サザエさん―シルバ(8)
高校進学のためには、体格検査と筆記試験に合格することが必要です。孫娘が合格しなかったので、オバサンは、どちらが駄目だったのか分からなくなったのでしょう!
朝日文庫版17巻〔135頁〕・昭和32年
『髪を頭の上で束ねた、年老いたお婆さんが、竹箒で家の前の道路を掃除していました。そこへサザエさんが通りかかり、立ち話を始めました。お婆さんが、孫娘のことを話し始めました。「たいかくは、とおったんですが筆記しけんではねられましてね」と言い、サザエさんが、「ざんねんでしたね」と慰めていました』
『お婆さんのお喋りを聞いていた孫娘さんが、「ひどいわ!おばあちゃんちがうわよ」と、柱に凭れ、体をゆすって泣き伏しています。お婆さんは、困った顔をしています』
『お婆さんは、サザエさん家に「ごめんくださいまし」と駆けつけました』
『お婆さんは、玄関の板の間に腰かけると、部屋に座っているサザエさんに、「としよりのきおくちがいでした、筆記はとおったんですがたいかくではねられましたんです」と前に喋ったことを訂正しています。孫娘さんの名誉を守るためにわざわざ駆けつけたのです』
高校に進学するには、筆記試験も体格検査も合格する必要があります。
娘さんは、残念ながら合格しませんでした。
お婆さんは、合格しなかった理由を、サザエさんに、体格検査には合格したが。筆記試験には合格しなかったと言いふらしています。
孫娘さんにとって、「筆記試験に合格しなかった」と言われるのは、大変な屈辱でした。
お婆さんが、そうだとお喋りなサザエさんに言ってしまえば、「あの子は頭が悪い」と評判にならないとも限りません。
お婆さんが、年老いて耄碌し、「体格検査には合格しなかった」を「筆記試験に合格しなかった」と謝って頭に入れてしまったのか、後で取り違えたのか判りません。孫娘さんにとって、「筆記試験に合格しなかった」と言いふらさらされては、泣きたくなるのは判ります。
孫娘さんに責められたお婆さんは、「筆記試験に合格したが、体格検査に不合格だった」と頭にシッカリと覚えこみ、サザエさんに伝えに駆けつけました。
高校に進むには、筆記試験も体格検査も合格する必要がありますが、合格しなかった時は、「筆記試験には合格したが、体格検査で合格しなかった」であるほうが良いのです。