドシ姿のお姉ちゃんやおばちゃん達が担ぐ神輿、いや、お神輿を担ぐ女の人達の姿に、何らの関心もないようです。

 

しかし、お父さんやオジサン達は、そうではないのです。

「おんなだけのミコシだった」

と聞けば、見逃すわけにはいきません。

今熱中していることを中断しても見に行きたくなるような、カツオ君には、まだ言えない「○○や△△など色々の魅力」があるのです。

ハッピとフンドシ姿もそうでしょう。

 

サザエさんのお父さんも旦那様も例外ではありません。

「早くいかないと通り過ぎてしまうぞ」

マスオ君!お父さん!それーっ見に行くぞ!と家を飛び出しました。

サザエさんの素直な落ち(34)

 

商品名は自分勝手に決められない筈です。特許庁で、商標登録要件に適合する商品名が許可されています。

 

朝日文庫版31巻〔38頁〕・昭和40年

『サザエさんが、カツオ君と一緒に棚の上に色んな種類の瓶が並んでいるのが見える商店の前に来ています。その店の前で、店頭に出ていたお店のご主人が、「いらっしゃいまし」と言うので、サザエさんは「こんどアマカラ食品から出た【これはイカス】あります?と聞きました』

『小太りでハゲ頭のご主人は、2段の棚にズラリと並んだ瓶や箱を一つ一つ指さしで、「え~と、これはイカスは・・・・と」と言いながら探しています。サザエさんは、じーっと見ています』

『暫く探した後、ご主人は、膝を小さく折って、前かがみになり、ハゲ頭をかきかき、「きのうまであったんですが。あいにく品切れで・・・・」と謝っています。サザエさんは、カツオ君の方を見ると「あきれたチャランポランね」と呆れています』

『サザエさんは、「だって【これはイカス】ってあたしが作った名前よ!と言いながら帰っていきました。カツオ君は、「どっちがチャランポランだか」と呆れて、さっさと歩いています』

 

サザエさんが、探している商品が何かはわかりませんが、【これはイカス】と言う名前の商品だそうです。

「【これはイカス】はありませんか?と尋ねられたお店のご主人は、棚を懸命に探しています。

商品の名前を聞いただけで、そんな売り物があるかないか直ぐに判らないのでしょうか?

自分の店で扱っている商品の名前は、確り頭に入れて置かないと、お客の中には、サザエさんのようなチャランポランな人がいます。

自分で勝手に決めた名前を言う人も、また、口から出まかせに名前を言う人もいるでしょう。

 

このお店のご主人もかなりチャランポランですね!

ありもしない名前の商品を

「きのうまであったんですが。あいにく品切れで・・・・」

と言っています。

カツオ君は、お姉さんが「自分勝手に決めた名前」を言い、店の主人が「ありもしない名前の商品が、昨日はあったが今日はないと言っている」のが、本当にどっちもどっち、チャランポランだと呆れてしまったようです。

 

商品の名前は、特許庁で商標登録要件を具備すると登録され、使用されることになっています。

サザエさんのように、商品の名前を自分勝手に決めて、公に使うことは出来ないはずです。

「これはイカス」という登録商標は、検索しても見当たりませんので、このありふれたメイショウでは、商標として登録されないのでしょう。

 

カツオ君が「チャランポラン」と言っています。

「チャランポラン」とは、「いいかげんなこと」を言うようですが、「チャランポラン」なる登録商標は、飲食業関連であるかもしれません。

特許庁では検索できませんでした。

 

しかし、サザエさんが言う【これはイカス】は、商品名として使えそうな商標ですね!

サザエさんの素直な落ち(33)

 

バス停では、夫婦だったら、やってはいけない相談がある。、

 

朝日文庫版31巻〔51頁〕・昭和40年

『バス停です。客が並んでいます。先頭に、富士山の髪型で、ダンゴっ鼻で、顔のフックラとしたサラリーマンらしいオジサンが、質素なスーツを着て、カバンを下げて立っています。その後が、スーツを着てハンドバックを下げた、髪をアップにしたご婦人で、その直ぐ後が、冴えない実直そうなメガネを掛け、、チョコッとチョビヒゲをはやした、普通のスーツを着て、バックを持ったサラリーマン風のオジサンが並んでいます。ご婦人が、後ろを振り向いて、サラリーマン風のオジサンに、「ねえあなたほうもん着買ってよ」とおねだりしています。すると、後ろのサラリーマン風のオジサンは「だめだよ」と断っています。先頭のサラリーマンらしいオジサンは、素知らぬ顔をして立っています』

『ご婦人は、後ろを向いて、かさねて「ね~いいじゃない!」とおねだりしています。オジサンは、返事もしません。先頭のサラリーマンらしいオジサンは、素知らぬ顔をして立っています』

『突然、素知らぬ顔をして立っていたサラリーマンらしいオジサンは、後の二人の方に振り替えると「だめだったらだめだ!カネがないもの!」と大声で叱りつけています。怒鳴られた2人は、ビツクリしています』

『先頭のサラリーマンらしいオジサンは、後ろを向いたまま、二人に説教しています。「おたくと同じダンナだよ にょうぼうにねだらたらどうするアンタ!」。何時の間にか、最後尾に並んでいたサザエさんのお父さんが、前の3人のやりとりを聞いていて、ニヤリと笑っています。遠くの団地には、同じ形の建物が数棟見えます』

 

団地の住民の朝の出勤風景なのでしょう。

団地から出てきた人達が、バス停でバスを待って並んでいます。

共稼ぎのしがないサラリーマンの様です。

そんなバスを待つ人達の中には、共稼ぎの夫婦もいるのです。

ゆっくり家の中で話し合えば良いのに、共稼ぎでは、ゆっくり話し合う時間もないのでしょうか、バスを待ちながらおねだりしています。

 

こんな所で、「いいでしょう」、「駄目だ」、「いいでしょう」、「駄目」だと繰り返されるヤリトリを聞いていると、聞かされる方はイライラしますよね!

「そんなにノラリクラリと断らず、ハッキリと断れよ」。

おれも同じようなサラリーマンだ。もし、女房が「訪問着買ってよ」なんて言っても、そんな高い物、買ってやるようなカネはない。

俺だったら、もっとハッキリ断るよ!

「そんな訪問着なぞ買う金はない。駄目だ!

と怒鳴ってやる。

 

朝から、気分が悪くなった。

そんな相談は家の中でやってくれ!

松岡修造モドキ

 

昨日のサザエさん―意外な落ち(3)に、テレビのコマーシャルに、「元テニスをやっていた○○さんは、特に、大げさで懸命に演じるのが、見ていて笑ってしまいます。多くの人も皆一緒に笑っているようですね。」と書きました。

この「元テニスをやっていた○○さん」は、ハッキリ言って「松岡修造氏」のことです。

 

こんなワードがあるのを知りました。

「修造モドキ」

松岡修造氏には、テレビのコマーシャルでしかお会いできませんが、テレビのコマーシャルの中で、松岡修造氏は、視聴者を恫喝しています。

いや!やらされて得意になっているように見えます。

コマーシャルとしての効果は、あるのかもしれませんが、見ていて、どうしても、嫌な感じを、払拭できません。

テレビの向こうではなく、学校や、職場や、家庭の中の身近に、修造モドキが現れて、貴方を恫喝したらどうでしょうか?

 

コマーシャルの中のことであれば許せますが、近くに修造モドキが現れて恫喝してくればそれは許せません。

松岡修造の恫喝のコマーシャルは、止めてもらいたい。

身近に松岡修造モドキはいらないのです。

 

「松岡修造は、やらされて仕方なくやっているだけです。真似をしないでください!松岡修造モドキにならないでください。」

とテロップでも流してください。

サザエさん―意外な落ち(3)

 

誇大広告には、騙されません。

 

朝日文庫版30巻〔26頁〕・昭和40年

『横縞の紅白の垂れ幕が掛けてあり、その横に「○○高校卒業式」と大きく書いた立て看板が出ています。その前に学生服を着た大きい生徒が怖い顔をして、腕組みをし、体に比べ短い足を踏ん張って立ちはだかっています。そこへ、小さな痩せ細った、頭に髪の毛もなくなったのに、鼻髭だけを長く伸ばした、モーニングを着た老人が、腰の後ろで両手を組みトボトボとヨレヨレの姿でやってきました』

『大きい生徒は、眼の前に来た老人の襟口をヒョイと掴むと、スーッと持ち上げ、「ヤイヤイじじい!!よくもわるい点ばかり付けやがったな」と文句を言っています。持ち上げられて小さくなった老人は、震えています』

『しかし、手を離された老人は、急に強い老人に変身し、大きい生徒を右手こぶし一つで、「なまぬかすな」と怒鳴りながら「ボイーン」と殴り飛ばしました。殴られた大きい生徒は、飛んで行きました』

 

あれれ!!どうしたのでしょう。

あんなよれよれの老人が、でかい体の生徒を殴りとばしています。

この老人は、何ものでしょう?

見掛けによらずスパーパワーのオイボレなのでしょうか?

4倍も体重が有ろうかと思われる生徒を、細くなった腕一本で投げ飛ばすことは出来ない筈です。

 

『実は、コマーシャルの撮影でした。大きなスタジオカメラの前で、細い老人が瓶を左手に持ち、横たわっている、学生服を着た大きな男を踏みつけ、「ウムこの栄養剤はようきくわい」とカラカラと大笑いをして見栄を切っています。スタジオ見学に来ていた沢山の人達がいました。好奇心の強いサザエさんも見ていましたが、「コマーシャルのさつえいか?」と言いながら呆れて引き返しました』

 

そういうことだったのですか!

いくらなんでもよれよれの老人が、あんな大きい生徒を殴り飛ばす筈はないと思っていました。

 

テレビのコマーシャルは、凄いですね!誇大広告と言うのでしょうか、効果の疑わしいものでも、「さも本当ですよ!」と言わんばかりのコマーシャルを、作りテレビで流しています。

この嘘っぽい宣伝を、懸命に演じるタレントさんがコマーシャルタレントとして重宝されるのでしょうか?

元テニスをやっていた○○さんは、特に、大げさで懸命に演じるのが、見ていて笑ってしまいます。多くの人も皆一緒に笑っているようですね。

 

ここでは、栄養剤のコマーシャルが出てきました。

この栄養剤は、凄いですね!

こんなにヨボヨボになっても、柔道でもやっていそうな大男を殴り飛ばせるのですから!

「この栄養剤!飲んでみようかな」

と、その気にされそうです。

 

しかし、元お相撲の舞乃海さんの、コマーシャクッテいる「コンドロイチン」&「グロンサン」などのサプリメントの効果も疑わしいものだそうです。

 

あるヨーロッパの学会で、「これらのサプリメントは効果がない」と発表されたそうです。

このような発表があったことは事実の様です。

 

いかし、このことを、老人が多数通院している病院の「掲示板」に掲示されていました。

こう言う掲示をしている病院が、何だか異常です。完全な営業妨害になりません?

 

サザエさんの素直な落ち(32)

 

春です、お年寄りはどこでも眠ってしまいます。

 

朝日文庫版30巻〔36頁〕・昭和40年

『マスオさんとカツオ君が、街に出かけました。2人は交差点に来ました。車が渋滞し、ズラリと並んでいます。交差点まで来ると信号が赤に変わりました。2人は、立ち止まって待ちました。目の前に襟巻をした和服のお婆ちゃんが、杖をつき、背を丸くして待っています。そのお婆さんを見たマスオさんは、「お婆ちゃんあぶないですよ」と注意しています』

『目の前を沢山の車が、走っています。マスオさんは、こんなお婆ちゃんが、1人では危ないと気になります。マスオさんは、一番安全な場所と思える自分の背中に、お婆さんを背負いました。カツオ君は、お婆ちゃんの杖を持って、黙って横についています』

『交差点の信号は、青になりました。マスオさんは、お婆ちゃんを背負って、交差点を歩いています。その後から、カツオ君が、お婆ちゃんの杖を刀のように持って、黙ってついてきます』

『交差点を渡りきったところで、マスオさんが、お婆ちゃんを背中から降ろそうとすると、お婆ちゃんは、マスオさんの背中で「スースー」と眠りこんでしまっていました。マスオさんは、「弱った・・・・寝ちゃった」と困ったような顔をしています。マスオ君は、お婆ちゃんの杖を刀のように腰の傍で持って、「さすがはるだね」とノンビリとしています』

 

齢を取ると、夜眠れなくなり、朝眠くなると言うことになるのでしょう。

酷くなると昼間何処に居ても、睡魔が襲ってくるのでしょう。

直ぐに眠りこけてしまいます。

体を揺すっても、直ぐには目を覚ましてくれません。

 

そんな老人が、確かに、いらっしゃいます。

こんな、お年おりを見つけ、背負ってやろうと言う、マスオさんには感心してしまいます。

マスオさんは、親切で偉い人です。

 

手を貸さなければ、お困りだろう、

お婆ちゃん、どうかしました?なになに致しましょうか」

と、思うのですが、思うだけで、実行はしない、と言うことが多々あります。

 

春になると、親切にした老人が、静かに眠ってしまうこともあるでしょう。

 

春は、特に、そうです。いけないと思っていても、眠くなる。

電車やバスの中で、ついうとうとうとすることもあります。

ここは、どこだ、俺は、何処で何をしていたんだ?

と目をパチクリさせることも多くなります。

 

もうすぐ、いやもう春ですから仕方ありません。

お年寄りの方にとって、マスオさんのように親切な人がいてくれれば助かります。

サザエさん―面白い落ち(138)

 

株の売買は優柔不断の性格では駄目ですか?

 

朝日文庫版30巻〔92頁〕・昭和40年

『サザエさんのお父さんが、夕食後のひととき、居間の小さな食卓の上に、徳利、お猪口、小皿を置いて、晩酌をしています。そこへ、お母さんが、薄っぺらな小紙を持ってきました。そして、お酒を飲んでいるお父さんに、言いました。「やっぱりせいこうする人はちがうわね!」と皮肉っぽく言いました』

『言われたお父さんは、お酒を飲みながら。いろいろと考えています。先ず出てきたのが、株や不動産売買のことでした。そして、呑みながら「ちょっとしたチャンスの差さオレだってあのとき売って(株のことのようです)、あのとき買ってりゃ(土地のようです)」と愚痴っていまス』

『そして「いまごろはおくまんちょうじゃだ」と残念がっています。そのお父さんの姿を見て、カツオ君はビックリし、「世が世ならおくまんちょうじゃ!!」とお父さんを見直した様な顔に変わりました』

『カツオ君は、徳利を奉げ持って、お父さんのお猪口にうやうやしくお酒を注いでいます。お父さんは。「そうかたくなるな」と言うと、カツオ君は畏まって「ハ・・」と言っています』

 

カツオ君にとって、優柔不断のお父さんでも、

「お父さんがあの時、こうしていたら、いまごろは億万長者になっていたのにな~~」

と愚痴るのを聞くと、何だか頼もしく思えるのでしょうか?

たしかに、今頃は億万長者になっているかもしれないのです。

しかし、お父さんは、優柔不断で、思っても、やらなかった。

やらなければ億万長者になるはずはないのです。

 

宝くじでも、買わなければ、高額の賞金を得ることは出来ません。

当たらなければ誰も褒めてくれません。

「もし、買っていれば、今頃、億万長者だ」

などと言ったところで、カツオ君のように接してくれる人は、いないでしょう。

 

しかし、お父さんは、株は持っていたようですね!

「オレだってあのとき売って」

と言っています。

この時、お父さんは、持ち株を売却していないようですね。

悔いが残っていますから。

 

現時点ではどうなんでしょう。

平均株価は、まだ20,000円には、届きませんが、売り時なのでしょうか?カツオ君のお父さんだったら迷うでしょう。

ソロソロ売り時ですよ お父さん!教えてください。

しかし、お父さんは優柔不断だった。

頼りにならない!

サザエさんの素直な落ち(31)

 

写真もボケていますが、近頃のお父さんもボケが来ています。

 

朝日文庫版29巻〔67頁〕・昭和40年

『サザエさんとお父さんが向かい合ってコタツに入っています。サザエさんがお父さんに言いました。「お父さんはピンボケだわ!」。言われたお父さんは、頭をかいています』

『とそこへ、マスオさんが現れ、サザエさんの後ろに寄って来て「いくらほんとだって くちがすぎるぞ!」と目くじら立てて注意しています』

『言われたお父さんは、「あんまりだっ」と言うと、持っていた何かをコタツの上に叩きつけました。お父さんの前に座り込んだマスオさんとサザエさんは、お父さんのその怒りようにビックリ唖然としています』

『お父さんが投げ捨てた何かを拾ったマスオさんは、それを見て「しゃしんか・・・・・・・」と顔を赤くして恐縮しています』

 

サザエさんに、「お父さんピンボケだわ!」と言われても、お父さんは、怒りもせずに、照れ隠しのような表情です。

我が子が言うのであれば、怒りはしない。

 

しかし、お父さんは、サザエさんが「お父さんピンボケだわ!」と言ったのを真に受けて、他人の婿が、お父さんをピンボケピンと決めつけているのを見過ごすわけにはいきません。

ここは一つ、ビシッと、婿殿に父の威厳でも示しとかないといかんと、見栄を切ったのでしょう。

「あんまりだ」

と怒鳴りつけました。

 

サザエさんとお父さんは、会社の旅行の集合写真を見ていて、カメラがよくないのか、ピンボケで映っているのを見て、ハッキリと映っていない気付き、そこでサザエさんは

「お父さん、ピンボケよ」

と言い。

おとうさんは

「そうだね、あハハハ・・」

と笑っていたところでした。

そこに、余計な者が来たのです。

正直者のマスオさんは、日ごろから

「近頃のお父さんは、どうもおかしい、ボケが来ている」

と思っていたから、サザエさんが

『お父さんピンボケだわ』

と言っているのを聞いて、例え、親でも、思っていることを正直に言ってはいけないことがある。

その一つが、ボケげ来ていると言うことだ。

余りにもズバリと言うのは、失礼だと、思わず

「いい過ぎだ」

とサザエさんを叱ったようです。

 

お父さんには、マスオさんが

「お父さんはボケが来ている」

と思っているのが透けて見えました。

 

お父さんは、何をこの野郎と思ったのでしょう。

「あんまりだ」

と叫んでしまいました。

サザエさん―躾(1)

 

優しい躾

 

朝日文庫版29巻〔35頁〕・昭和40年

『マスオさんが、タラちゃんを抱っこして、公園を散歩しています。石垣のあるところにさしかかると、四角い顔に短髪の、キリリとした顔のオジサンに会いました。オジサンは、幼児を石垣の上に立たせ、「この頃のおやは甘すぎる、ワシはだんぜんスパルタ教育です」とマスオさんに主張しました。石垣は、オジサンの鼻の高さくらいですから、およそ1.5メータはあるでしょう。幼児は、その高さの石垣の上に立っています』

『オジサンは、幼児が立っている石垣の下に近寄ると、幼児の方に両手を差し出し、「だいじょうぶ、トウちゃんがだきとめるからとんでごらん」と優しい顔になって、命じました。幼児は、両手を腰の後ろに引き、膝を折って、今にも飛び出しそうです。タラちゃんを抱っこしたマスオさんは、興味深そうに見ています』

『幼児は、石垣の上から飛び出しました。すると両手を差し出していたオジサンは、急に後にジャンプして、両手をサッと腰の後ろに引きました。飛び出していた幼児は、地面に顎から落ちました。マスオさんは、ビックリ驚いています』

『地面に落ちた幼児は、立ち上がり、両目に手をあてて大泣きしています。その幼児を睨みつけて、オジサンは、「いいかやすやすひとをしんようするとこういうめにあうんだぞ」と、物凄く厳しい顔をして叱りつけています。見ていたマスオさんは唖然と見ています』

 

厳しい躾と言うより、危険な躾です。

幼児に、うけとめるから、崖の上から跳べと命じているのですから・

幼児が、1.5メータの高さから飛び降りるのは大変危ない。

両足を揃えて着地できたら、その子は、運動神経が抜群な子でしょう。

しかし、通常は、バランスを壊し、顎を地面に打ち付ける事はあり得るかもしれません。

 

こんな躾は、厳しい躾と言うより、児童虐待でしょう。

見ていたのがマスオさんではなく、サザエさんだったら、いや、女性だったら、大騒ぎするでしょう。

「あなたは、なんということをするんですか!!警察に訴えますよ!」

といきり立つでしょう。

 

マスオさんも、なんとか言えよ。

まさか、オヤジさんが言っていることに

「そうだそうだ」

とは言わないだろな!

幼児が、こんなにひどい目にあっているのに!

多分、幼児は

「たとえオヤジでも、たやすくしんようするのは止めよう」

と深く反省する筈です。

 

このおやじさんは、幼児が、反省してくれれば、お父さんの躾は大成功でした。

しかし、やらせたことは大変危険です。

骨折もありますから、危険な躾は止めて、厳しい躾をして下さい。

例えば

「きみが大好きなスイーツは、もうあげないゾ」

くらいでいかがでしょうか?

サザエさん―押し売り(17)

気の弱い押し売り、サザエさんのどなり声で引きかえしました。

朝日文庫版29巻〔97頁〕・昭和40年
『上唇の上、横一文字に無精ひげを生やした、目つきの怖そうな男が、ソフト帽を被り、映画[寅さん」が持っていたようなトランクを持って、サザエさん家の玄関前にやってきました』
『その男が、玄関の引き戸に手を掛けようとすると、家の中から、「あけないでちょうだい」と大きな声が聞こえてきました。男は、ビックリして、玄関の引き戸を開けることができませんでした』
『男は「みごときせいをせいされた」と頭を引掻きながら戻っていきました』

どうしたのでしょう?
どうも、聞こえてきたのは、サザエさんのどなり声の様です。

家の中から、押し売りが来るのを見張っていて、男はキャッチされたのでしょうか?
今だったら、防犯カメラを設置し、押し売り風の男がカメラに感知されたら、警告するシステムができるかもしれません。
しかし、そんな防犯カメラも普及しない昔のことです。

だから、押し売りの男は、目視でカラス戸の奥から見張られていて、目撃されて一喝された、と思って、すごすごと引き返して行ったのでしょう。

嫌、そういうことではありませんでした。
当時、はやっていた、お歳暮やお中元の回しが、この現象の原因だったのです。

実は、
玄関の奥の部屋でサザエさんとマスオさんの間に諍いが生じていたのです。
『サザエさんが、鏡台の前でお化粧しています。何処かへ出かけるようです。傍にマスオさんがいて、頂き物の箱を開こうとしています。突然、サザエさんが「よそにもってくんだから!」と大声で怒鳴っています。叱られたマスオさんは「わかりました」と小さくなっています』
と言うことだったのです。

押し売りの男は、引返すことはなかったのです。
堂々と玄関の開き戸を開いて、
『押し売りだ何か買ってくれ』
と言って入り込んでいれば、マスオさんは、サザエさんに怒鳴られることはなかったでしょう。

怖そうな顔の押し売りは見かけだけでした。
サザエさんの怒鳴り声に恐怖を抱いた男でした。